中小企業の課題解決をサポート ネットワークを技術で支える国内メーカー

日経NETWORKは毎年、企業ネットワークの利用実態を調べる「ネットワーク機器利用実態調査」をアンケート形式で実施している。2023年調査のスイッチ部門無線LAN部門で1位※1に肉薄するほど躍進した「バッファロー」に、直近の取り組みや実績、海外ベンダーとの違いや強みについて話を聞いた。

※1 出典:ネットワーク機器利用実態調査2023

日本企業のニーズにマッチした製品とサービスを提供

 バッファローは家庭用の無線LAN製品では、22年連続国内シェアNo.1※2のPC周辺機器メーカーだ。家庭用のイメージが強いが、実は法人向けのネットワーク製品も多くの企業で採用されており、DXに必要なネットワークインフラを支えている。特に中小企業の悩みに寄り添って開発されたバッファローの法人向け製品は多くの企業に支持され、法人ネットワーク市場におけるプレゼンスも高まっている状況だ。その要因には、国内メーカーならではの製品開発・サービスの哲学がある。

 バッファローのネットワーク機器の最大の特長は、国内エンジニアによる日本の顧客に寄り添った製品開発にある。製品企画担当者とエンジニアが一緒に販売パートナーに直接課題や要望を聞き、それらに応える製品作りを続けてきた。様々なIT機器をつなぐネットワーク機器として当然ながら品質や性能を含めグローバルスタンダードに準拠しつつ、使い勝手などに日本風の味付けを加えている。それを同社は“しょうゆ味”と言う。

 バッファロー 事業本部 法人マーケティング部長 富山強氏は、「当社が目指すのは、必ずしも世界最速とか、世界最高の処理能力といった製品ではありません。目指しているのは、法人のお客様が事業を行う上で必要十分な機能、使いやすさと品質を兼ね備えた製品をリーズナブルな価格で提供し、業務を止めることなく安定的に長く使えることです」と語っている。

 また販売をパートナーに頼る同社では、パートナーとの強固な連携とパートナーを技術的に支えるサポート体制にも特長がある。全国に13の営業拠点があり、主要な7拠点にはフィールドエンジニアが常駐。必要に応じてお客様のもとへ駆けつけサポートを行う。約4200社の登録事業所数を誇る「VARパートナープログラム」を運用しており、パートナーへの情報や商談ツールの提供、技術サポート、評価機の貸し出しなどを実施している。「VARパートナープログラムは2012年から行っていますが、この数年関係性が熟してきて、以前にも増してお客様からのご要望や課題をうかがえるようになってきました。それに対応する中で法人事業の売り上げが、2018年比で125%に増加するなど成果が上がっています」(富山氏)。

バッファロー
事業本部
法人マーケティング部長
富山 強氏

 もちろんITインフラを支えるネットワーク機器として、安定稼働も重要なポイントだ。例えばGIGAスクール構想のWi-Fi整備では、バッファローの無線LANアクセスポイントの多端末同時接続時の安定性が多くの学校に評価された。その秘密は開発のこだわりにある。一般的にはシミュレーションでテストをするところ、40台の端末をつなげて実施。現場の環境を踏まえたテストとチューニングを何度も重ね安定稼働を実現した。

※2 2024年1月時点、BCN調べ

エンジニア不足解消の一助ともなる無料のリモート管理サービスを提供

 近年の法人事業成長のドライバーとなっているのが、ネットワーク機器のリモート管理サービス「キキNavi」だ。ネットワーク機器の稼働状況を監視し、エラーを通知。再起動など簡易的な操作はリモートで実施できるので、簡単なトラブルなら現場に行く必要がない。同社のユーザーの多くは中堅中小企業で、ネットワークに詳しい人材が少ないこともあり、外部にサポートを委託しているケースが多い。バッファロー 事業本部 法人マーケティング部 次長 山田磨氏は、「従来サポート会社はお客様先と物理的に離れているため、トラブルの度に訪問する必要がありました。キキNaviを利用することで、リモートでトラブルの内容だけでなく対処法も把握できるようになり、簡単な操作で直る場合はリモートで対応できるようになります」と説明する。エラーは種類によって番号が振ってあり、キキNaviの管理画面からエラー番号に合わせた対処法を確認可能。顧客が同意すれば顧客の画面をサポートセンターにも共有することができ、より適切なサポートを受けられる。どんなに優秀なエンジニアでも、1人で多種多様なメーカーの機器の操作をすべて把握することはできないだろう。初めての機器や現象ではマニュアルを見ながら操作する必要があり、その手間が省ける点も効率化に大きく寄与する。

