お客様目線で構築した全客室・無線LANインターネット導入で顧客満足度アップを実現

株式会社星野リゾート・トマム 様

写真左より、株式会社星野リゾート・トマム FMユニットシステム担当 佐々木政勝氏、株式会社ゆあさ システムソリューション部 主任 吉信英治氏。

リゾート施設や旅館の経営や運営受託で知られる星野リゾート様が、北海道勇払郡占冠村で運営する「星野リゾート・トマム」。多数の施設を備えるこのリゾート内に建つ、4棟のタワー型ホテルの全客室に、2012年12月から無線LANが導入された。今回の事例ではリゾートホテルにおける無線LANの必要性を紹介する。

取材協力

株式会社ゆあさ様

週刊ホテルレストラン 2013年10月25日号にて星野リゾート・トマム様事例が紹介されました。

概要

北海道内でも最大規模の複合リゾート。

1000haの森の中に建つ全4棟のタワー型ホテル。

お客様向けのインターネット環境の整備がテーマに。

夏季も冬季も楽しめる複合リゾート「星野リゾート・トマム」

北海道内でも最大規模を誇るスキー場を始め、リゾートホテルやコンドミニアム、インドアプール&スパハウス、ゴルフコースなど多数の施設を持つ複合リゾート、星野リゾート・トマム様。年間に約10万人が訪れる雲海テラスなどの美しい自然に囲まれ、冬山を楽しむ文化を創造・発信する“冬山解放プロジェクト”や「旅行で一番大変なのはママである」という視点からママのストレス軽減を目的としたプロジェクト“ままらくだ委員会”を発足させるなど、独自の取り組みを進めている。

トマムのランドマーク「ザ・タワー」と「リゾナーレ トマム」

総敷地面積1000haの森の真ん中に建ち、トマムのランドマークともいえる36階建てのツインタワー、ザ・タワーI・II(客室数全689室)。さらにザ・タワーI・IIの背後にそびえるもう一つのツインタワー、リゾナーレ トマム ノース・サウス(客室数全200室)は、 1フロア4室のオールスイートホテルだ。今回の事例ではこの4棟のタワー型ホテルの全客室に無線LANが導入された。

お客様向けのインターネット環境の整備を計画

当初は「客室内の電話交換機の更新を機に、お客様向けのインターネット環境を整備したかった」と株式会社星野リゾート・トマム FMユニット システム担当の佐々木政勝氏は語る。そんな佐々木氏の相談を受け、株式会社ゆあさ システムソリューション部 主任の吉信英治氏がバッファローの無線LAN商品を提案した。バッファロー商品を選択した理由について吉信氏は「富良野地方の学校で無線LANを導入しており、トラブルがなく安定稼働している実績があるからです」と語る。

株式会社 星野リゾート・トマム

スキー場、ゴルフ場、リゾートホテル、コンドミニアム、屋内プール&スパなどの施設を持つ、北海道勇払郡占冠村にある複合リゾート。夏季シーズン、冬季シーズンのどちらも楽しめる自然体験型リゾートとして、国内・海外問わず多くのお客様に愛されている。

所在地

〒079-2204 北海道勇払郡占冠村字中トマム

電話

目標・課題

顧客満足度アップのために必要なネット環境。

約900室もの客室全てでつながる無線LANを提供。

クライアントの不安を解消した提案。

顧客満足度のデータからもネット環境の不備が明らかに。

無線LAN導入以前は、客室にインターネット環境はなく、ロビーにバッファロー製の無線LAN親機を1台、共用PCを数台設置してあるだけだった。「その当時の顧客満足度の調査結果では2割くらいのお客様からインターネット環境の不満があがってきていました。実際、夜になるとお客様がロビーでスマホやタブレット、ノートPCを使っている光景や共用PCに行列ができていることもありました」と佐々木氏。そんな状況の改善が目標だった。

立地やお客様の利用状況から、無線LANが必須と判断。

トマムは札幌と旭川や十勝方面の中間地点に当たる場所柄から、宿泊されているお客様が星野リゾート・トマム様を拠点にした旅行予定をインターネットで調べることが多い。さらに季節によっては海外からのお客様も数多く訪れるが、海外からのお客様は3GもLTEも使えないことからWi-Fi環境が必要だったこと。それらを踏まえて考えられたのが、全ての客室で快適にインターネットにつながる無線LAN環境の構築だった。

