── 「BSHSBE34」の大きな特徴のひとつは「ノイズキャンセリング機能」ですね。
若原:その通りです。「BSHSBE34」にはデュアルマイクが搭載されています。一方のマイクは通話用、もう一つのマイクは周囲の「環境音」を拾うためのもの。環境音に対してソフトウェア上で逆位相の波をぶつけることでノイズキャンセリングを実現しているわけです。もちろん、従来品にも同様の機能は備わっていましたが、フラッグシップモデルたる「BSHSBE34」はそれが極めて高い次元で完成されています。今回こだわり抜いたのは、ハードウェア・ソフトウェア両面でのチューニングですね。
── まずハードウェア面のチューニングとはどのようなものでしょうか。
若原:環境音を拾うための集音マイクは、従来型マイクでは目指す品質に到達しないと判断し、性能の高いMEMSマイクを搭載しています。また、デザイン性と機能を両立させるべくデザイナーと綿密な打ち合わせを重ね、集音部の穴の形状や角度、位置、すべて計算された「これしかない」という形状になっています。
── ソフトウェア面ではいかがでしょうか。
若原:意外に思われるかもしれませんが、ソフトウェア面でのチューニングは、とにかく「足」を使った作業なんですよ。Bluetooth®ヘッドセットが利用されるシーンはさまざまです。どのような場所であっても最高のノイズキャンセリング機能を発揮できるよう、ラッシュ時のターミナル駅やパチンコ店、通行量の多い交差点、ロードノイズの大きな車中など、考えうる限りの雑音に溢れた環境へ試作品を持ち出し、データ収集と細かなチューニングを重ねました。
── もうひとつの大きな特徴は「3Dメタルアンテナ」だと思います。
三上:はい。「無線のバッファロー」の名に恥じないフラッグシップモデルとするために、無線品質を最高レベルにまで高めることは必須の課題でした。Bluetooth®ヘッドセットをスマートフォンと接続して使用する場合、設置場所の固定されたPCと違い、上着やズボンのポケットに入っていたり、手に持っていたりと、その距離、角度はさまざまに変わります。そこで「BSHSBE34」では3次元の形状で構成された新開発の3Dメタルアンテナを搭載することで、360度あらゆる角度に必要充分な電波を届けることができるようになっています。
── ユニークな形状のアンテナですね。どのように導き出された形状なのですか?
三上:試作段階ではPC上でのシミュレーションも含めると118種類ものアンテナ形状を考えました。ただ、ノイズキャンセリングでもそうでしたが、最終的な追い込みに関してはやはり「足」を使ったものになります。気温、天気、閉鎖された空間や遮蔽物のない空間、あらゆる状況で最高のパフォーマンスを発揮させなくてはなりません。そのため、試作品とともに車内や雑踏をはじめ、さまざまな場所に赴いてデータの収集を行いました。雪の日の河原で一日中データ収集に取り組むなど、私にとっても過酷な調査でしたね(笑)
── デザイン面でも従来品とは一線を画す仕上がりですね。
若原:「BSHSBE34」はこれまでのバッファロー製Bluetooth®ヘッドセットと比較しても高額です。その価格に見合ったラグジュアリーな質感を出すことにもこだわりました。具体的にはエグゼクティブの胸元を飾る「ネクタイピン」をモチーフとしています。スタイリッシュなオフィスにも充分に映えるデザインだと自負しています。
三上:ボタンの配置にも工夫があります。ひとつのボタンを押した際に他のボタンを間違って操作してしまわないよう、ボタンの配置や押しやすさにこだわり、0.1mm単位で位置や形状の調整を行いました。また、紐を通して首からかけられるようにイヤーフックにストラップホールも追加しています。これらはスペック上には現れない部分ですが、とことんまで「使いやすさ」にこだわった結果ですね。
若原:使いやすさの点で言えば「BSHSBE34」には「日本語音声アナウンス」が搭載されています。ヘッドセットの状態を電子音だけではなく一部日本語の音声でお知らせするものですが、これはプロの声優を起用して新たに収録した音声なんですよ。
── こうした機能はこれからのBluetooth®ヘッドセットにも取り入れられるのでしょうか。
若原:もちろんです。新たな技術や機構を開発して次世代商品の可能性を切り拓くことは、フラッグシップモデルの使命でもあります。その意味で「BSHSBE34」は今後のBluetooth®ヘッドセットにおける新たなスタンダードを生み出したといっても過言ではないと思っています。