Products DNA -ものづくりの系譜-

TeraStation発売15周年を機に、無料の法人向けNASリモート管理サービス登場。
開発スタッフへのインタビューを通して、商品開発にまつわるエピソードやアイデアの秘密をご紹介する『Products DNA』。
TeraStation リモート管理サービス「キキNavi」の開発担当、山田、中畑に話を聞いた。

徹底的なヒアリングと試行錯誤が
機能と使いやすさのバランスを生んだ。

── 新たにスタートしたTeraStationリモート管理サービス「キキNavi」。開発はどのように始まったのでしょうか。

山田:TeraStationはユーザーの声を反映し機能に磨きをかけ、ラインアップを拡充してきました。発売から15年が経った今、TeraStationが抱える問題は何なのか、改めてヒアリングを行いました。すると、SIer(保守・管理会社様)の保守担当者様や企業の情報システム担当者様の人員減少を背景にTeraStationの管理面の負担が大きくなっていることが分かりました。信頼性の高い商品を提供するだけではなく、本当に便利な商品、使いやすい商品とは何なのかを突き詰めてモノづくりを行うことはバッファローのDNAです。ご購入いただいた後も安心して使い続けていただくため、ハード面はもちろんのこと、ソフト面の充実が必要不可欠だと考えこのサービスの開発をスタートしました。

                

── 「キキNavi」の機能とはどのようなものでしょうか。

山田:「キキNavi」は、インターネットを経由して遠隔地に設置したTeraStationとNAS管理者をつなぐリモート管理サービスです。NASの状態監視はもちろん、メンテナンス用の簡易操作もリモートで行うことが可能です。 例えば保守・管理会社様の場合、顧客である法人ユーザー様のNASが不調を起こした際、これまでは現地に赴いて不調の原因を探り、処置を施さなくてはなりませんでした。近隣のお客様であれば負担もそれほど大きくはありませんが、遠方であれば数時間をかけて移動し原因究明と対応をしなくてはならないこともあります。しかも法人ユーザー様の業務終了後に対応しなくてはならないなど、その人的、時間的なコストは取引先を多く持たれる保守・管理会社様ほど膨大なものになります。「キキNAVI」は、そうしたNASの管理工数を削減するためのソリューション・ツールなんです。

── 具体的にはどのようなことが可能となるのでしょうか。

中畑:まず、遠隔からの稼働状況の把握が大きな機能のひとつです。NASが正常に動作しているか否かの死活監視をはじめ、S.M.A.R.T.情報やHDD使用率といったHDDの状態も把握できます。障害が発生した際には直ちに「キキNavi」からお知らせメールが配信されるほか、エラーの内容に沿った復旧の手順までが表示され、手順に沿って作業を行うことで短時間で正確な復旧が可能となります。 次に、遠隔からの簡易操作です。これまで現場でしかできなかったNASのメンテナンス作業のうち、簡易なものについてインターネット経由で行うことが可能です。計画停電時などのシャットダウンや、システムが不安定な際の再起動、障害の解析に必要なログの取得、ファームウェアのアップデートについても現地に赴かずとも行うことができます。 三つめは稼働状況の共有です。NASの管理は一般的に一人で行うものではありません。保守・管理会社様の中でも、サポート担当や技術担当、管理職といったさまざまな立場で「監視すべきNAS」「行うべき操作」が変わってきます。「キキNavi」では担当者毎に監視・簡易操作できる権限を個別に設定することで、適切な担当者が適切なNASの管理だけに集中できる環境を構築することができます。 また、NASの設定を保存しリプレースや故障に伴う製品交換時に設定が引き継げるほか、保守パックやウィルスチェックライセンスの一括管理機能を備え、許可をいただければバッファローサポートと情報共有することで障害発生時の対応を迅速化することも可能です。

                

── 「キキNavi」を使用するユーザーの権限設定はどのようにされているのでしょうか。

中畑:「キキNavi」では階層構造を用いてユーザーを管理します。組織全体を管理する部長などの「管理者ユーザー」、複数名を束ねる課長などの「パワーユーザー」、担当者の「標準ユーザー」という3つのユーザー権限、そしてユーザーとNASをそれぞれまとめる2種類のグループを作ることのできる仕様となっています。このユーザー権限やグループの種類は、極端に言えば増やそうと思えばいくらでも増やせるものなんです。ですが20社を超える保守・管理会社様からの入念なヒアリングを行い、社内で何度も打ち合わせを重ねて「3つのユーザー権限と2つのグループ」、これがベストだと判断しました。これ以上の設定を可能にすると使い手を混乱させてしまうんです。このバランスはスペックには現れない部分ですが、膨大な時間を使って調整しました。

                

──バッファローらしさが集約されたサービスですね。どのようなターゲットに受け止められるでしょうか。

山田:もっとも「キキNavi」を喜んで受け入れてもらえるであろうお客様は、小規模な法人ユーザー様多数とお取引されている保守・管理会社様、もしくは複数の拠点をお持ちの情報システムご担当者様だと考えています。現場に赴く手間を極力削減することや関係者で稼働状況を共有できることはNASを運用する上で大きなメリットとなります。「キキNavi」は保守・管理会社様から企業の情報システム担当様まで、幅広い方々へのソリューションとして、発展を続けていきます。


サービス紹介

特別なネットワーク設定は不要。
NASの監視とメンテナンス用の簡易操作を遠隔で実施。

インターネットを利用し、遠隔地に設置したNASを監視できるほか、再起動やシャットダウン、デバッグログの取得やファームウェアのアップデートなど簡易メンテナンスが可能。現場に出向くことなく監視・メンテナンスが実施でき、NAS管理者の負担を大きく軽減します。

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ストレージプロダクト&サービス事業部 NASマーケティング課 係長
山田 磨( 写真:右)
4歳と1歳の子を持つ二児の父親。休日にはバーベキューなどアウトドアで子どもたちを楽しませるイクメンだ。ユーザー目線で本当に喜ばれるサービスとはなにかを考える姿勢は、子どもたちから学んだ部分も多い。
ストレージプロダクト&サービス事業部 NAS第二開発課
中畑 敦夫( 写真:左)
プロ野球の熱心なファンである中畑。試合を観戦する際はたくさんの記録画像を残す。友人との画像の共有にはバッファローのNASを利用。ユーザーインターフェイスのセンスは自身の体験から磨かれたものだ