#123 アートディレクター 尾崎 元也


すぐに作業をしたい自分のスタイルに応えてくれる安定・安心・高速NAS
第123回目の@Professional はアートディレクターの尾崎 元也(おざき もとや)さん。名だたる日本のロックスター達のアートディレクションを多数手掛ける超多忙なアートディレクター&グラフィックデザイナー。高い美学を追求するアーティストから常に支持される理由は自身の瞬発力とアイデアの豊富さ、そして裏方としての究極のサポート愛だと言う。第一線の華々しさを奥で演出するクリエイティブの話と、バッファローユーザーでもある尾崎さんが最近 バッファローの提供を受けて導入したNAS(ネットワークハードディスク)「LS420D0202」 がどうデザインの現場で役立っているのか?早速LAVAが東京・世田谷にある尾崎さんの仕事場を訪れお話を伺いました。
プロクリエイターが選んだ商品
(バッファロー提供)
リンクステーション ネットワーク対応HDD
Creator's Profile

尾崎 元也(おざき もとや)
1976年 三重県伊勢市生まれ。 大手デザイン会社に入社し、エンタテインメント全般のグラフィックデザインに関わる。 2005年株式会社フレイヴァを設立。 主に音楽・映画・ファッション系のグラフィック全般、広告・キャンペーン、ウェブ、パッケージ、映像などのアートディレクションを手掛ける。 2014年、maxsixデザイナーのMIKIOと共にファッションブランドjetee blancを設立。 関わったアーティストは、L’Arc~en~Ciel・VAMPS・サザンオールスターズ・氷室京介・DREAMS COME TRUE・平井堅・安室奈美恵・いきものがかり等多数。
Interview
Tシャツのグラフィックをつくるのが好きな高校生でした
—— 尾崎さんがアートディレクター、グラフィックデザイナーになっていった経緯を教えてください。
僕はTシャツがとても好きで、18歳から22歳ぐらいまではファッションの勉強をしていたんです。最初はMac等のパソコンはなかったのでコピー機を使用したりしてTシャツのグラフィックを手描きで作っていました。それを始めたのが高校生ぐらいの時でしたね。地元のお店に置いてもらったり、結構真剣にやっていましたよ。僕は三重県出身ですが、Tシャツの勉強をもっとしたくて知り合いのつてを頼って上京しました。
—— その頃もまだパソコンは購入していなかったんですか?
はい。確か僕が20歳の時に「Power Macintosh G3」を買いました。その頃からファッションよりもパソコンをいじってグラフィックを作るのが楽しくなってきたんです。ファッションデザインはずっとアナログでしたので。僕がパソコンに目覚めていったのはその頃ですね。パソコンがあれば思い通りのグラフィックが簡単に作れるのが快感でした。
—— 卒業後は?
しばらくは色々旅行に行ったり勉強したりしていましたが、知り合いの紹介で大手デザイン会社に就職しました。そこで約5年間、音楽、映画等のエンタテイメントに関わるデザインやグラフィック、映像、CM制作、デザイン等を手掛けました。
—— いきなり大手のデザイン会社で入ったばかりの若者がそんな大きな仕事に携わっていけるものですか?
最初の頃は会社にはメンバーが5、6人しかいなく、先輩はふたり。デザインをやる人もあまりいなく、唯一デザインを手掛けていた先輩も僕が入社した3ヶ月後に退社。いきなり社長に命令され23歳の若者が制作部の責任者です(笑)。会社も勢いがあったので仕事はバンバン入って来ます。出来ないなんて言っている場合ではないんですね。でも僕はこの会社で様々な仕事に携われました。僕の年齢、経験値を考えても良い仕事をさせてもらえました。かなりの早熟だったと思います。その後は会社も社員がどんどんと増えていき、部下も増え、僕は自分でデザインをするよりもディレクターの立場で仕事をするようになりました。管理職みたいなポジションになってしまったんですね。そこから思いきって独立をしました。27歳の時です。
—— 27歳か。やっていける自信はあったんですか?
デザイン会社のお客さま、クライアントは会社というよりも人に仕事をくれているという感じでした。僕は間にプロデューサーや代理店をはさまずにクライアントと直接やりとりをしていたので、コミュニケーションが常にとれていたと思うんです。なので独立してもクライアントとは上手くやっていく自信はありました。
僕のデザインにおいてはアーティストが主役
どうやったら格好良く見えるかを常に考えています
—— その自信で独立後はすぐに上手くいきましたか?
恵比寿に事務所を構えましたが、以前いた会社からの付き合いがあるクライアントが仕事をバンバン持ってきてくれて大分助かりましたね。
—— 尾崎さんの経歴を見ると日本のロックシーン、それも大物からのデザインやグラフィックの支持が高いですよね。自分で分析するとどう考えますか?
僕はまずデザインにおいて「絶対これでなくてはならない」という部分を持っていません。僕は自身の作品を作っているのではなく、裏方としてアーティストのお手伝いをしている感覚で作業に臨んでいます。あくまでもアーティストの考えありきで、なにか僕の意見が必要な場合はもの凄く追求して一緒に考えていきます。それと瞬発力。提案のスピードは速いです。考えるのが速く、まとめるのも速いです。そこが得意技と言えますね。クライアントが言っていることを瞬時に理解するのが得意です。やはりアーティストが主役であり、彼等がどうやったら格好良く見えるかを常に考えています。サポートしていく上でのデザイナーの愛だと思いますね。
—— 僕はどうやったらかっこ良くなる?
