#175 フォトグラファー 枝松 則之
ネットがあればどこからでもデータの納品が可能なNASは必需品。しかも安心のバックアップ機能付です
第175回目の@Professional Usersはフォトグラファーの枝松 則之(えだまつ のりゆき)さん。母が美容師だったことをきっかけにヘアメイクの道を目指しますが、20代中盤からから自身のクオリティーアップを掲げフォトグラファーへと変貌を遂げます。人物を独自のフォーカスで捉えるそのスタイルでファッション界を中心に今では多くの有名タレントも撮影する売れっ子カメラマンになりました。今年新作をリリースするLAVAも枝松さんに最新のアーティスト写真を撮影してもらっています。そんな枝松さんが バッファローの提供を受けてNAS(ネットワーク対応)「LS520D0802G」(8TBモデル)をクリエイティブで使用とのこと 。早速LAVAが東京、田町にある枝松さんのスタジオを訪れお話を伺いました。
プロクリエイターが選んだ商品
(バッファロー提供)
Creator's Profile
1982年神奈川県出身。
東京表参道にて美容師、その後TV 映画 雑誌などでヘアメイクアップアーティストとして多くの撮影に関わる。フォトグラファーの重要性を強く感じ昔からの趣味でもあったカメラの仕事への転職を決める。
現在は自身のスタジオを持ち人物撮影を中心にファッション、俳優アーティストから企業重役大手の企業のコーポレート撮影まで幅広く撮影。
Interview
20代はヘアメイクとカメラの仕事を両立、しかしどっちつかずはダメだと決断
——枝松さんがフォトグラファーになっていった経緯を教えてください。
幼い時から自分からなにかを発信することが好きな子で、美術の成績も良かったですね。新しいものが好きで、人についていくよりも自分から発信していくタイプの子供でした。
——お母さんが美容師ですね。
はい。自分で美容院を経営していました。家族もどちらかというとものを作るのが好きなクリエイタータイプでした。その影響もあって自分もいつの間にかもの作りが好きになり、同時に人がやっていないことにどんどんと興味を持つようになっていきました。中学に上がると好きな女の子がベースを弾いていたので、そこから音楽に興味を持つようになりました。
——その感じね(笑)。
はい(笑)。高校に入るともう音楽漬けの日々でほとんど学校には行きませんでしたね。
——完全プロ志向?
もちろんです。若者中心の音楽フェスティバルに出場したりライブハウスにも定期的に出演していました。でもずっと「20歳を超えてプロになっていない人たちはダサい」と思っていたので、高校を卒業する時に自分には音楽の才能がないと完全に思えたのできっぱりやめました。
——僕も含めだいたいの人がダサいよね(笑)。そして写真に目覚めた?
いえ、母が美容師なので自分もその道に行こうと思い通信制の学校で勉強して実家の平塚から近い横浜の美容院に就職をしました。でもそこは3ヶ月で挫折してやめました。
——早いね。
全てがきつかったです。店長も含めスタッフがみんな若く、それでいて縦社会。今振り返れば僕の根性がなかっただけですが、とにかくきつかったです。その時18歳ですがそこから色々なアルバイトをして結局20歳の時にまた美容師になりたいと思い東京に出ました。ただ渋谷区に住んで働くなら青山、表参道の美容室以外意味がない!なんてかなり偏った考えでした(笑)。そして代々木に家を借りて誰もが知っている有名女優の方達や大手ヘアケアCM撮影にも関わる有名な表参道の美容室に就職できました。当然仕事、練習の超多忙な毎日を送ります。以前のことがあったのでキツさは覚悟の上でしたがヘアケアにとても力を入れていたサロンだったこともあり自分の思い描いたスタイルとは少し違っていました。考えた末、結局1年半で辞めてしまいます。実は当時はまだ美容学校の通信科に在学中で当時ちょうど有名カリスマ美容師の無免許問題もあった時期で業界がシビアになっていた時なので雇ってくれた当時のオーナーの寛大さには感謝しています。その時21歳です。
——なるほど。その後は?
