2025.12.25
Windows 11アップデート(アップグレード)でデータが消えたときの対処法と復元方法

2025年10月にWindows 10のサポートが終了し、Windows 10利用者のWindows 11への移行が進んでいます。対応機種であればWindows 11へのアップデートは無料で行えますが、アップデートした後にデータが消えてしまう事例が報告されているため、注意が必要です。なぜアップデート後にデータが消えてしまうのでしょうか? 消えてしまったデータは復元できるのでしょうか? Windows 11アップデートでデータが消える事例と原因、すぐにできる対処法について解説します。
※Windows 10からWindows 11への移行は正確には「アップグレード」といいますが、この記事では一般的によく使われる「アップデート」という言葉を使用しています。
1. Windows 11アップデート後にデータが消えるトラブル事例

Windows 11アップデートを実行した後にデータが消えてしまうトラブルには、以下のような事例があります。
1-1. 一時プロファイルでサインインしている
Windows Update完了後に再起動する際、元のユーザーファイルが読み込めずに一時プロファイルでサインイン(ログイン)することがあります。この場合は、アップデート前に表示されていたデスクトップやドキュメントのファイルやフォルダが表示されなくなり、データが消えたように見えますが、実際には消えていません。複数のアカウントが設定されているPCで、誤って別のアカウントでサインインした場合も同様です。
1-2. ファイルが移動されている、非表示になっている
Windows 11にアップデートする際のセットアップ画面で「個人用ファイルとアプリを引き継ぐ」または「個人ファイルのみを引き継ぐ」を選択しないと、元のデータは消えてしまいます。ただしデータはすぐには削除されず、アップデートから10日間は「Windows.old」フォルダに保存されるため、データの復元が可能です。
1-3. Windows 11の特定更新プログラムアップデート後にSSD/HDDが認識されなくなった
Windows 11 更新プログラム KB5063878 適用後に、PCの内蔵SSD/HDDやPCに接続されている外付けSSD/HDDのファイルシステムの破損、パーティション情報の破損などが発生し、PCがドライブを認識できなくなることがあります。このような状態は「RAW化」と呼ばれていますが、多くの場合SSD/HDD内にデータが残っており、更新プログラムをアンインストールしたり、パーティションテーブルを修復したりすることで復旧・復元できる可能性があります。
1-4. 外付けSSD/HDDをWindows 11の回復ドライブにしてしまった
Windows 11アップデート後に表示される回復ドライブの設定画面で、PCに接続してある外付けSSD/HDDやUSBメモリーなどを選択すると、それらに保存されていたデータはすべて削除されてしまいます。削除してしまったデータは復旧できる可能性がありますが、上書きされてしまったデータは復旧が困難です。
1-5. Windows 11をクリーンインストールしてしまった
インストールメディアを使ってWindows 11アップデートを実行する際に、「アップグレード」と「カスタム」の2種類が表示されますが、このときに「カスタム:Windowsのみをインストールする」を選択すると、クリーンインストールが実行され、PCの内蔵SSD/HDDのデータはすべて削除されてしまいます。削除されてしまったデータは復旧できる可能性がありますが、上書きされてしまったデータは復旧が困難です。
2. Windows 11アップデート後にデータが消えたときに自分でできる対処法

Windows 11アップデート後にデータが消えたように見えても、多くの場合SSD/HDD内にデータが残っており、障害のレベルによっては自分で対処してデータを復元することが可能です。以下に比較的容易な対処法をまとめましたのでご確認ください。中にはPCや外付けSSD/HDDの状態が悪化する可能性のある作業もありますのでご注意ください。
