Products DNA -ものづくりの系譜-

独自のアルゴリズムでメッシュネットワークを自動構築。
Wi-Fi環境を家じゅうすみずみまで。開発スタッフへのインタビューを通して、商品開発にまつわるエピソードやアイデアの秘密をご紹介する『ProductsDNA』。今回は親機と中継機が互いに通信しあって構築する「メッシュネットワーク」で家じゅうに快適なWi-Fi環境を提供する「AirStation connect」の開発担当、山口と狩野に話を聞いた。

膨大な仮説と検証の繰り返しが生んだ、
「スペックに現れない性能」。

── バッファローから新たに生まれた「AirStation connect」。まずこの商品が生まれた背景を教えていただけますか?

山口:現代はパソコンやスマートフォン、テレビはもちろん、ロボット掃除機やエアコンなど、さまざまな機器がネットワークにつながるIoT時代です。これらの機器は家のどこで使われるのか決まっているものばかりではありません。リビング、ダイニング、ベッドルーム…、あらゆる場所で機器が使われる可能性があります。つまり、ネットワークとつながる最先端の機器類を最大限に活用するためには、宅内の特定の場所ではなく、あらゆる場所に電波が届いていなくてはならないわけです。しかも従来に比べより高速で強い電波が求められるようになっています。例えばスマートフォンやタブレット、パソコンなどを利用した動画の視聴。現在では4K動画をはじめとした高解像度で情報量の多い動画コンテンツが次々とリリースされています。こうしたコンテンツをストレスなく楽しむためには、「ただ届いている」だけではなく高速な電波が高い強度を保って届いている必要があります。 「AirStation connect」は、そうした現代社会のニーズに応える商品群です。親機と中継機が互いに通信しあいながら「メッシュネットワーク」と呼ばれる通信網を構築することで、家じゅうのすみずみまで快適なWi-Fi環境を届けるものです。

── どのような特長を備えているのでしょうか。

狩野:「AirStation connect」の機能面での特長は大きく3点。まず1点めは、親機と中継機が互いに通信しあってネットワークを構築する「メッシュネットワーク」に、バッファローがチューニングを重ねて開発した独自のアルゴリズムを搭載していること。これにより電波を家のすみずみまでより速く届けられる最適なバンドを自動選択することができます。通信経路のパターンをシミュレートし、どの経路をたどれば一番速く効率よくデータが送れるかの仮説と検証を徹底的に繰り返しました。このアルゴリズムは、机上の空論ではありません。バッファローが持つ実際の家庭を模したモデルハウスで、技術者たちが実験を繰り返して得た文字通り「努力の結晶」です。スペックには現れない部分かもしれませんが、お客さまに「買ってよかった」と感じてもらえる、期待を超えるような価値を引き出すことにこだわりぬきました。

山口:開発期間の大部分は、実はこのチューニングに費やしたんです。検証の際には、想定と異なる結果になることも多々ありました。実際の建物では、遮蔽物や反射などがあり、計算上最適と思われるルートよりも物理的な距離は遠くても電波を届けるにはそちらの経路のほうが良いということもあり得るからです。そういった様々な条件や実際に使われるシーンを想定して、くまなく測定しつくしました。チューニングに100点の答えはありませんが、できうる限り最高の性能を発揮できるよう、一切の妥協はしなかったという自負があります。

狩野:2点めは、「トライバンド」です。親機となる「WTR-M2133HP」は、2.4GHz帯、5GHz[W52/53]帯、5GHz[W56]帯の3つの電波(トライバンド)で同時通信が可能です。接続機器が増えても混雑することなく快適な通信を実現します。また、5GHz[W56]帯の通信を外付けアンテナに独立させたことで規格の最大値に近いレベルのパフォーマンスを発揮します。このアンテナをテレビや中継機などに向けることで、より高速な通信が可能となります。
 
3点めは、「connectアプリ」。スマートフォンにインストールすることで、「AirStation connect」の設定をアシストしたり、構成されたネットワークの状態確認や接続されている機器の状態確認、設定の変更などができる専用アプリです。今や高速なWi-Fi環境を求めるのはコアなPCユーザーだけではありません。デジタル機器の設定に不慣れな方でもかんたんに初期設定ができるほか、宅内のどの位置に中継機を設置できるのかを測定する機能も備えています。このアプリを使えば、PCやネットワークに関するノウハウがなくとも最大限に「AirStation connect」の性能を発揮できるようになります。また、つながっているすべての機器とその状況をチェックでき、ネットワーク全体の管理も簡単にできます。様々なことができるアプリですが、一目見てわかる使い心地の良いアプリにするため、細かな調整を何度も重ねました。おかげでどんな方にも使いやすいアプリに仕上がったのではないかと思います。

専用アプリ画面connect操作画面

── 現代のニーズに最適な商品に仕上がった「AirStation connect」。今後はどのように進化していくのでしょうか。

山口:「AirStation connect」はバッファローが開発した初めてのメッシュネットワーク商品です。この商品を出したことで、お客様の喜びの声や不満の声など様々なご意見があると思います。それらを受けとめ分析し、より快適にお使いいただけるようにブラッシュアップを重ねていきたいと思っています。


商品紹介 AirStation connect

独自のメッシュ機能で高効率なネットワーク。
バッファローの新提案。

スマートフォンでの4K動画視聴が一般的になった現在。家じゅうどこにいても快適なWi-Fi環境が提供されていることが求められています。リビングに置いてもマッチするデザインと、独自技術によるメッシュネットワークが、現代のニーズに応えるバッファローからの提案です。

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ブロードバンドソリューションズ事業部 FW開発係長 山口 悟 (写真:右) コンピュータの設定にも手を入れるほどのカスタムカー・エンスージアスト。コンピュータの設定によってパフォーマンスにどのような影響が出るかを分析するなど、開発における「チューニング」のこだわりは趣味から培われたもの。ブロードバンドソリューションズ事業部 FW開発係狩野 峻広(写真:左)スマートフォンをはじめ店頭でさまざまな機器を手にとってはその「インターフェース」をチェックする。商品と人との接点「インターフェース」への関心は商品のWebユーザー・インターフェースを構築する際も生かされている。