ProductsDNA-ものづくりの系譜- トライバンド法人向けアクセスポイント「WAPM-AXETR」

ビジネスや教育機関に求められる、高品質な通信を実現する法人向けアクセスポイント

開発スタッフへのインタビューを通して、商品開発にまつわるエピソードやアイディアの秘密をご紹介する「ProductsDNA」。
今回は法人向けWi-Fi 6E(11ax)対応トライバンドWi-Fiアクセスポイント「WAPM-AXETR」の開発担当、近藤、竹川に話を聞いた。


コロナ禍以降の法人向けWi-Fiアクセスポイントはどうあるべきか。
新規格対応だけではない工夫を込めた、これがバッファローからの回答。

――今回発売の「WAPM-AXETR」は、同じく法人向けトライバンド対応Wi-Fiアクセスポイントであった「WAPM-2133TR」のリリースから6年を経て発売される新商品です。「WAPM-AXETR」の特長とはどのようなものでしょうか。

近藤:「WAPM-AXETR」の最も大きな特長は、新規格Wi-Fi 6E(11ax)に対応したWi-Fiアクセスポイントであるという点です。従来のWi-Fi規格では2.4GHzと5GHzという二つの帯域が使われていましたが、Wi-Fi 6E(11ax)では新たに6GHzという帯域が加わりました。

この6GHz帯では最大24のチャンネルを設定することが可能で、従来の2.4GHz帯と5GHz帯が持つ計23のチャンネルと合わせて、幅広いチャンネル設計ができるようになりました。例えば、学校では廊下に設置したWi-Fiアクセスポイントで複数の教室をカバーする場合がありますが、そのような環境では干渉を防ぐため、教室ごとに別のチャンネルに接続するよう設計する必要があります。本商品は使用可能なチャンネルが多いので、そうした設計がしやすくなっています。

竹川:加えて6GHz帯のWi-Fiは混雑や干渉が少なくなると期待できるため、6GHz帯を拠点間のネットワーク構築(WDS)に利用することで2.4GHz帯、5GHz帯をより柔軟にチャンネル設計することができ、安定したネットワークを構築することが可能です。これによりWi-Fi 6E対応の端末をお使いではないお客様でも6GHz帯対応の恩恵を受けることができます。

――なるほど。新たな帯域である6GHz帯にはそのようなメリットがあるのですね。

竹川:Wi-Fi 6E(11ax)に対応したことにより、「WAPM-2133TR」と比較して、2,401Mbpsの最大転送速度を誇る6GHz帯が利用できるようになっただけでなく、従来からの帯域についても、5GHz帯では866Mbpsが1,201Mbpsに、2.4GHz帯では400Mbpsが573Mbpsにそれぞれ約1.4倍まで最大転送速度を向上させました。

さらに、今回の「WAPM-AXETR」では同時接続できるデバイスの数を各バンドにつき256台、3バンド併せて768台としています。小中学校の教室や大学の講義室、フリーアドレスでWi-Fi端末が多いオフィスなど多数の端末が接続する環境にも十分に対応可能な仕様であると考えています。

――大容量のデータ転送を短時間で行えることはもちろん、1台のWi-Fiアクセスポイントで多くの端末をカバーできるわけですね。「WAPM-AXETR」が想定するユーザー像はどのようなものでしょうか。

近藤:やはり従来品である「WAPM-2133TR」を利用してくださっていたお客様にはぜひお勧めしたいですね。中心となるのは規模の大きなオフィスを持つ企業や、小学校から大学までの各種学校。ホテルのラウンジや喫茶店といった多くの方が利用されるスペースでも「WAPM-2133TR」は幅広く利用されてきました。そうしたお客様にスムーズに「WAPM-AXETR」へ移行していただけるよう、さまざまな工夫をこらしています。