※Windows 11アップデート後にPCが起動できなくなった場合、インストールメディアからPCを起動してコマンドプロンプトによって修復する対処法がありますが、作業内容が上級者向けのため本ページでは割愛しています。
2-1. 正しいユーザーアカウントでサインインし直す
Windows 11アップデート後にデータが消えてしまったときは、まずサインイン(ログイン)しているユーザーアカウントを確認しましょう。自分のアカウントでサインインできていない場合はPCを再起動して、正しいアカウントでサインインし直しましょう。再起動は複数回必要になる場合があります。
◎ユーザーアカウントを確認する方法
- ① スタートボタン右の検索窓に「%userprofile%」と入力して「%userprofile%(システムフォルダー)」を選ぶと、ユーザーフォルダーが開きます。フォルダー内に「TEMP」フォルダーがある場合は一時プロファイルでサインインしています。この場合はすぐに再起動してサインインし直す必要があります。
- ② ①で「TEMP」フォルダーがない場合は、スタートボタンを右クリックして「設定」を開きます。
- ③ 開いた設定画面の左上にユーザーアカウントが表示されます。
- ④ 「アカウント」を開くと、さらに詳しいアカウント情報を確認できます。
2-2. ゴミ箱を確認する
Windows 11アップデート後に限らず、あったはずのデータが消えてしまったときは、一度ゴミ箱を確認してみましょう。ゴミ箱に入っていた場合は、復元したいファイルやフォルダのアイコンを右クリックして「元に戻す」を選択すると、元の場所に戻すことができます。
2-3. ファイル名・フォルダー名で検索する
Windows 11アップデート後にデータが消えてしまったときに、ファイル名やフォルダー名でPC内を検索することで、データが見つかる可能性があります。スタートボタン右側の検索窓にファイル名やフォルダー名を入力すると、該当するデータが表示され、ファイルやフォルダーを見つけることができます。
アップデートが完了すると、旧バージョンのデータは一時的に「C:\Windows.old」フォルダに保存されます。このフォルダは通常10日間保持され、その後自動的に削除されるため、10日間以内にエクスプローラーの「ローカルディスク(C:)」内の「Windows.old」を開き、必要なファイルをコピーしてください。
2-4. バックアップデータを確認する
PCや外付けSSD/HDD上にデータが見つからないとき、PCや外付けSSD/HDDが起動できなくなったときには、別の外付けSSD/HDDやNAS、USBメモリー、OneDriveなどのクラウドサービスにバックアップが残っていないか探しましょう。OneDriveはPCのデータをクラウドに同期して保存する機能で、利用者が気づかないうちにバックアップが残されている可能性があります。一度確認してみましょう。
◎OneDriveのデータを確認・復元する方法
- ① https://onedrive.live.com/にアクセスします
- ② PCで使用しているMicrosoftアカウントでログインします
- ③ 「マイファイル」を開きデータを確認します
- ④ 必要なデータを選び「ダウンロード」をクリックします
2-5. ファイル履歴からデータを復元する
Windowsには、PCのデータを外付けデバイスなどに自動的にバックアップする「ファイル履歴」機能が搭載されています。Windows 11アップデート前にこの機能がオンになっていた場合は、ファイル履歴の復元を実行することでデータを復旧できる可能性があります。PCが起動しない場合は、ファイル履歴の保存先ドライブにしていた外付けSSD/HDDなどを別のPCに接続し、ファイル履歴をオンにすることで、データを復元できる可能性があります。
※PCの状態によっては「ファイル履歴の復元」を実行することで状態が悪化する可能性があります。重要なデータが消えてしまった場合は、「ファイル履歴の復元」実行前にデータ復旧の専門業者に相談されることをおすすめします。
◎「ファイル履歴から復元」を実行する方法
- ① スタートボタン右の検索窓に「ファイル履歴」と入力し、「ファイル履歴」を開きます
- ② 復元したい日時のファイルやフォルダーを選び、復元ボタンをクリックするとデータが復元されます
2-6. 以前のバージョンに戻す