どうしたらいいでしょう?(笑)でもアーティストのみなさんは自分の意見を出してきます。自分はこうしたい!という風に我も強いです。僕は彼等が言ったことを具体化して、それ以上のこともしようと努めます。だからどんどんと彼等もリクエストを出してきます。僕はまたそこにアイデアを出します。時間のかかる作業ですが、僕はミーハーでもあるので(笑)。有名なアーティストが僕の意見やアイデアを喜んでくれる、それだけで凄く嬉しいんです。僕はアーティストの作品を作るデザイナーであり、音楽系のグラフィックデザインに関しては自分自身が作品を作っているアーティストではないんです。だからこの世界で仕事が出来ていると思います。
どんな仕様、どんなデザインにするか
そのイメージを提案するところが一番大切ですね
—— 裏方としての愛ですね。大切です。では尾崎さんのひとつの作品が出来るまでの流れを教えてください。
ではアーティストのコンサートパンフが出来るまでの流れをお話しますね。最初のミーティングでコンサートのイメージ、コンセプトをみんなで話し合い、コンセプトが決まったらコンサートロゴをデザインします。それが一番最初のイメージになります。コンサートタイトルはアーティストが考えます。彼等からこういうイメージにしたいという話を聞いてクリエイティブにつなげていきます。それからどういうグッズを作るかを考えます。その中には必ずコンサートパンフが含まれますね。それが最もファンのみなさんが欲しくて売れる物です。アーティストが考えるイメージのコンサートパンフのラフ案、印刷の仕様等を提案していきます。大体4~5案出してから絞り込み、第1案が決定します。その後コンサートパンフの撮影が始まります。カメラマン、スタイリスト、ヘアメイク、美術スタッフ、各スタッフへの発注、撮影スタジオの決定等、その全てのディレクションを手掛けます。撮影終了後、撮った素材をアーティストにチェックしてもらい、OKテイクをアーティストに決定してもらい僕の使用したいものも入れていき、デザイン構成を考え、それと同時に中に文章が必要だとするとライターに発注します。中のデザインコピーで英文が必要だと翻訳家にも発注。それを元にデザインを組み上げ出来たものをアーティスト本人にプレゼンします。なかなか一発でOKは出ないので、何回かアーティストとやりとりをしてデザイン、写真等も差し替えたりしていきながら結果OKの出たものを印刷会社に入稿します。色校正を確認し校了して、そこで僕の作業は終了です。
—— その中でも最も大切な部分はどこですか?
提案ですね。まず最初のどんな仕様にするか、どんなデザインにするか。そこが大切でもあり僕の得意なところでもあります。そこさえ通過してしまえば後は流れに乗って作業していくだけですね。イメージ作りが最も大切と言えます。
—— なるほど。ではパソコンの話に行ってみましょう。メインで使用しているパソコンは?
Mac Proです。ソフトはPhotoshopとIllustrator。パソコンで仕事をすることは大好きです。デザインがつらいと思ったことは一度もありません(笑)。
—— バッファロー製品を以前から愛用していますね?
はい、この仕事を始めた頃からバッファロー製品を使っています。現在この仕事場にもバッファローのWi-Fiルーターが3台あります。よく持ち歩くハードディスクもThunderbolt接続対応のバッファローのポータブルハードディスクです。これ本当に速いんです。USBハブもバッファロー製品です。
—— ではバッファローの提供を受けて最近導入したNAS(ネットワークハードディスク)「LS420D0202」について教えてください。
僕は外部スタッフ、外部クリエイターとの仕事が多いんです。仕事柄、容量の大きな写真のデータ送信のやりとりが多いんですね。公開前のデータということもあり外部のサーバーに上げるのも危険です。なのでこのバッファローのNASをファイルサーバーとして使って、彼等スタッフやクリエイターとデータのやりとりをしています。自宅以外でもアクセス出来るのがまず良いところで、転送スピードも速く大容量のデータでもストレスなくやりとりが出来ます。出先に大きなデータを持っていくことってなかなか出来ないですしね。それこそプレゼンの時とかは大変便利で、その現場からこのNASにアクセスして、大きなデータでも全てその場で見てもらえます。デザイナーとしては大きく役立つポイントです。僕がストレージ製品に求める重要性は安定性と速度。安定性に関してはデータを失ったら大変なポジションに僕はいるので不安なく使えるものがいいです。速度に関しては僕はスピードが遅いといったことだけでストレスがたまりやすいタイプのデザイナーです。先ほども言いましたがアイデアや具体例を速攻で出して、すぐに作業していくのが自分のスタイルです。全てのことに素早くアクセス出来ないとダメなんです。それらが上手くいかないと作業を止めてしまうこともあるくらいです。そのふたつの僕のリクエストに応えてくれているプラス、外部からのアクセスや外部とのやりとりを簡単に、かつ可能にしてくれているのがこの「LS420D0202」です。これからも大切にしていきたい製品ですね。
—— ありがとうございます。これからのクリエイティブも楽しみにしています。では最後に尾崎さんのようなアートディレクターを目指す人達にメッセージをお願いします。
インプットすることが大事だと思います。どれだけ自分の引き出しを持っているかにつながっていきます。好き嫌いなく興味を持って見ること、聞くこと、感じることが重要です。好きな物に興味を持ちインプットするのは重要ですが、嫌いな物も認めてインプット出来る余裕が必要だと思います。僕は年間で150冊くらい本を読みます。それとネットニュースからSNS等、色々なものからインプットしていきます。インプットしないとアウトプット出来ないですからね。どんなものでも平等に、そして客観的にものを見ていくことが大事だと思います。
——今日はどうもありがとうございました。
Interview Photos
尾崎さんの手掛けたクリエイティブを本人のコメントで紹介していきます。

