ProductsDNA-ものづくりの系譜- 「ローミング支援機能」と「キキNaviでの一括管理」に対応 AirStation Pro

複数台のAPを自動選択
無線が途切れない安心感を提供

開発スタッフへのインタビューを通して、商品開発にまつわるエピソードやアイデアの秘密をご紹介する『Products DNA』。今回は法人向けWi-Fiアクセスポイントの「ローミング支援機能」と「キキNavi対応」の開発担当、山口、大西に話を聞いた。

求めたのはスペックには現れない使いやすさ
議論とチューニングを重ねたベストバランスへブラッシュアップ

――2024年1月、法人向けWi-Fiアクセスポイント AirStation Proシリーズが「ローミング支援機能」に対応しました。まずは「ローミング支援機能」がどのようなものか教えていただけますか?

山口:「ローミング支援機能」とは、オフィスや学校など、複数のアクセスポイントが設置されている環境で、最適な電波状況のWi-Fiアクセスポイントへのスムーズな接続を支援する機能です。
今回AirStation Proシリーズが対応する「ローミング支援機能」は、ローミングに関する規格「IEEE802.11k/v/r」に準拠したもの。この機能によって、移動するたびにアプリケーションを中断したりアクセスポイントの切替操作をしたりする必要のない、スムーズなローミングを実現します。
おそらく多くの方がノートパソコンやスマートフォンを持ったままオフィス内を移動し、移動した先でWi-Fiにつなぎ直さなくてはならなかったという経験があるのではないでしょうか?他にも、学校でタブレットを持ったまま教室を移動するときや、工場や倉庫内でWi-Fiに繋いだハンディーターミナルで作業をするときなども同様です。施設内の複数のアクセスポイントを「ローミング支援機能」に対応したAirStation Proシリーズで構成をしておけば、APに届く端末の電波が弱くなった段階で電波環境の良い他のアクセスポイントの存在を端末に通知することで、最適な接続を維持できるように支援します。

【問題点】

【解決法】

――AirStation Proシリーズを「ローミング支援機能」に対応させることとなった経緯はどのようなものだったのでしょうか?

山口:実はバッファローの独自調査によって、コロナ禍以降のオンライン会議の増加や働き方の変化で、オフィス内でPCを持ち運ぶ頻度が増加したこと、さらには多くの方がPCを持ち運ぶ際「ネットワークへの繋がりにくさ」に対してストレスを感じているということがわかりました。PCを持ち運ぶ際の「ネットワークへのつながりにくさ」の原因の1つは、複数のアクセスポイントに再接続する際の通信速度の低下や不安定さによるもの。こうしたユーザーのニーズをすくい取った形で開発がスタートしたのが、今回の「ローミング支援機能」なんです。

――今回AirStation Proシリーズでは「低RSSI切断機能」も搭載されています。こちらはどのような機能か教えていただけますか?

山口:RSSI(Received Signal Strength Indicator)とはデバイスが受信する無線信号の強さ。「低RSSI切断機能」は、アクセスポイントが受信する信号強度がユーザーが設定した閾値を下回った場合、デバイスの接続をAP側から切断する機能です。これにより「IEEE802.11k/v/r」対応していないデバイスであっても、接続が不安定なデバイスをより電波強度の強いアクセスポイントへ再接続を促すことができるようになります。

――AirStation Proシリーズの「ローミング支援機能」について、「キキNavi」からの一括管理が可能になりましたね。

大西:「キキNavi」は、インターネットを経由して遠隔のNAS・法人ルーター・アクセスポイントといった機器をリモートで管理することのできるサービスです。
2024年6月のアップデートでAirStation Proシリーズの「ローミング支援機能」を「キキNavi」から一括で管理できるようになりました。このことによって、首都圏の本社から地方支社のアクセスポイントの「ローミング支援機能」を管理したり、ネットワークの保守管理を請け負う企業が契約している、法人ユーザーのアクセスポイントの「ローミング支援機能」を遠隔で設定することも可能になりました。「ローミング支援機能」が必要となる環境は、オフィスや学校といった比較的規模の大きい施設です。今回のアップデートはそうした施設のネットワーク環境に責任を持つ情報システム担当者や保守管理会社の担当者の負担を軽くするためのものでもあります。

キキNaviによる稼働状況表示

――「ローミング支援機能」や「キキNavi」をAirStation Proシリーズへ対応させるにあたり、最も苦労した点はどういったところでしょうか?

山口:単に「IEEE802.11k/v/r」に対応した「ローミング支援機能」というだけで終わらせたくありませんでした。ユーザーに届けるからにはスペックとして対応するだけでなく、本当に使いやすい機能を目指したい。それがバッファローのDNAです。
そのため、社内のオフィスやセミナールームなどを利用し実際の企業や学校での利用環境に限りなく近づけた環境を構築した上でAirStation Proシリーズを設置し、想定したローミングが実際に機能しているかを数えきれないほど確認し、同じ数だけ細かなチューニングを施しています。机上の空論ではユーザーに喜んでもらうことはできませんから。

大西:「キキNavi」についても、「ローミング支援機能の一括管理ができる」という最低限のハードルで満足することなく、ユーザー・インターフェースにはこだわり抜きました。どういう表示にすればユーザーにとって最もわかりやすいのか、誤解を生まないデザインとはどのようなものなのか。社内で何度も議論を重ね、現時点で「これしかない」というレベルにまでブラッシュアップできたと自負しています。とはいえ、あくまでこれは「現時点」でのこと。社会情勢や技術の変化に合わせて、これからも開発の手をゆるめることはありませんよ。

「ローミング支援機能」と「キキNaviでの一括管理」に対応した AirStation Proシリーズ

ローミング支援が実現する、オフィスの移動中でもWi-Fiが途切れない快適な作業環境

法人向けWi-Fiアクセスポイント AirStation Proシリーズが、最適な電波状況のWi-Fiアクセスポイントへの接続を支援する「ローミング支援機能」と、遠隔地からでもアクセスポイントの一括設定が可能となるバッファロー独自のクラウドサービス「キキNavi」に対応しました。

開発者紹介

ネットワーク開発部 
山口 貴弘(写真:左)

趣味はものづくり。自宅に3Dプリンターやレーザー加工機などの工作機材を各種取りそろえ、プログラムから筐体まで、IoT製品を独力で開発するほどの本格派だ。公私に亘って開発畑を突き進む。

ネットワーク開発部
大西 達也(写真:右)
営業経験もある開発担当。ドライブとガジェットが趣味で電気屋めぐりが休日の楽しみだ。あらゆる商品のPOPを観察してしまうのは営業時代の名残。営業目線からの商品開発を強みとしている。

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