校内ネットワークの再構築により情報漏えい対策を強化。無線LAN・パソコン・プロジェクターを活用した授業を本格スタート。

鶯谷中学・高等学校 様

鶯谷中学・高等学校 事務部長 加藤繁樹氏(左 以下、加藤氏)、株式会社インフォファーム 柴田厚也氏(右 以下、柴田氏)

鶯谷中学・高等学校(以下、鶯谷中学・高校)では、個人情報管理におけるセキュリティー強化のため、教員用パソコンの配備と校内ネットワークの再構築を実施。同時に、教員用パソコンを接続し、授業および教材開発を行うための無線LAN環境を構築。無線LANアクセスポイント「WAPM-1266R」の採用により、導入費用を抑えながら、すべての教室で無線LAN通信ができる環境を実現しました。さらに各教室にプロジェクターによる投影可能な環境を整備し、パソコンとインターネットを活用した授業を本格的にスタートしました。

取材協力

株式会社インフォファーム

概要

難関大学へ多くの卒業生を輩出する、県内有数の進学校

個人情報を守るためのセキュリティー強化と環境整備

人間教育、グローバル教育を通した人材育成を目指す

鶯谷中学・高校は、学校法人佐々木学園が運営する岐阜県内有数の進学校。中学・高校の6年間在籍する「中高一貫コース」、高校3年間在籍する「英進コース」、それぞれの特色を活かした教育により、国立大学をはじめとする難関大学へ数多くの卒業生を輩出しています。

学習だけでなく、日々のあいさつ運動や清掃活動、部活動などの課外活動、学校行事、宿泊研修などを通して、人として大きく成長するための情操教育、人間教育を実施。近年はさらに、大阪府や福島県の英語村を活用した英語生活体験、イギリスやアメリカでの語学研修など、グローバル教育にも力を入れています。また、小学生を対象にした英語セミナーやロボットプログラミングセミナーなど、地域の子供たちの教育支援も行っています。

独自の学習指導・教育方針に加え、岐阜駅からバスと徒歩で15分という通学の利便性と、金華山の豊かな自然と四季の移り変わりを感じられる学習環境の評判がよく、岐阜県だけでなく愛知県など他県からの入学者も増えています。

ネットワークの再構築とともに教員用無線LAN・パソコン・プロジェクターを導入

鶯谷中学・高校では、これまで教員用パソコンの貸与がなかったため、一部の教員は個人所有のノートパソコンを持ち込んで教材開発等を行っていました。また校内の有線ネットワークは、誰でも簡単に接続でき、校務用サーバーも同じネットワークに接続されていました。

こうした状況を改善し、個人情報管理に関するセキュリティーを強化するため、教員用パソコンの貸与とネットワークの再構築と、無線化を実施。同時に、各教室へのプロジェクター設置など、デジタル教材やインターネットを活用した授業が行える環境を整えました。

鶯谷中学・高等学校

1903(明治36)年に、岐阜県で最初の私立学校「佐々木裁縫女学校」として誕生。1925年に「佐々木高等女学校」を併設。長年にわたって女性の教育に力を注いできた。時代の変遷とともに共学へ移行し、1990年に「鶯谷高等学校」に改称。1996年に「鶯谷中学校」を新設し、併設型中高一貫校となった。創立者、佐々木とよ氏が掲げた「我ら真心もて教えの任に当らん」の教育理念を守り、生徒一人ひとりの人格と個性を尊重しながら、全職員が親身な指導にあたり、生徒の自立心・自尊心の確立を目指しています。

所在地

〒500-8053 岐阜県岐阜市鶯谷町7

電話

目標・課題

管理体制が不十分だったパソコン環境

校内ネットワークのセキュリティー強化

個人所有パソコンの持ち込み使用による情報漏えいの不安

鶯谷中学・高校では、これまで教員にパソコンの貸与を行っていなかったため、授業や校務にパソコンを活用したい教員は、個人所有のパソコンを持参していました。校内でパソコンを使用する際は、指定のセキュリティーソフトウェアをインストールすることを義務付け、ウイルス感染や情報漏洩などのトラブルが起きることがないよう対策を行っていました。