例えば消費電力では、LANケーブルを通して電力を供給するPoE(Power over Ethernet)に「WAPM-2133TR」と同様の規格(802.3at)で対応できます。普段使わない機能を平常時に制限をかけたり、部品選びも一つひとつ吟味を重ねて無線機能を向上しつつも、消費電力を抑えています。他にも、壁や天井へ設置する際に使用する金具は「WAPM-2133TR」と同じものを利用することができます。結果として、「WAPM-2133TR」を利用されていたお客様であれば、金具の付け替えも必要とせず機器の入れ替えのみでWi-Fi 6E(11ax)へのアップデートが可能です。

――企業や学校の情報システム担当者にはうれしい心くばりですね。他にはどのような工夫が込められているのでしょうか。

近藤:法人向けWi-Fiアクセスポイントの場合、その多くは壁面や天井に設置されています。つまり、電波は全方位ではなく接続端末のある前方に向けて強く飛んでいることが求められるわけです。ですが従来のWi-Fiアクセスポイントではアンテナを中心に球状に電波は飛んでいきます。そのため、「WAPM-AXETR」ではアンテナの背面に金属板を配置し、その金属板で後方に飛ぶ電波を反射させ、電波が前面に集中するようにしました。この金属板の形状や部品配置にはかなりの時間を費やし、試行錯誤しました。結果として、3種類の帯域で期待通り電波を前方に集中して飛ばす形にチューニングができています。天井に設置したWi-Fiアクセスポイントの真下はもちろん少し離れた場所でも快適な通信が可能です。

竹川:さらに無線だけでなく、有線LANポートの通信速度を向上させていることも工夫の一つです。かつては無線よりも有線の通信速度が速いことが常識でしたが、近年のWi-Fi機器の劇的な無線通信速度の向上により、外部との接点となる有線の通信速度がボトルネックとなってしまい、思うように通信速度が向上しないという現象が珍しくありません。「WAPM-AXETR」では有線LANポートを2.5Gbpsに対応した高速通信可能な仕様とすることで、Wi-Fi 6E(11ax)がもたらす高速通信環境をより体感できるようにしています。

――スペックには現れづらい部分にもこだわり抜いた商品であるというわけですね。

竹川:「WAPM-AXETR」は単にWi-Fi 6E(11ax)に対応した法人向けWi-Fiアクセスポイントにはしたくありませんでした。お客様に安心して6GHz帯を使っていただけるようWi-Fi認証を取得し、対応端末との相互接続評価を実施するなど、バッファローからのプラスαを設計や評価に加えることによって、お客様に喜んでいただける商品になっていると思います。

近藤:新型コロナウイルス感染症の拡大以降、リモートワークや遠隔授業をはじめ働き方や学び方に大きな変革が訪れました。企業や学校が備えるべき通信環境も当然のことながら大きく様変わりしています。既存モデル「WAPM-2133TR」のリリースから6年を経て発売される後継機種となりますが、コロナ禍以降の法人向けWi-Fiアクセスポイントはどうあるべきかという課題に対する、バッファローからのこれ以上ない回答になったと自信を持っています。

【商品紹介】法人向けアクセスポイント WAPM-AXETR

6GHz帯通信に対応のトライバンド無線LANアクセスポイント

Wi-Fi 6E(11ax)への対応により、2.4GHz帯、5GHz帯に加えて、新たに6GHzの利用を可能とした法人向けWi-Fiアクセスポイント。通信の高速化はもちろん安定性の向上や同時接続可能台数の増加など、ビジネスや教育機関に求められる高品質な通信環境を実現する機能を拡充している。

開発者紹介

ネットワーク開発部
近藤 佳充(写真:左)
趣味は料理や生活雑貨などジャンルを問わず「便利グッズ」を収集すること。ユーザーでも気づいていなかった不便さを解消する「ものづくり」がファンを生むと考えている。

ネットワーク開発部
竹川耕平(写真:右)
趣味においても「食わず嫌いはしない」が信条。ゴルフやフットサル、ボードゲームにVRと、気になった遊びはまず飛び込んでみる。未踏の分野に挑戦する姿勢は商品開発でも同様だ。

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