#125 陶芸家 冨岡 奈津江

作り出した全ての動物達がここに収まっていると思うとワクワクするハードディスクです

第125回目の@Professional Usersは陶芸家の冨岡 奈津江(とみおか なつえ)さん。女子美術大学~多摩美術大学大学院を経て若き女性陶芸家として活躍しています。彼女の作品のモチーフは人間以外の生き物。動物達の決して近づくことの出来ない領域に近づき粘土で制作します。そしてそれは平面ではなく立体、ほぼ実物大の大きさで作られていきます。そうすることで生き物の存在、温もり、生命感を表現出来るといいます。これが冨岡さんのスタイルであり、見る人に新たなる刺激を間違えなく伝えることの出来る新しい陶芸家の登場と言えるでしょう。そんな冨岡さんは制作の過程でバッファローの外付けハードディスク HD-GD3.0U3をご使用とのこと。早速LAVAが東京・石神井公園にある冨岡さんのアトリエを訪れお話を伺いました。

プロクリエイターが選んだ商品

ドライブステーション ターボPC EX2対応 DRAMキャッシュ搭載 USB3.0用 外付けHDD

Creator's Profile

冨岡 奈津江(とみおか なつえ)

1985年

東京生まれ

2008年

女子美術大学芸術学部工芸学科陶コース 卒業

2010年

多摩美術大学大学院美術研究科陶専攻領域 修了
個展「冨岡奈津江展~陶のいきもの~」(中京大学 C・スクエア / 愛知)

2011年

個展「陶のいきもの~土の中からこんにちは!~」(galerie H / 東京)

2012年

「Who by art」(西武渋谷店B館8階 美術画廊 / 東京)
個展「陶のいきもの~ここのココ~」(galerie H / 東京)

2013年

個展「陶のいきものたち展」(RYU GALLERY / 静岡)
冨岡奈津江+本濃研太 イキモノガタリ(軽井沢油や・砂庭 / 長野)
個展「陶のいきもの ~王の居ぬ間に~」(galerie H / 東京)
個展「冨岡鳥獣保護区」(nuisance galerie / 東京)

2014年

アートフェア東京2014 S-06ブース(東京国際フォーラム / 東京)
KAMIKOANIプロジェクト レジデンス作家として参加(上小阿仁村 / 秋田)
個展「陶のいきもの ~その向こう側~」(galerie H / 東京)

その他、個展・グループ展多数

Interview

「らくだのこぶには何が詰まっているんだろう?」とずっと気になっていて、それでらくだを作りました

——冨岡さんが陶芸家になっていった経緯を教えてください。

それを話すにはまずは私の作品のモチーフになっている動物の話をしますね。私は子供の頃から犬、猫、鳥が常に身近にいました。彼等を人間以外の生き物の存在として認めていたようです。しゃべらないけど愛おしく、可愛らしい生き物達です。家の近くの石神井公園にいた鳥や狸にもいつも会いにいっていました。そして近所に住むおじいちゃん、おばあちゃんがキャベツ農家を営んでいたので、私も幼少期から手伝い、農作物を育てるための「土」に早くから触れていました。そこから手に土が馴染んでいったと思います。絵は中学、高校と描いてはいましたが楽しいとは思えませんでしたね。平面には向いていないのかなと。油絵の授業でも制限されることが多く、この色やこの道具は使っちゃ駄目と教えられ、その制限が自分には面白くなく、絵を描くことにも心が離れていったと思います。

——大学は女子美(女子美術大学)ですね。

はい。大学に行ったらガラス工芸をやってみようと思っていました。単純にキレイなものを作ってみたかったんです。そして工芸科を選んだのですが、ここではガラス、陶芸、織物、染色、この4つが工芸科の全てで、1年生の時はこの全部を勉強しないといけなかったんです。2年生になったらそこから専攻したコースに行けるので当然私はガラスコースに行こうと思っていました。でも、1年生で陶芸を学んだ時に「土だから簡単だろうな」というイメージで臨んだら、自分の思う通りにいかなかったんです。ガラスよりも思う通りにいかないんです。そこで私は単純に陶芸を突き詰めてみたいと思いました。そして2年生から陶芸のコースに進むことを決めたんです。

——冨岡さんはチャレンジャータイプですね。陶(陶芸)コースではどういうことを学ぶんでしょう?

