#188 レコーディングエンジニア 稲田 範紀


大勢の人がWi-Fiを使用するレコーディングスタジオで、高速なWi-Fi 6対応ルーターが活躍しています。
第188回の@Professional Usersはレコーディングエンジニアの稲田 範紀(いなだ のりき)さん。avexのアーティストを始め数多くのレコーディングを行ってきた日本を代表するレコーディングエンジニア。2001年からはLAVAの全アルバムも手掛け、最近は中国での制作にも携わりその実力は海外のディレクターやプロデューサーからも認められています。
そんな稲田さんがレコーディングや機材面でのサポートでも携わる東京、世田谷にある多くのプロミュージシャンが使用するBS&Tスタジオに
バッファローの提供を受けてWi-Fiルーター「WSR-5400AX6-CG」を導入しました
。今や大人気のこのWi-Fiルーターがプロのスタジオ内でどう活躍しているのか?今回は同モデルのWi-Fiルーターを自宅に持つLAVAがオンラインでBS&Tにいる稲田さんに取材をしました。
プロクリエイターが選んだ商品
(バッファロー提供)
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Creator's Profile

稲田 範紀
1973年神奈川県出身
日本工学院八王子専門学校 音響芸術科を卒業後、スタジオサウンドダリでエンジニアリングを学ぶ。
1999年ダリを退社後レコ-ディングエンジニアリング会社、(有)ハイファイブを設立。
2001年レコード大賞受賞曲 浜崎あゆみ「Dearest」録音とミックス。
2006年より中国での仕事も開始。2010年公開の中国映画「唐山大地震」でサウンドトラックのミックスを行う。
LAVA作品の全てでエンジニアを担当。LAVA BANDのマニュピュレーターとしてライブステージにも立つ。
Interview
レコーディングエンジニアの基本的な仕事内容とは
——彼なしでは僕のアルバムはここまでリリースされることもなかったとも言えますし、今や世界的に活躍するレコーディングエンジニアとなった稲田 範紀さんです。簡単でいいのでレコーディングエンジニアの基本的な仕事内容を教えてください。
まずスタジオでの録音、そしてその録音した音のミックスがメインの作業です。最近ではライブ録音の仕事も増えています。
——ライブ録音についても教えてください。
アーティストがDVDやブルーレイの映像作品を作る際に音の部分をライブ会場に行って録音をします。最近ではPA(会場での音響)もデジタル化が進んでいるので、基本的にはケーブル1、2本でPAの立てたマイクからの音を分けてもらって自分の持ち込んだパソコンや専用レコーダーに録音をしています。
——ライブ録音では録音用のトラックはどれぐらい使用するんですか?
多い時には96トラックぐらい使うこともあります。例えばサマーソニックのような大きなイベントになるとひとバンド大体48トラックぐらいは使用します。その後違うバンドにすぐに代わり、もう48トラック丸ごと入れ替わるので、トラックを常にA-48、B-48という風に分けておきます。なので常に96トラックぐらいは使っています。
——ライブ録音で気を付けることはありますか?
大切なのは機材の電源が落ちないようにすることです。録音する際1台はMacBook等のノートパソコンを使うので電源が落ちてもパソコンは大丈夫なので1台はまわってくれています。こう考えるとパソコンは結構大切な録音機材と言えます。あとは無停電電源装置を利用して電源が切れないようにしています。それとバックアップですね。先ほども言ったように録音にはパソコンと専用録音機の2台をまわします。それだけでは心配なのでライブが終わった直後にハードディスクにコピーをしていきます。もちろんバッファローのSSDに入れていますよ(笑)。でもSSDを使っていることにも意味があって、SSDのいいところはハードディスクと違ってディスクが入っていないこと。ライブ会場は音が大きくて振動が凄い。ディスクだと揺れてしまいエラーが出ることがあります。でもSSDだとディスクがない分エラーは出ません。SSDはライブ会場向きの機材とも言えますね。
——スタジオ録音とライブ録音でのミックスに関しては違いがありますか?
ライブに関してはその会場に実際にいた人が後で僕のライブミックスを聴いてそのライブを思い出してもらえたら嬉しいですね。ライブ会場の持つ独特な音を再現できるようトライしています。スタジオでの音についてはなにかをどうしようという気持ちはそこまではありませんが、僕は録った音にあまり味付けはしないタイプのエンジニアだと思います。録音されたオリジナルの音を大事にしていきたいです。
——あのど太い音は稲田さんしか絶対出せないと僕は思っております。中国での録音も最近では多いですね?中国でのレコーディングについても教えてください。
はい、僕は主に中国のポップス、アイドルもの、あとはサウンドトラックもやっています。レコーディングスタジオに関して言えば日本の方が設備に関してはレベルが高いと思います。音がいいとか悪いとかではなく、やはり日本のスタジオにはたくさんの機材が揃っていて設備が充実していますね。中国のスタジオはまさにシンプル。必要最低限の機材で構成されているスタジオが多いです。あとは現場では決して謙遜してはいけません。「俺はこんなにたくさんの仕事をしてきたんだ!」と堂々と言い続けた方がいいです。舐められてしまうとずっとそんな雰囲気の中作業をしていかなくてはならない。でも胸をはって自信満々に作業していると他のエンジニアがどこからともなくやって来て、僕の写真を撮りまくります(笑)。とても面白い国だと思いますね。でも僕は中国人に聞いたらほぼ全員が知っている映画音楽の録音もしてきたので、それだけでも中国においては一目置かれるエンジニアになれたと思います。
一度に多くの人が使用するスタジオのWi-Fi環境をパワーアップ
——僕もよくレコーディングで使用している世田谷のBS&Tスタジオで稲田さんは作業をしていることも多いそうですが、今回このスタジオにバッファローの提供でWi-Fiルーター「WSR-5400AX6-CG」を導入したそうですね。その理由をまずは教えてください。
最近BS&Tスタジオで録音やミックスをしていることが多いのですが、スタジオの機材面での相談もよく受けます。以前からバッファローのWi-Fiルーターがスタジオ内に入っていましたが、これからはWi-Fiをより強化したいというスタジオ側のリクエストを受けてバッファローの提供でWi-Fiルーター「WSR-5400AX6-CG」をスタジオ内に導入しました。