就活の過程でヘアメイクという仕事があることを知り興味を持ちやってみようと思いました。最初はホステスの夜の仕事前の髪のセットをアルバイトで始めました。そしてあるヘアメイクのアシスタントをやるようになります。その人はファッション誌のヘアメイクを手がけていて、僕もその時に猛勉強をしてプロのヘアメイクを目指すようになりました。その頃あるテレビ局からへアメイクの仕事を依頼されたんです。その時に僕がテレビではあまりやらないような斬新なセットをしたらそこのプロデューサーが気に入ってくれて、以後ドラマや映画のヘアメイクもやれるようになっていき、タレントからも指名で仕事が来るようになりました。
——そりゃすごいね。始めたばかりでその人気っぷりも。
さすがに20代前半でしたからね。正直調子乗ってました(笑)。でもその勢いは20代半ばまで続くんです。
——ビギナーズラックが5年とは。でもまだ出てきませんがその頃からカメラはやっていたんですよね?
はい、ヘアメイクの作品撮りも自分でやっていましたしカメラは学生の時から趣味でずっと撮っていました。ある写真集の現場でヘアメイクで入った時に編集長に趣味でカメラをやっていると話したら「見せて」と言われ見せたんです。そうしたら彼から撮影の仕事が来るようになったんです。なので当時はヘアメイクとカメラと両立させながら仕事をしていました。
——でも編集長が仕事を振ってくるなんてよっぽど枝松さんの写真に光るなにかを感じたんでしょうね。そうじゃなきゃいきなり素人に仕事は振らないよね。
そうですね。でもそんな感じで活動を続けていたらある瞬間から「どっちかに決めて生きていかないといい人たちと仕事ができなくなる。これはまずい」って思ったんです。自身の仕事を1つに絞ってクオリティーを上げないとと真剣に感じました。こっちがあるからこっちはいいや的な考えでは絶対ダメだと思ったんです。蕎麦屋のカレーみたいな。そして迷うことなくカメラを選びました。
言葉で伝えるのがあまり得意じゃないからこそカメラでのコミュニケーションが心地がいい
——なるほど。ついに登場ですね。その頃にニューヨークに行っていますね。
ある仲のいいカメラマンから「海外に行ったことある?」と聞かれて、自分は日本も好きで日本人も好きで、日本人のモデルも好きで、日本のビューティー系の仕事も好き。だから海外なんで興味ないって答えたんです。そうしたら彼が「行ってもいないのにそんな風に決めつけないほうがいい」って言われ、なんか悔しいから、だったら行くならニューヨークだろうと思い行ってみたんです。行ってみてまず思ったのは「こんな自由でいいんだ」と。各自が個を意識しながら生きていて、自分も無理なく自身の個を意識することを体感できたんです。なんか楽だったんですよね、そこにいるのが。そこから海外大好き人間になり(笑)、英語もたくさん勉強しました。そしてそこからが自分の第2ステージがスタートしたと言えます。でも生活は一気に厳しくなりました。ヘアメイクもきっぱりやめカメラ一本にしましたが仕事はかなり細々な感じで。でも大変だったんですけど海外で得たパワーもあるし、なにより自分はラッキーボーイなのでなんとかなるとずっと思ってました。もう忘れちゃいましたが当時は本当に大変だったはずですが、こうやって生きていますからね(笑)。
——生きているだけでなく大成功していますしね。
自分は今でもそうですが時間とお金をものすごく投資しています。みんなはそこまでできないだろうというところまでやってます。それが今の成功につながっています。自分はもともと流れに乗れる人間で、それに気づけたから今があるんだと思っています。とてもスピリチュアルな話ではありますがそう思ってるんです。ただ努力もしてますよ。好きでやってきたことなのでそれはあんまり話すことじゃないと思っているので。好きを一生懸命やったらこうなりました。
——素晴らしい。今後もその流れに乗って世界中で撮影をしてください。現在枝松さんが手がけている撮影を教えてください。
人物の撮影が中心です。ファッション関係、俳優、女優、企業系、広告、まだまだ細かいのをあげればきりなくありますが、仕事としてはバランスよく一通りやっています。
——人物を撮っている理由は?