社内にあった不安要素を解消する提案。

ただ「社内には以前にイベント等の際に無線LANを使用して繋がらなかったという情報が入ったり、そもそもバッファロー商品は家庭用というイメージが強いという声もあったため、他社の無線LAN商品の提案も受けました。」と佐々木氏。そこでその問題を解決すべく次のような提案を行った。「そもそもイベントで繋がらなかったのは、ネットワークの構成に問題があった事とその環境に適していない商品を採用したのが原因です。今回は、タワー型ホテルの構造を考慮し、単純に多くの台数を設置するのではなく効果的な設置を考え、ネットワークがきちんと繋がる環境をご提案しました。そして提案段階からバッファローさんに相談させて頂き、各フロアをカバーするための最適な無線APの台数や大規模ネットワークに適した法人向けの無線アクセスポイントをご提案しました」と吉信氏は語る。その結果無線LANに関する豊富なノウハウ、そしてなによりもトータルコストを抑えられること等、総合的な評価からバッファロー社製にて導入が決定した。

解決策

管理の利便性を考慮したシステム構築。

アクセスポイントはお客様目線で設置。

パスワード不要の無線LAN接続。

導入商品

エアステーション プロ
11n/a & 11n/g/b同時使用
スマートモデル
無線LANアクセスポイント

ネットワーク
集中管理ソフトウェア
BUFFALO Admin Tools

ネットワーク管理の利便性を考慮して。

無線LAN環境の構築にあたり吉信氏が第一に考えたのが、ネットワーク管理の利便性だ。「当初は4棟あるホテルにそれぞれでネットワーク集中管理ソフトウェア BUFFALO Admin Toolsを入れた端末を置いて監視することも検討しましたが、ホテル4棟のうち2棟が事務所から遠いので、 万が一の場合に不便なんです。それでネットワーク構成を検証しました。」その結果、管理者である佐々木氏が常駐するホテルのサーバールームで集中管理できる環境を実現した。

お客様目線で設置された約300台の無線アクセスポイント。

ホテル、ザ・タワー(2棟)とリゾナーレ・トマム(2棟)の全ての客室にインターネット環境を提供するために用意されたのは約300台の無線アクセスポイント(AP)。「基本3台の無線APを各フロアの廊下に設置していますが、フロアの造りによってAP数と設置場所は変えています」とのこと。また「無線APは共用機器なので、お客様目線で考えた時にお客様の専有スペースである客室に設置するのは控えました」と徹底したお客様目線で無線LAN環境を構築されている。

全客室での高速無線LANを実現。

インターネット環境の提供にあたり、ザ・タワーの2棟がそれぞれ200Mbpsの光回線を独立して1本ずつ持ち、リゾナーレトマムの2棟で1本の光回線を共有するという、山岳リゾートとしては珍しい良好な回線環境も全客室無線LAN化にあたってのアドバンテージ。すべてのお客様に高速な無線LAN接続サービスを提供することが可能になった。

効果

ノートラブル。マニュアルも不要。

顧客満足度アップ。業務効率もアップ。

山岳リゾートとしては珍しい快適なネット環境に。

クレームもトラブルもなく、マニュアルも必要なし。

導入後数カ月経つが、繋がりづらい、遅いなどのクレームはなく、無線LAN接続の方法が分からないという問合せもないとのこと。「部屋でネットができてよかったというお客様の声はありますが、マイナスのご意見は全くなく、懸念していた問題も起こってないです。以前のようにお客様が夜遅くまでロビーでネットをしている光景もなくなりました」と佐々木氏。

海外からのお客様のリピーター増加に期待。

全客室利用可能な無線LAN環境は、3GやLTEが使えない海外からのお客様にはとりわけ好評だ。ネットで情報を検索しながら旅行されることの多い海外のお客様にこそ必要な環境と言える。そしてこの取り組みにより、海外からのリピーターが増えることが予想されている。

顧客満足度アップに加え、従業員の業務軽減効果も。

無線LANインターネット導入によって、顧客満足の点だけではなく従業員の業務が大きく軽減されることになった。「今まで“部屋でネットを使えないのか?”という問合せをフロントの、特にナイト担当者が頻繁に受けていたので、それが無くなったことも大きいです」と佐々木氏。ビジネスホテルでは一般的となった無線LANインターネットだが、スマホやタブレットの普及に伴い、今後はリゾートホテルでも一層重要なサービスになるはずだ。


取材後記

今回の事例のように、スマートフォンなどのモバイル機器の普及に伴い、いつでもどこでもネットにつながる環境を多くの人が求めており、リゾートでもインターネット接続の要望が高まっていると考えられます。また、海外からの旅行者にとって情報収集の1番のツールはインターネット です。これらの理由より、これからのリゾートにはWi-Fiによるネット環境は必須と言えるでしょう。


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