半固体モバイルバッテリーとは?モバイルバッテリーはなぜ燃える?
近年、私たちのデジタルライフに欠かせないモバイルバッテリー。その主流である液体電解質のリチウムイオンバッテリー(以下 従来のモバイルバッテリー)の仕組みと注意すべき危険性に加え、安全性を高めた半固体電解質のリチウムイオンバッテリー(以下 半固体バッテリー)について解説します。
2026年3月現在、電解質の呼称に明確な区分が決まっていないため、「半固体バッテリー」は「準固体バッテリー」と呼ばれる場合もあります。
モバイルバッテリーの仕組み
現在、最も普及しているモバイルバッテリーのほとんどは、リチウムイオンバッテリーです。その名の通り、リチウムイオンの移動を利用して充放電を行います。
このバッテリーの基本的な構造は、以下の5つの構造で成り立っています。
1. 正極
リチウム金属酸化物など。
2. 負極
主にグラファイト(炭素)など。
3. 電解質
リチウム塩を溶かした有機溶媒。イオンの通り道となります。液体のものは電解液とも呼ばれます。
4. セパレーター
正極と負極の物理的な接触を防ぐ多孔質の膜。電子を通さない絶縁体ですが、電解質が無数の孔に染み込むためリチウムイオンは通過できます。
5. ケース
1~4の構造を包みこんでいます。円筒状やシート状のものがあります。
充電時の動き
充電器を接続すると、充電器の電力で負極に電気回路を通して電子(-)が流れ込みます。流れ込んだ電子はセパレーターで絶縁されているために、負極側にとどまります。この状態は電気的に不安定であるため、バランスをとるようにリチウムイオン(+)がセパレーターを通して正極から負極へ移動し、エネルギーを蓄えます。
放電時の動き
モバイルデバイスに接続すると、電気回路がつながるため、負極に蓄えた電子が正極に移動します。このとき電流が正極から負極へ電気回路を通って流れ電気として供給されます。
電子の移動と同時に、リチウムイオンがセパレーターを通して負極から正極へ移動します。
なるほど解説:どうして電子やリチウムイオンが移動するの?
電子は、電位(V)の低い場所から高い場所に向かって勝手に流れていきます。このとき電流は正極から負極に流れている状態です。水が高さの高い場所から低い場所に向かって流れることに似ています。
バッテリーの正極と負極はバッテリーとして使用した際に「ちょうどよく安定する」電子の数とリチウムイオンの数の比率による電位が決まっていてこれを標準電極電位といいます。
標準電極電位が大きいほうが正極、小さいほうが負極として使われています。
電子が正極と負極の間を移動すると、バッテリーの内部全体で、なるべくちょうど良い状態を保とうと、電解質を通してリチウムイオンも移動するのです。
バッテリー単体では、正極と負極はつながっていないため、電子は動けません。
電気回路をバッテリーにつなぐことで、電子は水が流れるように勝手に移動し電気が流れます。
充電は電子を逆の方向に動かすためにACアダプターなどの充電器で外側から力を加えて逆流させるイメージになります。
劣化したモバイルバッテリーの危険性について
リチウムイオンバッテリーは非常に便利ですが、使い方や経年劣化によって危険性が増します。特に注意すべきは、発火・爆発のリスクです。
発火、爆発
モバイルバッテリーの発火や爆発の主な原因は、下記のような状況で発生するバッテリー内部のショート(短絡)と、それに伴う熱暴走です。
セパレーターの損傷
落下などの強い衝撃や、内部で発生したガスによる膨張、過充電や高温環境によるバッテリー内部の温度上昇などによってセパレーターが破損すると、正極と負極が接触、バッテリー内部のショートを引き起こします。
リチウムデンドライトの成長
リチウムイオンバッテリーは使用を重ねる劣化により、負極から樹氷のようにリチウムの結晶(リチウムデンドライト)が枝状に成長し、いずれセパレーターを超えて正極に接触、バッテリー内部のショートを引き起こします。
