広大なフィールドに点在する建物・施設をつなぐ無線LAN環境を構築。研究拠点としての機能強化および研究活動における積極的なICT活用に貢献

名古屋大学 大学院生命農学研究科 附属フィールド科学教育研究センター東郷フィールド 様

28haの広大な敷地に研究施設や家畜舎、畑、水田などを有する名古屋大学 大学院生命農学研究科 附属フィールド科学教育研究センター東郷フィールド(以下、東郷フィールド)。持続的生物生産、生物機能の高度利用、遺伝資源の保存・利用および生命科学技術の統合など、次世代研究を可能にする機能を備えた同フィールドでは、より効率的な研究展開を目指してネットワーク環境を強化。屋外向け無線LANアクセスポイントをはじめとする法人向けWi-Fi機器を用いてフィールド内の建物・施設を同一ネットワークでつなぐ無線LAN環境を構築しました。

導入先プロフィール(2023年6月現在)

施設名

名古屋大学 大学院生命農学研究科 附属フィールド科学教育研究センター東郷フィールド

所在地

〒470-0151
愛知郡東郷町大字諸輪字畑尻94

お客様インタビュー

国立大学法人 東海国立大学機構
名古屋大学
大学院生命農学研究科
動物科学専攻 動物生産科学研究室
教授 博士(農学)
大蔵 聡氏(右)

国立大学法人 東海国立大学機構
名古屋大学 全学技術センター
情報通信技術支援室
情報教育支援技術グループ グループ長
主席技師
大川 敏生氏(左)

フィールド内の複数建物・施設で安定した無線LAN通信が可能に。
牛の発情発見システムを新たに導入し、研究活動の効率・質が大きく向上

概要

屋内外で使える無線LAN環境に

研究・教育活動の質的向上を実現

無線LAN接続可能エリアを拡張

畜産・作物に関する研究活動や学生のフィールド演習の場として機能する東郷フィールド。研究・教育活動の質的向上を目指す同フィールドは、一部の建物に限定されていた無線LAN接続可能エリアを拡張。畜産エリアを中心に屋内外で安定してつながるネットワーク環境を構築しました。

農作物系研究への無線LAN活用にも期待

無線LAN環境整備により、牛の発情発見システムの導入・運用、東山キャンパス経由による太陽光パネルの稼働データ管理を実現。今後は、今回整備対象外となった畑や温室などにおける無線LAN活用の可能性にも期待が寄せられています。

目標・課題

牛舎で無線LANが使えない

太陽光パネルの管理方法見直し

牛の発情発見システム運用に無線LANが必要

東郷フィールドで家畜生産性の向上について研究を行う大蔵 聡氏(以下、大蔵氏)は「研究の一環で人工授精による牛の繁殖を行います。受精率を高めるには牛の発情発見システムの利用が有効ですが、牛舎には無線LAN環境がなく、発情の兆候を目視で確認する必要がありました。」と話します。

東山キャンパスで太陽光パネルを管理したい

無線LAN環境整備を担当した大川 敏生氏(以下、大川氏)は、「フィールド内には太陽パネルも設置されています。施設内のどこでもインターネット接続が可能な環境になるのであれば、それをネットワークに接続して、遠隔管理できるようにすれば利便性も高まると思いました。」と話します。

解決策

屋外設置に対応した機器を導入

屋内外でインターネット接続可能に

拠点間通信により建物・施設間を接続

フィールド内に点在する建物・施設を同一ネットワークでつなぐため、リピーター機能(WDS)による拠点間通信を選択。起点となる研究棟には屋根がないため、耐環境性に優れ直射日光下でも設置可能な「WAPM-1266WDPRA」を、建物・施設内には「WAPM-1266R」を導入しました。建物間通信には、広指向性アンテナ「WLE-HG-DA/AG」、無指向性アンテナ「WLE-HG-NDC/A」を使用しました。

フィールド内全域でつながる無線LAN環境に

屋外エリアでWi-Fiの利用が可能になったほか、研究棟以外の建物でもWi-Fiおよび有線LANによるインターネット接続が可能に。太陽光パネルのインターネット接続が可能になったことで第2牛舎以外の建物や東山キャンパスからインターネット経由で稼働状況を確認できるようになりました。

効果

牛の発情発見システム導入

必要な時に必要なデータ取得が可能

牛の発情タイミングの見逃しリスクを軽減

屋内外の無線LAN環境整備に伴い、牛の発情発見システムを導入。歩数計データから行動特性の把握が可能になり発情タイミングの見逃しリスクが軽減されました。大蔵氏は「歩行記録を見れば発情の兆候が明確にわかります。より確率・精度の高い人工授精が可能になりました。」と話します。

畑や水田への無線LAN拡張も視野に

研究棟屋上に屋外用アンテナともに「WAPM-1266WDPRA」を設置

東山キャンパスから太陽光パネル管理画面への接続が可能になり、随時データ取得が可能に。「今回は整備対象外でしたが、たとえば農作物の監視など畑や果樹園での無線LAN活用にも可能性を感じています。」と大川氏は話します。

研究棟に設置した直射日光対応モデルの「WAPM-1266WDPRA」を起点に、リピーター機能(WDS)による拠点間通信で各建物・施設を接続。オプションの屋外用アンテナを採用することで、研究棟から最大約100m離れている家畜舎でも安定した無線LAN通信を可能にした。


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