Windows 11アップデート後にデータが消えてしまったときには、「以前のバージョンに戻す」機能を使ってアップデート前の状態に戻すことで、データを復元できる可能性があります。この機能はアップデート後10日間で使用できなくなるため、実行する場合は早めに行いましょう。
※PCの状態によっては「以前のバージョンに戻す」を実行することで状態が悪化する可能性があります。重要なデータが消えてしまった場合は、「以前のバージョンに戻す」を実行する前にデータ復旧の専門業者に相談されることをおすすめします。
◎「以前のバージョンに戻す」を実行する方法
- ① スタートボタン右の検索窓に「回復」と入力し、「回復オプション」を開きます
- ② 「復元」の「戻す」ボタンを押し、画面表示に従って進めていきます
- ③ 「以前のビルドに戻す」をクリックするとアップデート前の状態に戻ります
2-7. システムの復元を実行する
Windowsには、PCに問題が発生したときにシステムを以前の状態に戻す「システムの復元」機能が搭載されています。Windows 11アップデート後にデータが消えてしまったり、PCが起動しなくなったりした場合は「システムの復元」を実行することで解決する可能性があります。
※PCの状態によっては、「システムの復元」の実行や強制終了〜起動の繰り返しにより状態が悪化する可能性があります。重要なデータが消えてしまった場合は、作業実行前にデータ復旧の専門業者に相談されることをおすすめします。
◎「システムの復元」を実行する方法(PCが起動する場合)
- ① スタートボタン右の検索窓に「復元ポイントの作成」と入力して「復元ポイントの作成」を開きます
- ② 「システムの復元」をクリックします
- ③ 「次へ」をクリックしてから、復元したい日時の復元ポイントを選び「次へ」をクリックします
- ④ 「完了」をクリックすると、システムが以前の状態に復元されます
◎「システムの復元」を実行する方法(PCが起動しない場合)
- ① PCの強制終了〜起動を何度か繰り返して自動修復画面を表示させます。
- ② 「詳細オプション」→「トラブルシューティング」→「詳細オプション」→「システムの復元」を順次クリックしていきます
- ③ 「回復キー」を入力して「続行」をクリックすると「復元ポイントの作成」画面が開きます
- ④ 復元したい日時の復元ポイントを選び「次へ」をクリックします
- ⑤ 「完了」をクリックすると、システムが以前の状態に復元されます
2-8. データ復旧ソフトを実行する
Windows 11アップデート後にデータが消えてしまったときには、市販のデータ復旧ソフトを実行することで、データを復元できる可能性があります。データ復旧ソフトはさまざまなメーカーから販売されていますので、機能や価格を調査比較した上で購入してください。
※PCの状態によってはデータ復旧ソフトを実行することで状態が悪化する可能性があります。重要なデータが消えてしまった場合は、データ復旧ソフト実行前にデータ復旧の専門業者に相談されることをおすすめします。
3. 自力で解決できないときは専門業者に相談を

上記の方法で解決できなかった場合でも、専門業者に依頼することでデータを復旧・復元できる可能性があります。重要なデータが保存されていた場合は、あれこれと試す前に一度データ復旧業者に相談することをおすすめします。データ復旧の成功率を高めるためには、SSD/HDDに残されているデータが完全に消えてしまったり、SSD/HDDの障害が進行する前に、できるだけ早くデータ復旧を行うことが重要です。メーカーに修理に出すと、SSD/HDDが交換されたり、データが消去される可能性があるため、修理に出す前にデータ復旧業者にご相談ください。
◎データ復旧の成功率を高めるためのポイント
- ・PCや外付けSSD/HDDの使用をすぐに止める。
- ・再起動や強制終了を何度も行わない。
- ・本体に衝撃を加えない。
- ・分解しない。
- ・市販の修復ソフトやデータ復旧ソフトを試さない。
- ・メーカー修理に出さない。
- ・できるだけ早くデータ復旧業者に相談・依頼する。
4. Windows 11アップデートを行うときの注意点
Windows 11アップデート後にデータが消えるトラブルを防止するためには、できるかぎり安全な方法で行うことが重要です。以下に注意点をまとめましたので、これからアップデートを行う場合は参考にしてください。