熱暴走
上述のような原因で発生したショートにより急激な電流が流れ、バッテリー内部の温度が急上昇(発熱)します。この熱がセパレーターを融解(約140℃)、ショート箇所が増加、さらに熱を発生させる連鎖反応を引き起こします。
ショートによる発熱は数百℃にも達し正極や負極の熱分解や電解質の沸騰を引き起こします。暴走という名前の通りこの状態になってしまうと発熱を止めることが非常に困難になります。このときバッテリーは急激に膨張し煙を吹き出します。
最終的に内部の部材が分解されて発生した可燃性のガスや可燃性の電解質の発火温度に内部温度が到達、モバイルバッテリーの発火や破裂・爆発を引き起こします。
この炎は火元から自身の熱で供給される可燃性ガスや酸素を燃焼しているため、消火が難しく火災の拡大の原因となる場合があります。このような熱暴走の連鎖反応を止めるためにはバッテリー自体を冷却することが最も重要です。消火の際は安全な距離を確保し、「大量」の水を張ったバケツなどにバッテリーを沈めて継続的に冷却してください。劣化したモバイルバッテリーはリチウムの結晶が発生している可能性があり、少量の水ではリチウム金属と反応して発生する水素に引火する場合があるためかえって危険です。また消火にはABC粉末消火器も有効です。ただし、高温により有毒ガスが発生している可能性もあるため、消火活動は可能な限り専門家の指示に従ってください。
モバイルバッテリーの危険なサインを見分ける方法:寿命と故障の兆候
モバイルバッテリーは便利ですが、リチウムイオンバッテリーは内部が劣化すると、発火や破裂といった重大な事故につながる危険性があります。もしお使いのバッテリーに以下の『危険な兆候』が見られたら、それはバッテリーが寿命を迎えたりして、安全に使用できない状態になっているサインです。絶対に使い続けず、直ちに使用を中止し、自治体のルールに従って正しく処分してください。
充電持ちの極端な悪化
充電してもすぐに電池が切れるなど、急激に性能が落ちることがあります。
膨張や変形
モバイルバッテリー内部でガスが発生しているサインで、最も分かりやすい危険信号です。
バッテリーの膨張によりモバイルバッテリーの筐体が歪んだり破壊されることもあります。
異音
充電中や使用中に、通常と異なる音が聞こえる場合があります。この音は異常発熱による変形などで発生します。
異臭・液漏れ
モバイルバッテリーから焦げたような臭いや刺激臭、シンナーのような甘い匂いがしたり、内部の有害な液体が漏れることがあります。この液体はショートや発火の原因となる場合があります。
異常発熱
モバイルバッテリーの充電中や使用中に普段よりも熱くなったり、触れないほどの熱を持ったりすることがあります。モバイルバッテリーを使用していないときに発熱することもあります。異常発熱したモバイルバッテリーは内部で異常な化学反応が起きている可能性があり、熱暴走(発火・爆発)の前兆である場合があります。
モバイルバッテリー(リチウムイオンバッテリー)の正しい捨て方・処分方法ガイド
【注意】バッテリーが膨張・変形・液漏れしている場合
膨らんでいたり、破損して液体が漏れていたりするモバイルバッテリーは、絶対に回収ボックスに入れないでください。発火の危険性が非常に高いため、特別な処理が必要です。お住まいの自治体の清掃担当窓口、または購入した製品のメーカー(例:バッファローなど)のカスタマーサポートに連絡し、適切な処分方法について指示を仰いでください。
不要になったモバイルバッテリーは下記の手順で適切に処分することができます。
1. 端子部分の絶縁
モバイルバッテリーを処分する前に、万が一のショートを防ぐため、モバイルバッテリーの端子部分をビニールテープなどで覆い、「絶縁」します。
2. リサイクル回収BOXで処分
