#179 インテリアデザイナー 小林 恭
海外との仕事での必需品。DRAMキャッシュ搭載の超高速ハードディスクとWebカメラ
第179回目の@Professional Usersはインテリアデザイナーの小林 恭(こばやし たかし)さん。小林さんは、フィンランドの国民的ブランド「マリメッコ」のインテリアデザインを国内で30店舗以上、海外でも10店舗以上手がけてきた日本を代表する超売れっ子インテリアデザイナーです。その他、国内外の飲食や物販の店舗デザインをメインに、プロダクト、住宅建築、展覧会場構成など多数を手がけています。小林さんの持つ独自のアイデアとセンス、そして機能性の素晴らしさが、見る者、訪れる者、過ごす者に心地の良い空間を提供し続けています。そんな小林さんがバッファローの外付けハードディスク、ドライブステーション HD-GD3.0U3D(3TBモデル)とバッファローのWebカメラ、BSW200MBKをクリエイティブでご使用とのこと。早速LAVAが東京、吉祥寺にある小林さんの素晴らしすぎるご自宅兼、設計事務所 ima(イマ)を訪れ、お話を伺いました。
プロクリエイターが選んだ商品
Creator's Profile
1966年兵庫県神戸市生まれ。1990年多摩美術大学インテリアデザイン科卒業後 カザッポ&アソシエイツに入社。
1997年退社後、建築・デザイン・アートを勉強するために半年間のヨーロッパ旅行へ。
1998年帰国後、設計事務所 ima(イマ)をパートナーのマナと共同設立する。飲食、物販の店舗デザインを主軸にプロダクト、住宅建築、展覧会場構成など多数手がける。場所やブランドを活かしたコンセプトづくり、使いやすさや機能性の向上の中にバランス感覚やユーモアを織り交ぜたデザインを追求して設計活動を行っている。
色と素材を巧みに取り入れたハッピーな空間設計は、プロダクトや住宅、ホテルや幼稚園などでも発揮されている。主な作品に<マリメッコ><イルビゾンテ><インテリアライフスタイル展><井の頭ハウス>など。
Interview
3歳の時に見た大阪万博での未来的なかっこよさや様々な国の文化。それが自分の原点ですね
——インテリアデザイナーの小林 恭さんです。まずはこのご自宅、圧巻です。こんなお洒落で充実した家はなかなかお目にかかれません。さすがです。今度ワインパーティーをここでお願いします(笑)。では最初に小林さんがインテリアデザイナーを目指していった経緯を教えてください。
僕は生まれが神戸なんですが、3歳の時にものすごくはまったのが大阪万博。様々な国の文化が各パビリオンの中にあって、他国の文化に触れられたことに子供ながら感激したんです。計3回は行きましたね。
——完全にはまったんですね。
そうなんです。未来的なかっこよさ、岡本太郎さんの太陽の塔、イサムノグチの作品、携帯電話、ものすごい空間だなと幼ながらも思いました。自分の想像を超えたわけのわからないものに感動しました。自分の原点は今思うと大阪万博だと思います。
——でも小林さんは始めはミュージシャンになりたかったんですよね?
はい、今でも僕は音楽が大好きです。時々DJもするんですよ。親もビートルズが好きで当時BOXセットのレコードを買ってもらいました。中学に行くとパンク、ニューウェーブにはまります。YMOもかっこよかったですね。中学を卒業するぐらいから作曲も始めます。シンガーソングライター的な感じですね。女の子にももてたいからバンドも始めます(笑)。The Jam、Doors、Talking Heads等のエッジーなバンドのカバーをしていました。SmithやDavid Bowieも好きでした。
——実は小林さんは僕のひとつ上ですがやってきたことがほぼかぶってます(笑)。親近感ある話です。
特にUKのニューウェーブは新しく耳にするようなかっこいい音楽でしたね。そんな感じで少年時代はミュージシャン志望でした。高校を卒業してからも専門学校に行きバンド活動を続けたかったんですが、親に大学に行けと言われたんです。僕は勉強が嫌いだし大学には行きたくないと反発したら母が、「美術系に行ったら?」と。絵を描くことは好きだったのでそれもいいかなと思っていたら今度は父が自分は大学に行けなかったから僕には大学に行って欲しいと言ってきました。そして大学ではきっといい友達に出会えると言ってくれました。その言葉が一番響きました。考えてみればバンド活動も友達といるのが楽しくてやっていたというのもありましたしね。
——大学はどちらに?
1年浪人して多摩美術大学に入りました。最初どの科を専攻しようかと悩みました。グラフィックを専攻して絵をやるよりも、空間に興味があったのでデザインがいいと思いました。音楽で空間も変わりますしね。なので結局インテリアデザイン科に進むことにしました。
——インテリアの勉強をしながらも音楽は続けていたんですか?
はい、大学1年生の時に8トラックのオープンリールを50万円でローンを組んで購入し自身のデモ音源を作ることに没頭していました。当時はNew Age的な環境音楽を作っていました。そのデモテープをコンテストに送ったんですがまったく駄目でしたね。それでも諦めず音楽も続け、学校にもちゃんと通い勉強もして、絵も描いて、デモテープも録音して、やれることは全部やっていた大学生時代でしたね。
デザインには様々な制約があり、そこから始める仕事が自分に向いていると感じました
——その後は就職ですか?それともアルバイトしながら音楽活動?
