低遅延かつレーダー波検知時に通信が遮断されないネットワーク環境の構築により、インターネット技術を応用した自動車遠隔運転の実証試験を実施

愛知工業大学 様

愛知県が主導する知の拠点あいち重点研究プロジェクト第III期にて愛知工業大学では、「ヒトに優しい遠隔運転要素技術の開発とシステム化」に取り組みました。自動運転の普及に重要な遠隔運転に関する研究開発がテーマで、愛知工業大学にある車両を「知の拠点あいち」から遠隔運転するものです。プロジェクトには県内外の企業が参画し技術要素を持ち寄り、ネットワーク構築は「ひまわりネットワーク株式会社」が担当しました。また、本プロジェクトではバッファロー製品を採用し、通信遅延や動作遅延の少ない環境を構築。インターネット経由での遠隔運転を実証する環境を実現しました。

取材協力

株式会社 マックシステムズ/イーブイ愛知 株式会社/ひまわりネットワーク株式会社

導入先プロフィール(2022年4月現在)

施設名

愛知工業大学

所在地

〒470-0392
愛知県豊田市八草町八千草1247

お客様インタビュー

愛知工業大学
情報科学部 情報科学科
教授 博士(工学)
塚田 敏彦氏

自動運転技術の発展に伴い重要性が高まる自動車の遠隔運転。
Wi-Fi 6(11ax)対応機器やVPNルーターなどを採用し遠隔運転を実証

概要

バッファロー製品で通信環境を構築

通信遅延が少なく高速で安定した通信を実現

非常時に期待される遠隔運転技術

昨今、自動車の自動運転の開発が行われていますが、あらゆる環境で完全自動運転を実現することは困難です。しかし、運転手が運転困難な場合など、非常時に遠隔運転で立往生を切り抜ける方策は考えられます。本プロジェクトは、これらの実現に向けたインターネット技術を応用した遠隔運転の実証実験です。

バッファロー製品を採用して実証を実施

本実験では、低遅延で高速、安定した通信環境が求められました。そこで、バッファロー製のWi-Fi 6(11ax)対応、DFS障害回避機能を搭載した機器、VPN機能搭載ルーターなどを採用。高速かつ低遅延で安定した環境を構築し実証を実施しました。

目標・課題

通信遅延・動作遅延を抑えたい

レーダー波検知時の通信切断を防ぎたい

高解像度と高速通信を両立したい

遠隔運転には、コクピットと車両間の通信遅延や動作遅延を可能な限り低減する必要があります。同時に、コクピットのモニターに映し出す映像の解像度の高さも重要です。トレードオフの関係にある通信速度と通信遅延を両立させる高速で安定したネットワーク環境が求められました。

従来品はレーダー検知時に60秒の通信切断

一般的な無線LAN機器は、気象レーダーや航空レーダーを検知しチャンネルを切り替える際、移動予定のチャンネルがレーダー波と干渉しないか監視するため、60秒間通信が切断する「DFS」という仕組みが搭載されていますが、モニターで映像を確認をするためには、通信切断を回避する必要がありました。

解決策

最新のWi-Fi規格「Wi-Fi 6(11ax)」に対応

「DFS障害回避機能」搭載の機器を採用

Wi-Fi 6(11ax)対応の機器を選定

最小限の通信遅延と高速かつ安定した通信環境を目指し、Wi-Fi 6(11ax)対応の法人向け無線LANアクセスポイント「WAPM-AX8R」やVPN機能搭載の法人向け有線ルーター「VR-M2000」、光メディアコンバーター「BMC-GT-S10K」などを採用。当初、Wi-Fi 5対応の屋外用無線LANアクセスポイントで試みましたが、Wi-Fi 6(11ax)で5GHz(W56)に限定して使用した「WAPM-AX8R」の方が、より良い結果を得ることができました。

通信の切断を防ぐ「DFS障害回避機能」

「WAPM-AX8R」には、気象レーダー波や航空レーダー波検知時の通信切断を回避する「DFS障害回避機能」も搭載しています。レーダー監視専用アンテナを備え、干渉しないチャンネルを常に把握するため、通信が切断されることなく、瞬時に自動でチャンネルを切り替えることが可能です。

効果

高速通信かつ低遅延により遠隔運転を実証

遠隔運転への期待に応えたい

公衆インターネット網の環境で低遅延を実現

コクピットを設置した「知の拠点あいち」と、車両が走行する愛知工業大学の2点間を公衆インターネット回線で結び、無線区間を含めて低遅延通信を実現。車両側は133.6msecという低遅延通信を実現。インターネット回線とWi-Fiによる遠隔運転を実証する環境が整いました。

さらなる遠隔運転の研究に励みたい

愛知工業大学校内を走行する車両に設置された「WXR-5700AX7S」

愛知工業大学 情報科学部 情報科学科 教授 博士(工学)塚田 敏彦氏は「本プロジェクトで企業の技術と本学のシーズを融合し、築いた資産を活用して、今後も遠隔運転の研究に励みます。」と意気込みを話します。

Wi-Fi 6(11ax)を軸に構築。車両内の家庭用Wi-Fiルーター「WXR-5700AX7S」は、Wi-Fi子機として使用している。遅延低減を追求し各種設定を調整しやすいよう同一メーカー(バッファロー製品)に統一。


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