BS&Tスタジオ
プロユースのリハーサルスタジオとレコーディングスタジオを併設。 リハーサルスタジオは66帖。 レコーディングスタジオは録りに適した天井高5m、40帖のA studioと ダビング、Mix、マスタリング等に適したB controlroomの2部屋 。 A studioにはBösendorfer290Inperialを常設。そしてリハーサルスタジオはBösendorfer214Cを常設した本格的なスタジオで多くのプロミュージシャンが利用、大編成のバンドにも十分対応できる広いスタジオです。またA studioでもリハーサルで使用可能。機材の搬入出には11tトラックまで対応可能。
最近の状況下でライブ配信への対応を強化中。
http://www.bststudio.jp/ clockwise@bststudio.jp TEL:03-5313-8513
——そもそもWi-Fiを強化したかった理由はなんだったんですか?
今回はレコーディングスタジオではなくリハーサルスタジオの方にこのWi-Fiルーターを導入しましたが、スタジオに来るミュージシャンや関係者ひとりひとりが持ってくる無線LAN機器がとても多いんです。パソコン、携帯、iPad、それだけでひとり3台。そして同時に何人もの人がスタジオ内でWi-Fiを必要とします。このバッファローのWi-Fiルーターの売りは、「Wi-Fi 6(11ax)」に対応している部分です。今までのWi-Fi 5(11ac)に比べると多くの台数にも強く、つながるスピードも速いです。実は録音スタジオよりもリハーサルスタジオの方が多くのミュージシャンや関係者が訪れます。5人のミュージシャンが来たら5人のマネージャーも来て、さらに音響スタッフや照明スタッフ、舞台制作のスタッフも来ます。その全員がスタジオ内、もしくはスタジオ横にある休憩ルームでWi-Fiを使いますから、やはりここは力の大きなものにしようと思いこのWi-Fiルーターを選びました。一度に多くの人がWi-Fiを使う環境ではうってつけのWi-Fiルーターだと思います。

リハーサルスタジオの休憩ルームにWi-Fi 6対応ルーターを導入
休憩ルームでは多くの関係者がWi-Fiを利用し、同時にWi-FIを必要とする機器が増えており、より強力なWi-Fi環境が必要でした。そのため「Wi-Fi 6(11ax)」に対応した「WSR-5400AX6-CG」を導入しました。
家庭内Wi-Fiの新スタンダードとなるWi-Fi 6について詳しくわかる特集ページです。
BS&Tスタジオ様でお使いいただいている次世代Wi-Fi 6対応ルーターの詳細はこちら。