就職しました。カザッポ&アソシエイツというインテリアデザインオフィスです。大学の先輩がそこに就職をしていて、シンプルでモダンなデザインをしているという印象がありました。自分に向いていると思えました。そこで結果6年半働きますがあることがわかったんです。
——それは?
デザインは制約がある仕事です。予算、クライアントの要望、スケジュール、そもそもやれるかやれないのか。そういった制約がある方が自分には向いていると気付いたんです。音楽を作ったり絵を描くことは白紙からスタートするので制約がありません。でも制約があるところから物事をスタートさせることの方が自分には合っているとこの6年半で気付きました。そして音楽への道は諦めました。
——なるほど。僕はてっきり小林さんは制約がないものに惹かれていく人生なのかと思っていましたがその逆だったんですね。
インテリアは背景を作る仕事です。裏方的な仕事であり自分はそれが得意です。空間にいる人たちが主役でデザインをするものは裏方。なので音楽をフロントマンとして作ることはもうないと思えました。
——その後半年間ヨーロッパ旅行に出かけていますね?
はい、ヨーロッパの建築物を見て周る旅に出ました。空間は写真で見るものではなく体感するものです。その体感をするためにパートナーのマナとお互いで200万円ずつを貯めて計400万円を持って半年間かけて14カ国、70都市を周りました。例えばLAVAさんも行ったことがあるとおっしゃってたスペイン、ビルバオのグッゲンハイム美術館。空間を体感することで体で空間の心地よさを覚えていくんです。グッゲンハイムの空間を体に取り込むんです。それまではアメリカやインドにはいったことがありましたがヨーロッパはパリを除いて初めて行く国ばかりでした。人生で初めて触れる文化、物が多かった。そして自分がインテリアデザイナーとしてしっかりと前を向いてやっていきたい、僕はこれからも空間を作っていくぞという決意がこの半年間のヨーロッパ旅行で生まれました。
——ヨーロッパの歴史ある建築物の空間が小林さんの決意を生み出してくれたんですね。いい話です。そして帰国後に独立ですか?
はい。今までの事務所はボスがいて、ボスと考えて進めました。ボスがいなくても自分はちゃんと仕事がやれるのか、自分は一体どこまでやっていけるんだろうか?というのを知りたかったんです。今はマナというパートナーがいて彼女とチームを組んでやっています。ひとりで考えるよりもチームで考えた方が自分たちの明快な答えに近づいていけます。
——では小林さんが独立して設計事務所 imaで手がけた仕事を教えてください。
フィンランドの国民的ブランド「マリメッコ」のインテリアデザインですね。2006年から日本のマリメッコのインテリアデザインを開始します。これは日本のディストリビューターからの依頼でした。最初はフィンランドにもプレゼンテーションに行きました。2005年に青山のスパイラルでマリメッコの展覧会があり、そこの空間デザインを手がけたんです。この模型を持ってフィンランドにプレゼンに行ったら当時の女性社長キルスティ・パッカネンさんが大喜び。こちらは一言もしゃべらずに5分でOKでした(笑)。2010年からは海外のマリメッコの店舗デザインもスタートしました。日本で30店舗以上、海外では10店舗以上を手がけました。基本白を基調にシンプルなデザインにしてマリメッコの持つ多彩な色が目立つようにしています。あとはフィンランドで人気の「ラプアンカンクリ」というヘルシンキにあるリネンとウールのテキスタイルのショップがあるんですが、これが東京の表参道にできます。どちらもショップデザインを手がけました。その他展覧会の会場構成、あと幼稚園もやっています。この幼稚園はファミリアという子供服の会社が手がけている幼稚園です。「モンテッソーリ」というイタリアの教育理念には幾何学の構成があります。それをデザインにして4つの部屋に振り分けて作ってみました。でも最も多い依頼はショップですね。数多くやっています。
機能的なものに形を与えることが自分のデザインのコンセプト
——では小林さんが手がけたインテリアデザインをひとつ選んでいただき、それがスタートするところから完成するまでのプロセスを教えてください。
では先ほど紹介したラプアンカンクリのヘルシンキ店の話をしますね。ヘルシンキは観光客が多く集まる場所なので、まずはフィンランドという場所を意識してデザインに入りました。素朴で優しくて機能的な要素を取り入れようと決めました。ここは織物のテキスタイルを作っているお店なので、素材を織って什器を作れないか?布を編むような感じのものを作れないかを考えました。あとは置いてある商品に触りたくなるような配置ですね。商品の特徴やその持っている機能性をデザインに落とし込んでいく。それがまずは大事な部分です。あとはレイアウト。どういう配置で作っていくか。どこにレジを置くか。お客様の心理を考えた平面計画が重要になります。ふと入りたくなるようなお店は目に商品が飛び込んでくるような配置がなされています。それとマッチングする素材感があれば上質な空間が作れます。すごく上質な糸を使って作っているのに、安っぽいプラスチックの台だとストーリーが成立しません。インテリアも自然素材のものを選んで作っていくことが大事ですね。フローリングもフィンランドのオーク材を使いました。壁面と什器にはフィンランドのバーチ(白樺)を使用しています。真鍮もフィンランドではよく使われる素材を使用しました。フィンランドに来る観光客がフィンランドらしいものを体感できることをデザインに織り込んでいます。闇雲にデザインするのではなく、機能的なものに形を与えていく。このお店に限らずどこを手がけようとこれが自分のデザインのコンセプトです。
——小林さんが今後手がけたい仕事はありますか?