まずは技法です。型で作るもの、ろくろで作るもの、あとは上絵(うわえ)。たっぷり勉強しましたね。そして3年生の時に自由課題で私はとにかく大きなものを作ろうと思い、らくだに挑戦しました。タイトルが「喜怒哀楽ダ!」。

——だじゃれですね(笑)。

(笑)そうです。

——でもなんでらくだ?

昔から「らくだのこぶには何が詰まっているんだろう?」ってずっと気になっていたんです。そして遂にらくだを作りました!(写真参照)

——作ってみてどうでした?

ぞわっとしました(笑)。その時新宿に行く用事があったんですが、交差点のど真中で「やったぞー!」と叫びたい気分でした(笑)。それぐらいワクワクしたんです。鳥取砂丘にも行って実際にらくだに乗って、「作ったよ」と報告もしました(笑)。

——らくだもそう言われてもね(笑)。

そうですね(笑)。でもそれをきっかけに在学中にダチョウ、カメ、ヌー、ワニと動物を作り続けました。

動物を作っていると「早く、早く!早く作って!」と言っているように感じてきます

——どうして動物ばかりを作りだしたんですか?

テレビや図鑑、本を読んでいると彼等の生き方がどうしても気になるんです。どんな生態でどんな生き方をしているのか?それを調べれば調べるほどその動物を作りたくなるんです。本や図鑑では動物達は遠い存在ですが、作れば彼等が目の前に現れてくれます。そして存在を認めることが出来て自分の身近なものになってくれます。「こんにちは」、「おはよう」と話しかけられる仲間になれます。作っているプロセスでは彼等の骨格などを調べながら作るんですが、作っている過程もモチーフの動物を知る大切なプロセスです。作りながら知っていく、知りたいという欲求が作ることへの原動力です。そして作っていく上で発見出来る喜びもあります。動物は常に謎であやかることも出来る生き物。そのワクワクした、ときめくようなポイントが陶芸を作って行く上での私のパワーになっています。

——素材となる土は決まったものを使っているんですか?

はい、私は岐阜県の土岐市に住んでいる土屋さんという方の家の土を使用しています。割と粘り気があり自分の手にも合います。私のように大きな作品を作ることにも耐えられる土です。あとは陶器を作る上で欠かせない釉薬(ゆうやく)というのがありまして、その釉薬を塗った時に濃淡が出来るんですが、この土を使うと良い色が出てくれて私は気に入っています。

——大学卒業後は多摩美(多摩美術大学)の大学院に行っていますね。これには理由があったんでしょうか?

少し環境を変えてみたかったんです。でも今でも付き合っている友人もそこで出来たり、芸術人類学の先生が人と動物のつながりや神話の話をしてくれたのも私にはとても大きかったですね。大学院は2年で卒業しましたが、卒業後は名古屋の中京大学内にある「C・スクエア」というギャラリーの企画公募展に大学院の先生が私を推薦してくれて、ありがたいことにそれが通りまして自身初めての個展を「C・スクエア」で行うことが出来ました。

——そのときはどういった動物を?

今まで作った作品の全てと、その展示のために2メートルあるキリンの首を制作しました。

——2メートル!ギャラリーを訪れたみなさんの反応はいかがでしたか?

大学なのでやはり多くの大学生が来てくれましたが、やはり動物なので分かりやすかったのか「可愛い!」と言って入ってきてくれる生徒さん達が多かったですね。1ヶ月の長い展示だったんですがリピーターの人も結構いました。でも「これは焼き物なんですよ。お茶碗と同じなんです」と言うとびっくりする人がほとんどでした。まだまだ陶芸も浸透していなくて、陶芸にもこんな表現があるということをもっと多くの人に知ってもらいたくなりました。この気持ちがきっかけで今の私があるとも思います。

——冨岡さんの作品が出来上がっていくまでのプロセスを教えてください。

最初は土の塊(粘土)をひも状にして中を空洞にして積み上げていきます。大まかなフォルムを作った後、1cmぐらいの土のピースを手の中で作り、それを本体につけていきます。いくらか作っているうちに、作られている側、それがハイエナだとすると彼が「早く、早く!早く作って!」と言っているように感じてきます。

——興味深い!それで?