従来使用していたWi-Fiルーターの約2.5倍高速に
従来使用していたバッファロー製Wi-Fiルーター「WHR-1166DHP2/N」とWi-Fi 6(11ax)対応ルーター「WSR-5400AX6-CG」。2台でルーターから一番離れたスタジオ内の場所でインターネット速度テストをしてみましたが違いは明らかで、確実に進歩していることがこれでわかります。
——オンラインでの作業もスタジオではあるんですか?
もちろんです。オンライン上でのデータのやりとり等は僕のようなエンジニアには日々ありますので、そこでのWi-Fiの充実はとても大きな意味を持ちます。そして今はコロナの影響で現場に来ないでオンラインミーティングをする機会も増えています。例えばミュージシャンがリハーサルをしている際にスタジオに来たマネージャーやスタッフが他の現場には行かずにそこから別のスタッフとのオンラインミーティングをしていることがとても増えています。やはりこの状況下で全部の現場をまわっていくことは難しいようなので、他現場はオンラインでというスタイルが増えているようです。スタッフの方達からも聞きますが、新しいWi-Fiルーターに変えてからの方がスムースに止まることなく繋がりやすくなったと好評です。そして今回はバッファローのWi-Fiルーターからバッファローの新しいものに変えたので「無線引っ越し機能」という便利な機能を使ってすぐにセットアップができました。
スマホなど端末の無線再設定が不要
——実は今回僕も同じWi-Fiルーターを購入したんですが「無線引っ越し機能」、僕には最高の機能でしたね。煩わしい設定や説明書が苦手で(笑)。でもいとも簡単に設定の移行ができました。ちなみにこのインタビューもオンラインで行っていますがどちらも同じバッファローのWi-Fiルーター同士でのインタビュー。とてもサクサク進んでます。
それとこの機会にスタジオの事務所からリハーサルスタジオまでのLANケーブルもバッファローのカテゴリー6Aケーブル「BSLS6ANU500BL」(50メートル)に変更しました。以前使用していたケーブルはメーカー不明だったのでこの機会に同じバッファローのものにしようと変えてみたんです。50メートルと長い距離をひくので、このノイズ対策がちゃんとなされているケーブルは抜群に相性がいいですね。新しいルーターの持つ多くの魅力を最大限引き出してくれるケーブルです。

スタジオの事務所からリハーサルスタジオまでのLANケーブルもバッファローのカテゴリー6Aケーブル BSLS6ANU500BL(50メートル)に変更しています。「新しいWi-Fiルーターの持つ多くの魅力を最大限引き出してくれるケーブルです。」とこちらにもご満悦。

今回は僕も稲田さんもお互いにバッファローのWi-Fiルーター「WSR-5400AX6-CG」を持っているのでオンラインでインタビューを試みました。なにもかもスムースに進み、やはりこれは強力なWi-Fiルーターなのだと確信しました。ちなみに我が家のWi-Fi環境もこの新しいルーターでつながりが圧倒的によくなり、速度もめちゃくちゃ速くなりました。話題のNetflix等も美しく映り続けていますよ。
——このWi-Fiルーターでもうひとつ気に入っている部分があるんですよね?
はい、「バンドステアリングLite機能」です。これはSSIDを2.4GHzと5GHzで共通にできる機能です。簡単に言うと2回線の無線LANのSSIDを見かけ上ひとつにしてくれる機能です。使用する場所によって最適な周波数をWi-Fiルーター自身が選択して、より良いWi-Fi環境を自動的に選んでくれます。とても賢いですね。ただし初期設定ではその機能がオンになっていないのでオンにして使った方がいいと思います。
自動で帯域を切り替えていつでも高速に通信
このWi-Fiルーターの良いところをまとめますと、まずは大勢の人が同時に使って安心できるWi-Fi 6対応であること、バッファロー製品からバッファロー製品に簡単に乗り換えられる引っ越し機能がついていること、そしてなによりもテレビ会議をする人が増えてきてそれが一般的になってきた今、オンラインでの仕事に十分対応してくれる強力なWi-Fiルーターだと思います。今後の活躍になお一層期待しております。
——今日はどうもありがとうございました。
Creator's Favorite Foods
稲田 範紀の好きな料理“この一品!” すぱろうの「めんたいあさりしめじ」

稲田さん曰く、「BS&Tスタジオ近くの千歳烏山にある創業43年の老舗和風パスタの名店「すぱろう」。なにもかも美味しくこの味は他では絶対出せません。何度も足を運びたくなる味。そしてランチもディナーもリーズナブル。お腹にもお財布にも大満足の超おすすめ店です。是非一度行ってみてください。
Interviewer Profile

LAVA
作曲家、DJ、サウンドプロデューサー
90年後半からロンドンでDJのキャリアをスタート。その後3枚のオリジナルアルバムを世界中でリリースさせる。1枚目の”Aile Alegria”はドイツのフロアチャートで4位を記録。2019年6月には待望の新作”Som do Verde”を自身のレーベル”Mundo Novo“よりリリースさせる。
音楽をまるでインテリアのように展開するそのサウンドスタイルで、選曲家としても不動の地位を築き上げ、各方面からのオファーは絶えない。今後も音楽を通して世界中へのコミュニケーション、リレーションを積極的に行っていく。
今回登場した商品
WSR-5400AX6シリーズ