リサイクルマークのあるモバイルバッテリーは、「JBRC」に加盟しているお店や市区町村の役所などに設置されているリサイクル回収ボックスに持ち込んで処分することができます。JBRCの回収ボックスに入れる際は、ショートによる発火を防ぐため、1の通り、バッテリーの金属端子部分をビニールテープなどで覆って絶縁してから投入するようにしましょう。
または、ごみの日に回収
2025年4月15日に環境省が全国の自治体にリチウム蓄電池等の処理について通知を出し、モバイルバッテリーの回収場所や方法が増えました。
2026年3月現在では、市区町村で家庭ごみとしてモバイルバッテリーを回収できる仕組みも普及してきています。お住まいの地域のモバイルバッテリーの捨て方に従って処分することができます。
お住まいの自治体によって回収ルールは異なります。必ず事前に、自治体のウェブサイトやごみ収集の案内をご確認の上、指定された方法で処分してください。
半固体(準固体)バッテリーの登場
液体電解質を使用している従来のリチウムイオンバッテリーは極端な劣化や破損時に発火する可能性がありました。そこで破損時の発火の可能性を抑え安全性を高めるように改良された「半固体(準固体)バッテリー」が注目されるようになりました。
半固体バッテリーと従来のバッテリーの違い
半固体バッテリーは、従来のバッテリーでは可燃性だった液体の電解質を、燃え広がりにくく安定したゲル状の電解質に置き換えることで、安全性を高めています。
半固体バッテリーが燃えにくい理由
ゲル状の電解質によって、半固体バッテリーは従来のバッテリーと比較して、下記のように発火の危険を抑えています。
熱暴走を食い止める保護膜の形成
半固体バッテリーのゲル状の電解質には特殊な素材が使われており、内部でショートが発生した場合に、その周囲に熱に強い”保護膜”を瞬時に形成。この膜が”防火壁”のように働き、異常がバッテリー全体に広がる熱暴走の発生を防ぎます。
液漏れリスクの低減、構造の安定性
電解質がゲル状のため、強い衝撃を受けても液漏れしにくく、ショートの原因となる電解質の流出を防ぎます。固体に近いゲル状の電解質が正極と負極の間に安定して存在するため、セパレーターが破損しても構造全体が崩れにくく、熱暴走の連鎖反応を抑制する効果が期待されています。
リチウムデンドライトの成長を抑制
半固体バッテリーではゲル状の電解質がリチウムデンドライトの成長を抑制します。これにより、長期使用による内部ショートのリスクも低減されます。
「燃えにくい」からこそ、見えないリスクまで検証
半固体バッテリーは従来より燃えにくい性質を持ちますが、バッファローは「燃えないからこそ、万が一の破損に気づかず使い続けてしまう」という特有のリスクに着目しました。専門機関にて破損時を想定した極限状態でのガス発生検証を行い、危険性のある物質について「検出限界以下」であることを確認しています。新しい技術を安心してお使いいただくために、カタログスペックを超えた厳しい品質管理を徹底しています。
万が一、バッテリーが破損した場合は、安全のため速やかに使用を中止し、適切な処分をお願いします
半固体バッテリーとナトリウムイオンバッテリーの違い
従来の液体電解質リチウムイオンバッテリーの後継となる次世代バッテリーとして、「半固体バッテリー」のほかに「ナトリウムイオンバッテリー」も注目されています。ナトリウムイオンバッテリーは、希少資源であるリチウムの代わりに安価で豊富なナトリウムを用いることで、材料調達の安定化とコスト削減を目指すものです。一方で、技術的な特性として、ナトリウムイオンはリチウムイオンよりも物理的なサイズが大きく、充放電の際に電極に物理的な負荷が大きくなりやすいという側面があります。
特に20W~30Wといった急速充電が主流の現代のモバイル環境においては、この負荷が長期的な信頼性に与える影響を無視できません。そのため、バッファローは現在のライフスタイルにおいて「高い安全性」と「確かなパフォーマンス」を最も高いレベルで両立できる選択肢として、リチウム技術をベースとした半固体バッテリーを採用しています。