バッファロー
事業本部
法人マーケティング部 次長
山田 磨氏

 キキNaviの最大の特長は、これらの基本機能を無料で利用できる点だ。一般的にネットワーク機器の管理サービスが有料である中、無料での提供を続けている。富山氏は、「他社のサービスは有料だけあってグラフィカルです。確かにすごいと思いますが、実際に使うかというと疑問もあります。管理ツールは基本的にトラブル時にしか見ないものなので、そのときに必要な情報が確認できればいいわけです。当社はお客様やパートナーに直接話を聞いて、何が必要で、何が必要ないかを精査し、必要十分な表示を目指しました。グラフィック表示をしない分、データ量が少なく通信コストがあまりかからないというメリットもあります」と語る。

 他にチームでの管理を可能にする稼働状況の共有、機器設定の手間を大幅に効率化できる設定情報の自動保存、無線LANアクセスポイントをリモートで一括設定できるクラウドゼロタッチ機能も無料で提供している。

 キキNaviはスイッチや無線LANアクセスポイント、ルーターだけでなく、NASも管理可能。様々な機器を扱う総合周辺機器メーカーだからこそ、多様な機器の一括管理が実現する。さらにキキNaviで管理するNASデータのクラウドバックアップも提供する※3。「小規模な企業でも、手軽にBCP対策が実現します。通常大量データを一般的なクラウドサービスへバックアップを取ろうとするとエラーが発生しがちですが、NASの大容量ファイルでも安定して利用できます」(山田氏)。

 管理工数の削減や迅速な復旧に寄与するキキNaviは、多くの顧客やパートナーに支持され、サービス提供開始以来約5年間で、全国の累計登録法人数がもうすぐ1万社を突破する勢いだ(2024年3月現在)。

※3 有料のオプション

キキNaviを利用すると、客先や支社など遠隔地にあるネットワーク機器の状態をリモートで管理可能。
エラーの通知や対処法の表示、簡単な対処ならリモートで実施することもできる

アクセスポイントとスイッチの機能・性能や設定のしやすさを約8割のユーザーが評価

 このような製品やサービスの開発を続けてきた結果、同社の法人向けネットワーク製品は、高い顧客満足度を実現している。2024年4月、同社がユーザーに対して実施したWebアンケートの結果、法人向け無線LANアクセスポイントの満足度は、「非常に満足」「やや満足」を足して88.4%、法人向けスイッチの同様の満足度は、80.0%だった。アクセスポイントの評価点は、「機能・性能」が85.4%、「設定のしやすさ」が84.1%、「長期保証」が77.6%。スイッチでは「設定のしやすさ」が81.3%、「コスト」が80.8%、「機能・性能」が77.3%と、特に「機能・性能」と「設定のしやすさ」が評価されている。

 最後に富山氏は、「法人事業を20年以上続けてきて、認知度もシェアも上がってきているのは感じています。今後さらに法人事業を強化し、ネットワークの会社として企業DXを支援していくために、製品にもサービスにも磨きをかけていきます」と語った。

バッファローの法人向けネットワーク製品。スイッチ、無線LANアクセスポイント、VPNルーターなどSOHOからエンタープライズ向けまで多彩なラインアップ展開で、ユーザーの環境に合わせたネットワーク構築が可能

※本記事は2024年5月29日に日経 xTECHSpecialで掲載されたものを転載したものです。

なるほど!と思ったら記事のシェアをお願いします
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次