そこまで来ると完成するまではあっという間です。生き物達が私を認めてくれた瞬間なんでしょうね。

——いやあ、とても面白い話です。毎年三軒茶屋のギャラリーで展示していますね。

はい、「galerie H(ガルリアッシュ)」という三軒茶屋にあるギャラリーで行っています。ここではオーナーから空間を活かした展示をして欲しいと頼まれるので、去年はアフリカで生きる動物達をテーマにイボイノシシ、ブチハイエナ、ミーアキャット、サイチョウを制作してアフリカンムードの空間を陶芸で演出しました。今年は今までのような一体一体の動物の全体像を作るのではなく、動物の見えない部分をあえて作るという展示方法にしました。そこには壁から半身が出てきているトラ、吊るされているように見えるナマケモノ、集団のフクロウが壁にリーフ状で並んでいるものを作りました。この作品達を見ている人達に「あとは想像して欲しい」という私なりのメッセージも残しました。見たままではなく、雰囲気を伝えることでイマジネーションを膨らませる空間にしました。

——もうちょっと早く知り合っていれば行きたかったなあ。次回は是非教えてください。今後の冨岡さんのやりたい作品作りは?

軽やかなものを作りたいです。私の作品は基本的に土の塊なので重いんです。でも重いんだけど見ている人には「動き」が伝わる、感じてもらえる作品を作っていきたいですね。あえてそうしているというのはあるんですが、どうしても今までは安定感のある「静」の作品だったので、これからは「動」を感じてもらえる軽やかな作品作りにチャレンジしていきたいです。

これから陶芸教室を開く予定なので、興味のある方は是非いらしてください

——楽しみですね。さて、冨岡さんのアトリエにはパソコンもありますが、その使用用途を教えてください。

はい。使用しているのはMacBook Proです。使用用途としては作品のファイル制作、そして作品写真の保存、あとはホームページの作成で使用します。主に資料作りが多いですね。パソコンを触っているのも嫌いではないですよ。

——お使いのバッファローの外付けハードディスク HD-GD3.0U3については?

私は自身の作品の写真を数多く撮ります。その理由がモチーフが動物なので撮る角度によって動物達の表情が全く変わるのでたくさん撮っておきたいんです。資料にも必要になってきますしね。撮影する場所もアトリエだったりお庭に移動させたり。角度や撮影場所も変えることで作品の見え方が変わっていきます。カメラも一眼レフのものを使用してしっかり撮るので、その1枚1枚の容量がとても大きいのです。それを全てMacBook Proの中に入れると大変なことになってしまうので、私はバッファローの外付けハードディスク HD-GD3.0U3を自身の作品写真の保管用として使っています。今までもハードディスクは全てバッファローです。保管用の写真は主にプレゼン用の資料として使うことが多いのですが、こないだオオアリクイの作品が売れたんです。でもそのオオアリクイをまた違う人が買いたいと言ってきたんですね。当然オオアリクイは1体しか作っていないのでまた新しいものを制作する必要があります。でもこのハードディスクに保管されている様々な角度から撮影されたオオアリクイを見て作っていけば全くとは言いませんがほぼ同じものを作ることが出来たんです。もし写真がなかったら同じテイストのものはなかなか作れませんでした。「あー、オオアリクイの写真を保管していて良かった!」と心の底から感じました。そう考えてもハードディスクって凄いものですよね!あとはこのアトリエはご覧の通りアナログの集大成のような所です。でもこうやってテーブルの上に少しでもデジタルの環境を作ることで、私の作品作りにおいてのオリジナル感も出せている気がします。それを使用していない作家よりは個性の一部になっているとも思います。それにこのハードディスクはデザインもシックでかっこいいですよね。自身の作り出した全ての動物達がここに収まっていると思うとワクワクします。ずっと大切にしていきたいハードディスクです。