病院はやってみたいですね。そこを使う人の気持ちが上がるような場所を作ってみたいです。
——いいですね。僕は医院のサウンドプロデュースもしているので今後一緒にコラボできるような病院ができたら最高ですね。ではパソコンの話をしましょう。メインで使っているパソコンとソフトを教えてください。
メインのパソコンはMacBook Airで、ソフトはCADソフトのベクターワークスです。基本的にパソコンでの作業は好きですよ。
——小林さんがお使いのバッファローの外付けハードディスク、ドライブステーション HD-GD3.0U3D(3.0TBモデル)についてお聞かせください。
僕らのフィールドでは昔は青焼きで図面を保存していました。今ではデータ保存です。CAD自体は絵を描くことと同じでものすごく時間のかかる作業です。なので書いた図面はデータとしてしっかり保存しておきたいですよね。だから当然僕もマメに保存をしています。自分はクラウドと外付けハードディスク、どちらにも保存していってます。ベースにあるデータはいじりませんが、コピーしたデータをもう一回やり直したり加えたりする作業はとても多いので、その作業に関しては作っては保存、作っては保存をひたすら繰り返しています。ストックされた過去のデザインを取り出してもう一度それを見て参考にすることも多いですね。なので自分が作業する上でなくてはならないものがハードディスクです。そしてなくてはならないその外付けハードディスク、現在僕が使っているのがバッファローの外付けハードディスク、HD-GD3.0U3Dです。まず僕は書類を机に置いておくのが本当に嫌なんです。場所ばかりとりますしね。それをこの一台にまとめておけることが大変便利ですしそれだけでストレスがなくなります。あとこのハードディスクはコピー速度がかなり速いです。今まで使ったものの中では最速ですね。海外とのやりとりが多いので、僕らの仕事に必ず関わってくるデータのコピーに時間がかかるのはかなりストレスですし、海の向こうの人たちを待たせるってなんか嫌ですよね。それがこのハードディスクになってから一切そのストレスは感じなくなりました。デザインもシンプルでとても好きです。無骨な機械感がないので、机に置いておいてもまったく気になりませんね。
——もうひとつバッファローのWebカメラ、BSW200MBKもお使いですね。
はい。僕は地方や海外の仕事も多いので、できれば会って仕事がしたいのですがその時間もなかなかとれないので、今はテレビ会議で仕事相手と話すことがとても増えてきました。最近はバッファローのWebカメラ、BSW200MBKのようにカメラやアプリケーションの精度もとても上がっているので、その理由もあってテレビ会議は僕のフィールドだけでなく世界的に増えてきています。現在新潟の仕事をしていますが週に1回会議があるんです。プレゼンテーションには行きますが、打ち合わせだけならテレビ会議が楽ですし、機器のクオリティーが以前よりも高いのでこれで十分いけます。このバッファローのWebカメラはとても綺麗に映りますし、このクオリティーを考えると素晴らしいコストパフォーマンスです。さすがバッファローといった感じです。USBでパソコンに挿すだけで映りますしとても便利。カメラ自体をパソコンに取り付けるのも簡単です。これで地方や世界と簡単につながれます。メールのやり取りだけでなく顔が見られるので安心します。最近うちのスタッフに子供が生まれ在宅で仕事をしてもらっているんですが、彼女とのやり取りもこのカメラを使ってやっています。大事な仕事のことなので、やはり相手の顔を見て進められた方がいいですからね。ハードディスク、Webカメラ、ともに日々の稼働率が凄まじいです。助かっていますよ。
——さらにその稼働率が上がることを願っております。では最後に小林さんのようなインテリアデザイナーを目指す人たちにメッセージをお願いします。
まずはインテリアデザインが好きかどうかですね。大変なことも多いですし、コミュニケーションも様々あるのでトラブルも当然あります。でも基本的に自分のやりたい仕事なら日々喜びを感じられます。僕もそうです。なんでこの仕事をやれてるのかを考えると好きだからしかないです。好きなことを楽しくやれるのなら是非トライしてみてください。好きなことが仕事になることがなによりも最高のことです。
——今日はどうもありがとうございました。
Interview Photos
Creator's Favorite Foods
小林 恭の好きな料理“この一品!” 「pepacafe FORESTの鶏挽肉と野菜のバジル炒め」
小林さん曰く、「井の頭公園内にある人気のエスニックレストランです。公園に接していてとても気持ちのいいレストランなんですよ。犬もOKなので助かります。」
今回登場した商品
HD-GDU3Dシリーズ
BSW200Mシリーズ