「氷室京介さんのツアーパンフレットです。こちらは表紙に特殊印刷でファーを表現しました。ニューヨークで撮影された写真を中心に構成しているのですが、ラグジュアリーな雰囲気を醸し出したくてこの仕様になりました。通常では中々出来ない特殊印刷でしたので何度もやり直しましたが、結果とても良い感じにファーが表現できたと思います。これは特に気に入ってる仕様のひとつです。ツアーパンフレットは特に特殊な仕様を求められる事が多いです。」

「2014年に発売された写真集VAMPS13からの写真展をパルコミュージアムで開催しました。ワールドツアー、ジャパンツアー、ニューヨーク撮りおろしなど盛り沢山の内容でしたのでB4横開き大型写真集に。洋書などではよく見かけますが日本では中々このサイズの製本をしている所が少なく大変みたいでした。写真展でもB倍以上のサイズで展示をしました。1万人以上動員し全国展開に繋がっていきとても楽しい仕事でした。」

「いきものがかりのアーティストブックです。ここ何年かの傾向ですが写真だけで構成されるものよりも沢山の記事、インタビュー等が掲載されるアーティストブックが増えてきました。この本もライブ写真、撮りおろし写真、インタビュー、ライブレポート、メンバーページ等盛り沢山です。いきものがかりはこれが初めての撮りおろしでしたが、馴染みのフォトグラファーと綿密に打ち合わせして撮影に臨んだのでとても良い仕上がりになりました。」

「maxsixデザイナーのMIKIOと共にファッションブランドjetee blancを立ち上げました。2015S/SスタートのトートバッグとTシャツのブランドです。基本アナログで作ったグラフィックで展開しています。簡単そうに見えるグラフィックでもアナログ作業でつくると大変ですが、昔を思い出してとても楽しい作業です。今後は洋服だけでなく雑貨なども作っていく予定です。」

昔からのバッファローユーザーでもある尾崎さんが最近バッファローの提供を受けて導入したNAS(ネットワークハードディスク)「LS420D0202」です。「安定性とスピード、そして外部とのアクセスを可能にした3拍子揃ったハードディスク!」と絶賛してくれました。日本の音楽シーンの第一線でもこのNASが活躍しているのは本当に嬉しいですね。

作業中の尾崎さん。最近ではファッションブランドとの仕事も増え、さらに多忙を極めています。自身の得意技は提案とスピード。尾崎さんの作業場にいたらそれが分かるような気がしました。

高い美学を追求する一流のアーティストから常に支持される理由。今回のインタビューで僕が最も聞きたかったことですが、それは自身の瞬発力とアイデアの豊富さ、そして裏方として究極のサポート愛なんですね。デザイナーとして第一線の華々しさの奥で演出する尾崎さんのアートディレクター魂に触れました。僕もロックスターデビューしたら間違いなく彼に全部頼みます(笑)。
Creator's Favorite Foods
尾崎 元也の好きな料理 “この一品!”「スコッチバンクス渋谷のマスカルポーネ・パンケーキ」

尾崎さん曰く、「マスカルポーネを使用したパンケーキでスフレと間違うほどの柔らかさですが、ギリギリパンケーキです(笑)パンケーキ自体も美味しいのですが添えてあるバターも美味しいんです。バターだけ食べたいくらいに。ティラミス、ミックスベリーなど色々ありますが、僕はプレーンが一番大好きです。店の雰囲気も良いので仕事のミーティングを兼ねてついつい行ってしまいますね。ちなみに夜の肉料理も最高に美味しいです。」
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