——ありがとうございます。新しい動物達、本当に楽しみにしています。では最後に冨岡さんのような陶芸家になりたい人達にメッセージをお願いします。

私がメッセージなんておこがましいので、陶芸というものを知らないという人達に言いますね。土いじりは本当に面白いです。焼き物なので作っている時と完成したものでは全く違うものが出来上がってきます。それを体験して欲しいですね。私のアトリエでもこれから陶芸教室を開く予定なので、興味のある方は是非いらしてください。

——今日はどうもありがとうございました。

Interview Photos

冨岡さんのアトリエ(写真上)です。この手前に大きな釜(写真下)もありました。ハイエナもいますね(笑)。何かが確実に生まれていくであろうアトリエです。

ここからは冨岡さんの作品です。まずはインタビュー中にもあった卒業制作で作ったらくだですね。冨岡さん自身のコメントです。「これは喜怒哀楽ダ!』というタイトルの作品。初めて制作した動物の大型作品です。らくだのコブには何が詰まっているのだろう?という疑問が制作のきっかけです。コブに喜怒哀楽の感情を表現した作品です。」

「タイトルは『首をキリンにして待つ』。キリンの長い首に惹かれ、なぜこんなにも長いのかを考えながら制作した作品です。」

「『ブチハイエナ』です。ハイエナと聞くと死肉をあさるなどあまり良いイメージを抱かない人が多いのですが、実はそうではなく顎の力が強いため他の動物が食べる事の出来ないところまで食べる事ができるのです。そしてこのブチハイエナは自分で狩りをして食物を手に入れるハイエナなのです。」

「『オオアリクイ』です。オオアリクイという生き物のフォルム、体毛の配色・手足の形状、全てに興味をもち制作することで少しでも近づきたいという思いから制作した作品です。」

「タイトルは『夜の知恵』。フクロウは今まで何度もモチーフにし、制作しました。この作品は数羽のフクロウが闇夜にひしめき合っている様子をレリーフ状にしたく制作しました。一羽一羽、土の表情、釉薬の色が全て異なります。」

冨岡さんご使用のバッファローの外付けハードディスク HD-GD3.0U3です。作品の保管だけでなく、過去の作品をこのハードディスクでチェックしながらの制作も出来て助かったと言っていましたね。MacBook Proとバッファローのハードディスク、そして冨岡さんの鳥達の陶芸、僕にはこの3つがばっちりフィットして見えます!

パソコンで作業中の冨岡さん。土を握っていた手がデジタルに移行する。これは他にはない陶芸家としての個性にもつながると言っていましたね。自身の作った愛らしい動物達に囲まれたアトリエは作業するのにはとっても楽しそうです。

まだ29歳の若き陶芸家のホープ!想像はしていましたが彼女の作品がここまで緻密で、かつ愛に溢れていたとは。作品を実際に見て、そして話を聞いて、より今後の「生き物達」に会いに行きたくなりました。これから多くの人達を魅了する陶芸家になっていくでしょう。楽しみです。

Creator's Favorite Foods

冨岡 奈津江の好きな料理 ”この一品!”「花畑牧場ふわとろモッツァレラと茄子のトマトソースパスタ」

冨岡さん曰く、「石神井公園駅前にあるイタリアンレストラン、Mia Biccaの"花畑牧場ふわとろモッツァレラと茄子のトマトソースパスタ"です。ランチでよく行きますが、私はこれに自家製フォッカッチャまで付けてたくさん食べちゃいます。まだ出来て1年半ぐらいのお店ですが、美味しいのにプラス、店内には太陽の光がたくさん入る、明るくお洒落なお店でとっても気に入っています。」

今回登場した商品

ドライブステーション ターボPC EX2対応 DRAMキャッシュ搭載 USB3.0用 外付けHDD

ハードウェア上に搭載した「DRAMキャッシュ機能」及びファイル転送を高速化するソフトウェア「ターボPC EX2」(Windows用)によって高速転送を実現したUSB3.0対応外付けハードディスクです。大容量1GBのDRAM(メモリー)をキャッシュ(データの一時保存場所)として搭載しており、パソコンとハードディスク間のデータ転送がスムーズで高速。またMacでも従来製品より高速でコピーができます。さらに暗号化によるセキュリティーソフトウェア、バックアップソフトウェアなど豊富な添付ソフトウェア(Windows用)もご利用いただけます。