4-1. PCの内蔵SSD/HDDの空き容量を確認しておく
Windows 11アップデートを行うためには、起動ディスクに64GB以上の空き容量が必要です。事前に空き容量を確認し、不足している場合はデータを外付けSSD/HDDに移行する、不要なデータを削除するなどして、空き容量を増やしてください。64GBギリギリではなく、できるだけ余裕のある状態にしておきましょう。
4-2. 重要なデータをバックアップしておく
Windows 11アップデートを行う前にPC内のデータを確認し、重要なデータは外付けSSD/HDDやクラウドなどにバックアップしておきましょう。Windows 11には「ファイル履歴」「Windowsバックアップ」などのバックアップ機能が搭載されていますので、これらの機能を利用して普段からバックアップをとることを習慣づけましょう。
▶ PC・外付けHDD/SSD・NAS等のデータをバックアップする方法
4-3. 使用しているアプリがWindows 11に対応しているか確認しておく
Windows 10からWindows 11にアップデートすることで、一部のアプリが使用できなくなる可能性があります。普段使用しているアプリや今後使用予定のアプリがWindows 11に対応しているかどうかを事前に確認し、対応していない場合は代わりのアプリを探しておきましょう。
4-4. 高速スタートアップを無効にしておく
Windows 10/11には、PCの次回の起動時間を短縮化する「高速スタートアップ」という機能が搭載されていますが、この機能が有効な状態でWindows 11アップデートを実行した場合に、パーティション情報が破損する事例が報告されています。アップデートを行う前に高速スタートアップを無効にしておきましょう。
◎高速スタートアップを無効にする方法
- ① スタートボタン右側の検索窓に「コントロールパネル」と入力して「コントロールパネル」を開きます
- ② 「ハードウェアとサウンド」をクリックします
- ③ 「電源オプション」の「電源ボタンの動作の変更」をクリックします
- ④ 「現在利用可能でない設定を変更します」をクリックします
- ⑤ 「高速スタートアップを有効にする」のチェックを外して「変更の保存」をクリックします
4-5. 外付けSSD/HDDなどは外して作業を行う
外付けSSD/HDDをPCに接続したままWindows 11アップデートを実行すると、エラーが発生したときに外付けSSD/HDDにも影響が及ぶ可能性があります。外付けドライブのデータが消えてしまう、外付けドライブが認識できなくなるなどのトラブルを防ぐために、外付けドライブをPCから外してから作業を行いましょう。
4-6. アップデート中に電源が切れないようにする
Windows 11アップデートの途中でPCが不正終了すると、アップデートが完了できず、PCのデータが消えたり、PCが起動できなくなったりする可能性があります。ノートPCの場合はバッテリー駆動ではなく、必ずACアダプターで充電しながら作業を行いましょう。デスクトップPCの場合は作業中に電源ケーブルが抜けないように注意しましょう。
4-7. アップデートを中断しない
Windows 11アップデートは、実行中にキャンセルボタンが表示されているときはボタンをクリックすることで中断が可能ですが、これ以外の方法で中断するとデータが消えたり、PCが起動できなくなったりする可能性があります。正しい方法でキャンセルした場合でも、PCの状態によってはエラーが発生する可能性があります。アップデート作業にかかる時間はPCの性能や状態によって異なり、1〜2時間以上かかる場合もありますので、時間に余裕があるときに行いましょう。
5. 消えてしまったデータの復旧・復元はバッファローにご相談を

Windows 11アップデート後にデータが消えてしまったPCや外付けSSD/HDDなどの診断、データ復旧をしたい場合は、信頼できる業者に依頼されることをおすすめします。バッファローのデータ復旧サービスは診断・見積り無料、一律固定料金で安心してご利用いただけます。SSD/HDDのメーカーならではの高い技術力、万全のセキュリティー体制で対応させていただきます。

