自己流の取り外しはトラブルの元。USB機器の正しい取り外し手順とは?

外付けHDDやUSBメモリなどのUSB機器をパソコンから取り外す時、みなさんはどうしていますか? 何も操作をしないで、そのままUSBケーブルやUSBメモリを取り外していませんか?「いつもそのまま取り外しているけど大丈夫だよ」という方、実は大丈夫ではないのです。あなたの大切なデータに刻一刻と危険が迫っているかもしれませんよ!

目次

「ハードウェアの安全な取り外し」とは?

Windows OSには「ハードウェアの安全な取り外し」という機能があります。USB機器を取り外す前にこの操作を行うことによって、パソコンとUSB機器の接続を切り離し、安全に取り外しができるようになります。USB機器を取り外す時には、必ずこの手順を踏まなくてはいけないのです。(Mac OS や ケータイのSDカードにも同じような機能があります。)

でも、この操作をしないと取り外せないかというと…高い確率で、障害なく、その後も使えてしまいます。だからついそのまま取り外してしまう。パソコン歴が長くても「そんな手順があるとは知らなかった」という方が多いのです。しかし「安全な取り外し」操作を行わなかったためにトラブルに遭い、当社にご相談される方が、実はたくさんいらっしゃいます。

いきなり外すとパソコンやメディアがパニックに

最も危険なのは、USB機器がデータを読み込んでいる時や保存している時に取り外すこと。パソコンやUSB機器が、作業を完了できないまま途中で作業を止められてパニックを起こします(論理障害といいます)。その結果データが破損したり、システムが正常に動かなくなることがあります。場合によってはパソコンやUSB機器が故障してしまう可能性もあります。

データの読み込み・保存をしていない時はそれほど大きな問題はありませんが、やはり油断は禁物。自分が操作をしていないからといって、読み込みや保存をしていないとは限りません。セキュリティソフトがUSB機器内のデータを自動スキャンしている最中だったり、USB機器に自動バックアップをしている最中だったり。そんな時にいきなり取り外せば、やはりトラブルの原因になります。

またUSB機器内のフォルダを開いている状態でいきなり取り外した場合、通常はフォルダが自動的に閉じられますが、すぐに別の外付け機器を接続するなどしてフリーズしてしまうこともあります。これも論理障害です。パソコンにもメディアにも負荷がかかり、故障したり寿命を縮めたりする原因になります。

<エラーメッセージの例>

Windows Vista、7、8、10の場合
「ドライブ D: を使うにはフォーマットする必要があります。フォーマットしますか?」

障害の状況によって
「D:\ にアクセスできません。パラメーターが間違っています。」

「D:\ にアクセスできません。ファイルまたはディレクトリが壊れているため、読み取ることができません。」

Windows XPの場合
「ディスクはフォーマットされていません。今すぐフォーマットしますか?」

実際にあった外付けHDD故障の事例

実際にこんなお客様がいらっしゃいましたので、ご紹介させていただきます。

ある会社で、社員さんが共有で使っていたネットワーク対応HDD(NAS)が故障したため、当社にデータ復旧のご依頼をいただきました。無事データを復旧することができ、別の外付けHDDにデータを保存してご返却しました。

外付けHDDが会社に届くと、必要なデータを取り出すため、各社員さんが順次自分のパソコンに接続してデータの転送・保存をしていきました。一人目、二人目と順調に作業が進んでいたのですが、ある社員さんが作業しようとしたところ、なぜか外付けHDDが認識されません。

再び当社にご相談いただき、詳しくお話を伺ったところ、ひとり前に作業した社員さんが「ハードウェアの安全な取り外し」をしないで、いきなりケーブルを抜いていたことがわかりました。外付けHDDに論理障害が発生して、せっかく復旧したデータがまた読めなくなってしまったのです。

大切なデータを守るためのひと手間

一度やってみて大丈夫だったからといって、次も大丈夫とは限りません。仮に1000回に1回しか起こらないトラブルでも、1日に3回作業をすれば、年に1回起きることになります。「ハードウェアの安全な取り外し」は、そんな危険を避けるために必要不可欠な作業なのです。少し面倒かもしれませんが、大切なデータを守るためのひと手間とお考えいただき、ぜひ習慣にしてください。

[ Windows10 バージョン1809の新機能「Quick Remove」について ]

2019年4月2日にリリースされたWindows10のバージョン1809で、「ハードウェアの安全な取り外し」に関するポリシーが変更されました。「Quick Remove(クイック取り外し)」という新しい機能が追加され、「安全な取り外し」操作をしなくても、外付け機器の取り外しができるようになりました。これでいきなり外しても大丈夫!と言いたいところですが…

データの保存中の取り外しはやはりNG。もし保存中に抜いてしまったら、これまで同様トラブルの原因になると思われます。また、パソコンから外付け機器へのデータ書き込み速度を向上させる「高パフォーマンス」機能をONにした場合も、Quick Removeはできなくなります。データを大切にされるなら、やはり「安全な取り外し」をされることをお勧めします。

論理障害でデータが読めなくなった時は

大切なデータを保存していた外付けHDDやUSBメモリが論理障害を起こしてしまった時は、適切な対処でデータを取り出すことが可能です。

論理障害で読めなくなったUSB機器を再度接続しなおすと、多くの場合フォーマットを促すウインドウが表示されますが、絶対に実行せずキャンセルしてください。

フォーマットを実行してしまうと残ったデータの復旧がより困難になります。トラブル時には、まず機器を取り外して保管することで、事態の悪化を防ぐことができます。

ご自身で復旧ソフトウェアを試したり、再フォーマットしたりする前に、まずは一度当社データ復旧サービス窓口にご相談ください。ご相談・診断・お見積りは無料です。