人を被写体にしているのは人が好きというのはもちろん、人物を撮ることは自分の天職だと思っています。カメラは言葉が通じなくてもカメラを向けると人は笑顔になってくれます。そういう体験が海外では多かったんです。僕は言葉で伝えるのがあまり得意じゃありません。でもだからこそカメラでのコミュニケーションがとても心地がいいんです。なので自然と人を撮っているんでしょうね。もう1つあげるとすると、僕はカメラマンとして根が暗いと思います。なので笑顔の部分も大事ですが、人間の持っている闇の部分をお互いに共鳴できることも重要です。そこがもしかしたらすべての原動力かしれません。自分が持っている闇の部分がクリエイティブの原動力。それを解放するためにカメラがあるんです。人を撮りたい、人が好きというのは自分の持っている闇の部分の反動なんでしょうね。なので風景やブツ撮りでシャッターを切ることにはそこまで惹かれません。ゼロからものを作れる人には負の要素が必ずあると僕は思っています。心を生贄にする代わりになにかを生み出せるんです。クリエイターとして大事な部分だと思います。
——光は闇から放たれますからね。そこをまず知ることが僕も作曲家として重要な部分だと思っています。枝松さんの撮影は基本どのように進むんでしょうか?
大枠で言うと発注がきて打ち合わせをして、ロケかスタジオかが決まり、撮影をして、終わったらセレクト用のあたりデータをクライアントに送って選んでもらい、セレクトが決まったらレタッチをしたりしなかったりで納品です。
——もう少し細かいクリエイティブで言うと?
ある広告の撮影の話をしますね。それはロケ撮影だったのでロケハンに行きました。その時晴れていてアートディレクターから設定は学園ものでタレントさん5人を青春の甘酸っぱい感じのトーンで撮影したいとのこと。10代に刺さるキラキラしたイメージですね。でも当日は土砂降り(笑)予備日はなくその日にしか撮影できないとのこと。100人くらいが関わるそれなりに大きな撮影です。どんなに雨が降っていても撮らないといけない。まずカメラは濡らせないのでカメラの上にテントを張りました。そしてタレントさん達の上にも膜を張って雨に濡れないようにします。このクリエイティブは大きなサイズになる予定だったので通常はクオリティの面から中判カメラを使います。ただそういったカメラは秒1コマほどしか撮れず5人の集合カットの場合、合成の可能性も含めるとなるべくカット数が必要です。しかも現場で実際に入ってもらってからバランスの位置決めやポーズの指示などで時間もかかるので直接雨は当たらないにしろなるべく早く撮影しないとどんどんタレントさんたちの服や髪濡れていきます。現場に中判カメラと35mmカメラを両方セットしてギリギリまで考えて最終的に連写性能がアドバンテージがある35mmの高画素数の一眼レフで連写することで数分で撮影を終えました。
ものすごい数を撮りましたがその結果,最小限の合成で撮れたのでこの判断は正しかったです。あとは画像処理で終わらせました。いろいろな撮影が本当にあります。
——なるほど。面白い話でした。これから枝松さんがやりたいことはありますか?
現在あるプロジェクトでベルリンで活動する日本人ダンサーの撮影をしています。これはドキュメンタリー作品にもなる予定です。近々発表します。
写真だけではなく様々なアートやクリエイティブをどれだけ研究するかが成功の鍵だと思います
——ベルリンは僕も好きな街です。楽しみですね。ではパソコンの話をしましょう。現在メインで使っているパソコンとソフトを教えてください。
メインはiMacです。ロケ撮影用にMacBook Proを2台 性質の違うカメラをパソコンに繋ぎながら撮影する時に併用して使用しています。ソフトはCapture OneとPhotoshop。パソコンは主に写真の編集と管理に使います。パソコンを使うのは結構好きです。撮影もデジタルの時代です。扱っているのがデータなので写真イコールパソコンになってきています。撮影にパソコンがあるのが当たり前になっていますね。なので毎日パソコンには向き合うので、好きというか嫌いになるとちょっと困ります(笑)。
——バッファローの提供を受けて現在枝松さんが使用しているNAS(ネットワーク対応HDD)「LS520D0802G」について聞かせてください。