しかし、パソコン・インターネットの普及とともに、個人情報の取り扱いについてより強固なセキュリティーが求められる時代になりました。個人所有のパソコンを仕事に使うことは、情報漏えいの原因になりやすいことから、学校への持ち込み・使用は禁止し、代わりに教員用のノートパソコンを貸与することになりました。

誰でも簡単に接続可能だった校内ネットワーク

個人情報の取り扱いが厳しくなり、
以前のような管理体制では通用しない時代になったと語る加藤氏

また、すでに敷設されていた校内ネットワークにも、セキュリティー上の大きな問題があったと加藤氏は話します。「本校には以前から有線LANネットワークが構築されており、持ち込んだパソコンを接続すれば、誰でも簡単にインターネットを利用できる環境でした。

さらに、校務用のサーバーも同じネットワークに接続されており、教職員のパソコンを通してサーバーがウイルス感染してしまう危険性がありました。また外部からの不正アクセスに対しても非常に脆弱で、サイバー攻撃の標的にされてもおかしくはないのではという心配もありました。トラブルが起きないうちにできるだけ早く対策をしなくてはと、教員へのノートパソコンの貸与とともに、ネットワークの見直しも行うことにしました。」

解決策

利用目的にあわせてネットワークを3つに分割

無線LANアクセスポイントに「WAPM-1266R」を採用

導入商品

エアステーションプロ
インテリジェントモデル 11ac/n/a & 11n/g/b 法人様向け無線LANアクセスポイント

校務用サーバーは他のネットワークから完全に遮断

教員用パソコンについては、常勤教員には1人1台のノートパソコンを、非常勤教員には共用のデスクトップパソコンを配備し、セキュリティーソフトウェアをインストール。個人所有のパソコンは持ち込み禁止としました。ネットワークについては、生徒用・教員用・校務用の3つのネットワークに分割し、再構築しました。

生徒用

パソコン教室のパソコンのみを接続するネットワーク。インターネットを利用した調べ学習等が可能。

教員用

授業および教材開発のためのネットワーク。教材用サーバーとインターネットに接続可能。

校務用

校務専用パソコンのみを接続するネットワーク。インターネットからは完全に遮断。

生徒の個人情報は校務用ネットワークのみで取り扱い、セキュリティーソフトウェアによりUSBメモリ等へのコピーを防止。データの持ち出しやサイバー攻撃による情報漏えいの危険をなくしました。

「WAPM-1266R」の採用により無線LAN導入費用を軽減

低価格の法人向け無線LANアクセスポイント「WAPM-1266R」
が発売されたおかげで、予算を大幅に抑えられたと話す柴田氏

当初の計画では、セキュリティー強化のために有線LANネットワークの見直しだけを実施する予定でした。しかしICT教育の今後を考えると、いずれ無線LANネットワークが必要になることは明らかです。加藤氏は、この機会にネットワークの無線化も同時に行いたいと、ネットワーク構築を依頼していた株式会社インフォファームの柴田氏に相談しました。限られた予算内で無線化を実現するために、柴田氏はかなり悩んだといいます。

「最初に無線化の話を伺った時には、3~4教室あたりに1台ずつの無線LANアクセスポイントを設置すればいいと思いました。しかしいざ図面を見てみると、校舎が山の麓の斜面に沿って複雑な形で建てられていて、一部は9階建てになっていました。1教室に1台のアクセスポイントが必要な箇所が多いため、かなりの台数が必要だとわかりました」

そこで柴田氏が目を付けたのが、バッファローの無線LANアクセスポイント「WAPM-1266R」でした。「どうやって予算に収めようかと悩んでいた時に、絶好のタイミングで『WAPM-1266R』が発売されたんです。法人向け商品で、11acへの対応や、電波干渉に強い『干渉波自動回避機能』など上位モデルと同じ機能を搭載し十分な通信性能を持ちながら低価格。おかげで予算内で計画を立てることができ、お客様にも喜んでいただけました。」