半固体バッテリー
主な目的
発火リスクの低減と高性能化
主な材料
リチウム、ゲル状の電解質
特徴
液体電解質のリチウムイオンバッテリーと同等のエネルギー密度であり小型軽量を維持できる。ゲル状の電解質によって、デンドライトが抑制されることや、万が一のショート発生時に熱暴走を抑える構造から、長期利用時の発火リスクを抑えられる。ただし希少な材料であるリチウムを使用する。
ナトリウムイオンバッテリー
主な目的
材料の安定確保と低コスト化
主な材料
ナトリウム(リチウムよりも圧倒的に入手性が良い)
特徴
材料調達の面では有望で、将来的に低コストでの製造が期待できる。動作温度範囲が広く、高温環境下での発火リスクを抑えられるが、エネルギー密度が低く、比較的バッテリー自体が大きく重くなる。急速充電を多用するモバイル環境下では、ナトリウムイオンの物理的サイズが大きい特性によって長期的な信頼性の見極めが必要な場合がある。
バッテリーのエネルギー密度とは?
バッテリーは使用している材料によってエネルギー密度が概ね決まっています。
エネルギー密度とは、重量(kg)や体積(L)あたりでどのくらいの電力を蓄えることができるかどうかを表した数値で、バッテリーがどれだけ効率よく電気を蓄えられるかを示す指標です。
たとえば現在主流な電池の重量エネルギー密度は下記のようになっています。
| 重量エネルギー密度 (Wh/kg) | |
|---|---|
| 液体電解質のリチウムイオンバッテリー | 150~250 |
| 半固体(準固体)バッテリー | 液体電解質のリチウムイオンバッテリーと同等か、それ以上 |
| ナトリウムイオンバッテリー | 100~160 |
| ニッケル水素バッテリー | 60~120 |
液体電解質のリチウムイオンバッテリーの場合、重量エネルギー密度が150~250Wh/kgであるため、37Wh(定格3.7V 10000mAh)の容量であればバッテリー本体が148~247g程度+外装やその他の電気部品などの重量がモバイルバッテリーの重量であると計算でわかります。
ネット通販などでは実際の容量よりも大きい容量が記載されている製品が売られていることもあります。上記の目安となる重量を知っておけば容量の偽装を見分けやすくなるでしょう。
未来のバッテリー 全固体バッテリー
リチウムを使用しながら安全性と高性能を両立するバッテリーとして、全固体バッテリーの研究開発が進められています。全固体バッテリーは現在主流のリチウムイオンバッテリーでは液体である電解質が完全に固体になったバッテリーです。全個体バッテリーのエネルギー密度は350~500Wh/kg程度を目指しており、量産できるとモバイルバッテリーのサイズや重量は同等の用途であれば現在のモバイルバッテリーのおよそ半分ぐらいになるでしょう。
2026年3月現在では、自動車業界などを中心に実用化に向けたロードマップが明確化しています。より小型なモバイルバッテリー分野への実用化にも期待されています。
持ち運び用途では半固体モバイルバッテリーがおすすめ
モバイルバッテリーに最も求められる要素は「小型軽量」「大容量」と「安全性」です。
2026年時点では、半固体バッテリーがこれらのニーズに最も応える選択肢となりつつあります。
半固体バッテリーは従来のモバイルバッテリーと比較して、万が一の落下や過充電時にも、発火・爆発のリスクが大幅に抑えられています。
また、半固体バッテリーは高いエネルギー密度(容量)を維持できるため、従来のモバイルバッテリーと遜色ないサイズや軽さと充電容量のバランスを実現します。
外出先で頻繁に利用し、使用時の安全性にも配慮したいユーザーにとって、半固体モバイルバッテリーは安心して利用できる次世代のスタンダードと言えるでしょう。
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