僕は毎日撮影が続くことがとても多いです。毎日撮影が続くということは毎日納品が発生するということでもあります。そうすると自分が外にいる時に急遽この写真をくださいとか、急に写真を差し替えたいので新しいデータを送ってくださいとうことが日々起こります。ローカルハードディスクしかない場合はその都度スタジオに戻ってこないとそのリクエストに応える作業ができません。相手のリクエストにすぐに応えられないし、1枚の写真を送るためにまたスタジオに帰ってこないといけない。時間が大きくロスしてしまいます。かといって大きなハードディスクを持ち歩くわけにもいかないし、もしそうしても破損の危険性もあります。そういった時にこのバッファローのNAS(ネットワーク対応HDD)「LS520D0802G」は、ネットワーク上につながっているので、外からアクセスしてデータを受け取れるし、どこからでもネットがある限りアクセスできます。それがまず1番の使用目的です。あとこのNASを選んだ理由としてはこのタイプはドライブが2つ入っていて、「RAID 1」というミラーリングの組み方がある点です。これは2つのハードディスクに同時に書き込まれて、1つが壊れてももう1つにデータが残ります。自分たちの仕事はデータはデータであって、ものとしては存在しません。データがなくなったら全てなくなります。それが現在進行系のものなら絶対になくなってはいけないですよね。プロとしては2重、3重のバックアップが常に必要だと僕は思っています。それをしてない人って結構多いはずです。でもこのRAID 1のミラーリングの仕組みは僕としてはマストの機能ですし、これはプロにとってはマストの機能です。同じNASでもドライブが1つしか入ってないものもあるんですが、数万円の差でもう1つドライブが入っているものが手に入るのでこれは安心料ですし、プロとしての責任と考え、この機種にしました。僕は今まで多くのバッファローのストレージ製品を使ってきました。僕らとしては壊れないことを望みますが、知識の明るい人にとってはハードディスクは消耗品なんです。なので僕にとって常に大事なのはフィルムのネガと同じでお金をかけてでもたくさんのストレージ製品を持つべきだと思っています。4TBのドライブにデータが入っていてそこに行けばそのデータは見られます。それを3台使えば12TBのデータを入れること、そして見ることができます。それをお金をかけてするかしないかは様々な考え方があるかと思いますが、消耗品ということも大前提として、これからもたくさんのストレージ製品を僕は買うのだと思っています。僕らには絶対必要なものですからね。
——じゃんじゃん撮って、じゃんじゃんバッファローのストレージ製品に入れていってください。これからの活動を楽しみにしています。では最後にこれから枝松さんのようなフォトグラファーになりたい人たちにメッセージをお願いします。
昔は技術があれば職業として成り立つと言われましたが、今は技術があれば仕事になるという時代ではありません。フォトグラファーとしてではなく、写真を撮る以前がどこまでできているか、考えているか、そこが求められています。フォトグラファーという意識だけでなく、アウトプットをフォトグラファーにして、それ以前のアートだったりクリエイティブをどれだけ研究して考えていけるかが成功の鍵だと思います。
——今日はどうもありがとうございました。
Interview Photos
Creator's Favorite Foods
枝松 則之の好きな料理“この一品!” 「SHARE PARK CAFE and DINING の週替わりランチ」
枝松さん曰く、「スタジオの近くにあるカフェレストランで窓が高くレインボーブリッジが目の前に見えとても美味しいです。ランチはサラダバーとスープバーがついているのでそこも気に入っていてよく行きます。」
今回登場した商品
LS520DGシリーズ
複数処理に強いデュアルコアCPUを採用。複数のパソコン、スマホ・タブレットからの同時接続やレコーダーからの録画番組のダビング、PCデータのバックアップなど、多くの機能を同時に処理する際にも高速で安定した動作を実現しています。そして直感的に操作できるパソコンの画面のようなユーザーインターフェイスを採用。また、リモート接続にも対応し、外出先からでも自宅にいる時のように操作できます。さらに、Android用アプリ「WebAccess A」、iOS用アプリ「WebAccess i」およびWindows Phone用アプリ「WebAccess for Windows Phone」の使用で、スマホ・タブレットからアクセス可能です。また本製品は2ドライブを搭載しており、ミラーリング(RAID 1)でデータを維持しながらドライブ交換が可能。より柔軟なメンテナンスが可能になり、写真や動画などの大切なデータをより安全に保管できます。