あれ……、iPhoneの写真のバックアップって、こんなに簡単で良いんでしたっけ?
iPhone 15シリーズ以降の機種には、USB Type-Cポートが備わり、有線接続で、外付けのSSDを使って写真・ビデオのバックアップが行いやすくなりました。外付けSSDの購入には代金がかかるものの、買い切りで済むので、クラウドストレージサービスに毎月・毎年の料金を支払い続けるよりも、長い目でみるとかなり割安に抑えられます。
例えば、300〜500GBくらいのストレージが欲しいとして、ちょっと少なめのiCloud+の200GBプラン(月額450円)で我慢しても年間5400円がかかります。また、使いきれない2TBのプラン(月額1500円)を契約するとなると、サービスによっても変わりますが、年間で約1万8000円かかります。それぞれ5年使ったら合計金額は2万7000円と、9万円に。その先、例えば10年使えばさらに費用がかかり続けます。(※2024年12月時点)
でも、もし500GBのポータブルSSDを1つ買えば、約1万円弱で済みます。
ただし、そのためにはiOS標準のどうにも使いづらい「ファイル」アプリを活用する必要がありました。手動で細々とバックアップする写真を選択するのは、正直かなり大変です。日常的なバックアップ手段としては、あまり現実的ではありませんでした。
しかし、そんな悩みを解消するべく現れたのが、バッファローの「写真バックアップ」アプリ(無料)。同アプリを使うと、iPhoneの写真・ビデオのバックアップを一気に行えちゃうらしい——ということで、今回は筆者の私用iPhoneを使って、その使い勝手をチェックしてみました。
「写真バックアップ」アプリとは
今回使う「写真バックアップ」は、バッファローが2024年11月20日にApp Storeでリリースした、その名通り、写真・ビデオのバックアップをするためのアプリです。完全無料で使えます。
このアプリが使えるのは、USB Type-Cを搭載するiPhone 15 以降のiPhone (iOS17.0以降)や、iPadシリーズ(iPadOS17.0以降)です。Lightningポートを搭載する旧世代モデルには対応していません。
アプリの軸となる機能はシンプルで、接続した外付けSSDに対して、アプリを通じて写真・ビデオを一気に保存できるというもの。ユーザー視点では、バックアップしたいデータをいちいち手動で選択しなくて済むのが嬉しいポイントです。
また、iCloudのフォトライブラリに保存されている写真・ビデオもまとめてバックアップできる機能が備わっているので、これまで写真・ビデオのバックアップにiCloudを使ってきた人が、SSDに移行したい場合にも使えます。
バックアップ操作は3ステップで簡単
早速、筆者の私用の「iPhone 15 Pro」(256GB)を使って、「写真バックアップ」アプリの使い勝手を試してみました。
とはいえ、具体的な操作は、(1)アプリを起動、(2)SSDを接続、(3)バックアップを実行ーーという3つステップを踏むだけ。アプリの画面に表示される指示に従って操作するだけで済むので、操作で悩むことはまずないでしょう。初回起動時のセットアップの際にのみ、以下のような操作手順が少し必要になります。
バックアップ中の画面。「iPhone 15 Pro」は「USB 3(最大10Gb/s)」すなわち、「USB 3.2 Gen 2」をサポートしています。今回は25GB程度の写真とビデオをバックアップしましたが、数分で完了しました。
なお、初回の接続では、写真・ビデオの全データがバックアップされますが、2回目以降の接続では、既に保存されているデータはスキップされ、iPhoneに新規に追加されたデータのみを検出してバックアップする仕組みになっています。
例えば、旅行から帰ってきて、SSDをサッとiPhoneに接続すれば、旅行で撮影した写真・動画がパッとバックアップされるわけです。これは使いやすくて、とても気に入りました。
ちなみに、もし家族で複数台のiPhoneのデータをバックアップしたい場合にも、「写真バックアップ」アプリを使うことができます。この場合、外付けSSDに保存したバックアップデータが複数になっていきます。バックアップデータの名前は、任意に変更できるようになっているので、分かりやすいように設定しておきましょう。
ただし、ユーザーごとの認証のような仕組みはありません。家族で利用した場合、自分以外のデータを閲覧できてしまいます。データの共有には便利な仕組みですが、もしもプライバシーが気になる場合には、複数の外付けSSDをそれぞれで用意して管理した方が良いでしょう。
ちなみに、バックアップされた中身を見てみると、Live Photos(ライブフォト)や、編集前の写真・ビデオデータなどもそのままで保存されていました。これはすごい……。
実は、iOS標準の「ファイル」アプリを使ったバックアップや、クラウドストレージを使ったバックアップだと、こういうデータが破棄されてしまうことがほとんどなので、「せっかくLivePhotosにしておいたのに、バックアップしたらただの静止画になっちゃった……」というがっかりが発生しがちなんですよね。しかし、「写真バックアップ」アプリなら、ほぼそういう事態が起こりません(※バースト写真のみ復元の挙動に一部制限があります)。
SSD→iPhoneへの復元も可能
もちろん、大抵の場合、iPhoneのストレージを確保したい目的で使うわけですから、写真・ビデオのデータをバックアップしたら、iPhoneからその写真・ビデオを削除してしまって問題ありません。
なお、iPhoneからの削除操作を行なった後、そのiPhoneを外付けSSDに接続しても、変更後のデータが同期されるようなことはありません。つまり、SSD側に保存した写真・ビデオはそのまま残ります。この辺りの挙動も分かりやすくて安心ですね。
また、もしSSDからiPhoneへ必要な写真・ビデオを戻したくなった場合には、SSD→iPhoneへの復元操作も可能です。その場合の操作は、写真を個別に戻すこともできますし、写真・ビデオのデータをまるごと復元することもできます。万が一の端末の破損・紛失などの際にも、しっかりバックアップとして機能するわけです。
写真バックアップにぴったりのSSDをチェック
この「写真バックアップ」アプリを使うのに必要なのは、(1)USB Type-C搭載のiPhoneやiPad、(2)「写真バックアップ」アプリ(無料)、(3)外付けのSSD——の3つです。
外付けSSDとして動作が保証されているのは、バッファローの「SSD-PHP」「SSD-SCH」「SSD-SCT」「SSD-PGC」「SSD-PHE」シリーズです。このうち「写真バックアップ」アプリで使用するのに特にぴったりの外付けSSDとして、以下の2製品をチェックしておきましょう。
スティック型SSD 「SSD-SCHU3Aシリーズ」
スティックタイプのSSDで、USB Type-C端子で利用するためのアダプターが同梱されているのがポイント。
iPhoneやiPadへそのまま接続できて便利です。容量も250GBモデルから2TBモデルまでラインナップされています。ちょうど良い感じのものをチョイスしましょう。
MIL-STD-810H準拠の耐衝撃性能も備えています。
外付けSSD「SSD-PHPU3Aシリーズ」
手のひらサイズのコンパクトな外付けSSDで、MILスペックの耐衝撃性能に加えて、IP55準拠の防じん防滴もサポート。
容量は500GBモデルから4TBモデルまでラインナップされています。大容量モデルのiPhoneをお使いの方や、家族複数人でバックアップを取りたい方にオススメです。
兎にも角にも、百聞は一見に如かず。筆者がこれまでに試してきたiPhoneの写真・ビデオバックアップ手段のなかでも、「写真バックアップ」アプリは抜群に使い勝手が良かったです。対応世代のiPhoneをお持ちの方は、ぜひ試してみると良いですよ。