廊下に設置された「WAPM-1266R」。すでに敷設済みの有線LANを利用したため、配線工事の必要がなく、工期と費用を抑えることができた

以前の校内ネットワークは、校務用サーバーとパソコン教室のパソコンが同じネットワークに接続されていた。また個人所有のパソコンも簡単に接続ができ、セキュリティーが脆弱だった

ネットワーク再構築後は、生徒用・教員用・校務用の3つのネットワークに分割し、校務用ネットワークをインターネットから遮断した

効果

無線LAN・パソコン・プロジェクターを授業に活用

数年後には生徒へのタブレット貸与も視野に

デジタル教材やインターネットを活用した指導

地理の授業では、インターネットを活用して航空写真を
スクリーンに表示。リアルな地形を見せながら説明することで、
生徒の理解を深めている

鶯谷中学・高校では、教員用ノートパソコンの貸与・ネットワークの再構築とともに、パソコンを活用した授業のための環境整備を実施しました。各教室に短焦点プロジェクターを設置。黒板に収納式のマグネットスクリーンを貼り、壁に設置された映像端子に教員用のノートパソコンを接続するだけで、手軽にパソコンの画面を投影できるシステムを構築しました。無線LANでのインターネット接続が可能となったため、ケーブル接続は映像ケーブルのみ。短時間で準備と片付けができるようになったことで、パソコンの授業への活用が一気に加速したと加藤氏は話します。

「以前は、授業でパソコンを使う先生はほとんどいませんでしたが、いまは多くの先生が活用しています。市販のデジタル教材を使うだけでなく、インターネット地図を活用するなど、それぞれに効果の高い指導を実践しています。環境整備に先がけて、ICT活用教育に興味のある先生を募り、他校の公開授業の見学や講習会へ参加するなど、指導方法を研究してもらっていましたが、その効果も出ているようです。やる気のある先生が主導しながら授業の質を高めていくことで、他の先生たちにも波及していってほしいと思っています。」

デジタル教材を活用した授業の様子。パソコンの映像ケーブルを壁に設置された端子に接続するだけで、黒板の上に設置された短焦点プロジェクターに映すことができる。黒板に貼られたスクリーンは収納式で、巻き取って持ち運ぶことができる

タブレット活用のメリットとデメリット

今後はさらに、生徒に1人1台のタブレットを貸与しての授業も視野に入れています。授業はもちろん、学校外でもクラウドにアクセスして自主学習ができる環境は、生徒たちにとって大きなメリットがあります。しかし、それを現実にするためにはまだいくつかの課題が残っていると、加藤氏は考えています。

「一番の課題は、それが本当に活用されるかどうか。活用されたとしても、いまの学習方法を超える効果がなければ意味がありません。また持ち帰ったタブレットがインターネット動画やゲームなど、学習以外のことに使われてしまう心配もありますし、メールやSNSを悪用される可能性もゼロではありません。昔、ITで学校が変わると言われ、どの学校もパソコンや電子黒板を導入しましたが、期待したほどの効果はありませんでした。ではタブレットはどうなのか。他校の事例も参考にさせていただきながら、本当に生徒のためになる活用方法、デメリットを解消する方法を検討した上で、できるだけ早く導入したいと考えています。」


取材後記

これまでに培った指導方法にプラスの効果がなければ意味がない、すぐに時流に乗るのではなく、メリット・デメリットを十分に吟味した上で導入を検討するべきという鶯谷中学・高校の方針には、伝統校ならではの自信が感じられました。これまでに培った指導方法にICTをどうマッチさせるか。私たちメーカーもそうした視点を大切にし、学校との連携を強め、現場の声をとり入れながら商品開発を進めていきたいと思います。


その他の導入事例