海外からの旅行者受入に不可欠、全フロアへのWi-Fi導入で宿泊者の満足度をさらに向上
サザンビーチホテル&リゾート沖縄 様
株式会社 沖縄ホテルマネジメントが、沖縄県糸満市で運営するリゾートホテル「サザンビーチホテル&リゾート沖縄」。同ホテルでは2014年6月、全客室をはじめとして、レストランや宴会場、ロビーフロアをカバーする、Wi-Fiを導入しました。これによりノートPCだけでなく、スマートフォンやタブレットを用いて宿泊者が快適にインターネット接続やSNSを利用できる環境を実現。今回は、ホテルにおけるWi-Fi利用シーンの最前線と、その導入効果について紹介します。
概要
絶好の立地条件を有したリゾートホテル
ショッピングや観光に、国内外から多くの宿泊者が来訪
宿泊者のさらなる満足度向上のためWi-Fiを導入
沖縄県最南部に位置、海に囲まれたリゾート「サザンビーチホテル&リゾート沖縄」
サザンビーチホテル&リゾート沖縄は2009年、沖縄県の最南部に位置する糸満市にオープンしました。目の前には「美々ビーチいとまん」や糸満港を望み、水遊びやマリンスポーツ、美しい海・港の風景を楽しめる絶好のロケーションに加え、那覇空港から自動車で約20分という好立地であることから、国際通りや、沖縄県初となるアウトレットモール「あしびなー」への買い物にも最適です。さらに、高速道路へのアクセスも容易であることから、平和祈念公園や、北部のリゾート地など、サザンビーチホテル&リゾート沖縄を拠点に中・北部の観光スポットへ足を伸ばす宿泊者も少なくありません。
サザンビーチホテル&リゾート沖縄。地上10階の施設を有するホテルタワーに加え、ガーデンプールや屋内プールなどリゾート気分を満喫できる、充実した施設を用意している
リゾート気分を満喫できる施設に海外からの宿泊者も多数
敷地面積34,927平方メートル、地上10階の施設を有するホテルタワーは、総客室数 448室を用意。ビーチ側のバルコニーからはオーシャンビューを、港側からはハーバービューを楽しむことができます。また、ガーデンプールや屋内プールなどリゾート気分を満喫できる施設に加え、レストランはシェフ自慢のバラエティーに富んだ美味しい料理を提供しており、ブッフェを目当てに国内だけでなく海外からの宿泊者も数多く訪れています。このほか、結婚式での利用も多く、中でも「小さな結婚式」という少人数挙式プランは好評を得ており、毎日平均して4~5組、年間では国内外を合わせ1,500組ものカップルが誕生しています。
増加する海外旅行者の受け入れにWi-Fi環境を整備
サザンビーチホテル&リゾート沖縄は、国内の宿泊者、そして、増加を続ける海外からの旅行者をさらに受け入れ、その満足度を向上させていくため、インフラ面での整備も進めています。その中でも急務とされていたのが、Wi-Fiによる高速かつ柔軟なネットワークアクセス環境でした。そして、その実現に向けて今回導入されたのが、リコージャパンより提案されたバッファローのWi-Fi商品です。
株式会社 沖縄ホテルマネジメント「サザンビーチホテル&リゾート沖縄」
沖縄南部の糸満市に位置し、那覇空港から最も近い大型リゾートホテルとして2009年5月に誕生。美しいビーチのロケーションを望む客室や、2つのプールと多彩なメニューをそろえたレストラン、充実した設備と細やかなおもてなしにより、上質なリゾートステイを提供している。
目標・課題
スマートフォン、タブレットの利用増に伴いWi-Fi環境が必須に
Wi-Fiルーターを貸出ししていたものの、トラブルが多発
宴会場や会議室にも強力なWi-Fi環境構築が必要に
スマートデバイスの利用増でWi-Fiへの要望が増加
これまでサザンビーチホテル&リゾート沖縄では、各客室に設置してある有線LAN端子で、宿泊者向けにインターネット接続サービスを提供していました。しかし、近年、ノートPCだけではなく、スマートフォンやタブレットなどの利用者が急増。写真や映像をSNSにアップしたり、天気の悪い日には客室やレストランで子供にYouTubeの映像を観せたりする宿泊者が増え、Wi-Fi環境の整備が求められていたのです。
知念氏は、「日本のお客様であれば通信事業者による4Gサービス等でインターネットを楽しむ事が可能ですが、国内通信事業者と契約をしていない海外のお客様はそもそもインターネットをすることが不可能です。そうした背景もあり、以前より『とても良いホテルなのだが、Wi-Fi接続ができないことが残念』との声も頂いていました」と話します。
大人数の同時利用で「つながらない」などのトラブルも多発
そうした要望に対応するため、サザンビーチホテル&リゾート沖縄ではLAN端子に接続して利用する小型のWi-Fiルーターを導入、希望者にフロントで貸し出すなどの対応をしていました。しかし、「海外からの団体の宿泊者様は一般ツアーのお客様だけではありません。大学関係者、キャンプに訪れる海外プロ野球球団の方々など、一度に300名以上を迎え入れるケースもあります。小型Wi-Fiルーターは常時100個程度を用意していましたが、当然、十分な数ではありませんでした」と、知念氏は話します。 また、小型Wi-Fiルーターは十分な速度が保てなかったり、接続が途切れたりするといった性能面での問題も抱えていました。特に先述したような大人数の団体客を受け入れた際、大人数が一斉にWi-Fiを使用することで電波干渉が発生したり、通信品質が不安定になったりする事態が多発。
知念氏は、「Wi-Fiルーターに関する問い合わせが頻繁に寄せられ、フロントはその対応に手を煩わされていました」と振り返ります。 また、小型Wi-Fiルーターを貸し出す運用では貸し出し後の紛失や未返却という問題も少なくありませんでした。
会議場、宴会場でも無線アクセスが必須に
このほかにも、サザンビーチホテル&リゾート沖縄では、企業や大学関係者によるカンファレンスも頻繁に行われていました。知念氏は「会議室でネットワークに接続しながらプレゼンテーションやディスカッションを行ったりするだけでなく、キャリアの回線契約のないタブレットなどのスマートデバイスが普及したことによりパーティーが催される宴会場においてもネットワーク接続が求められていました。そうした場合には、客室で利用している小型Wi-Fiルーターでは必要なエリアをカバーする事ができなかったため、別途電器店でWi-Fiルーターを購入し、都度、会場に設置・運用していました。」と話します。
イベントの度、都度無線LANアクセスポイントを設置・設定するというホテル側に負荷のかかる運用を繰り返す中で、高速かつ安定したWi-Fi接続を実現するとともに、ホテル側の運用負荷を抑制できるような方策が求められていたのです。
解決策
法人様向け無線アクセスポイント「WAPM-APG600H」を採用
Wi-Fiに関する多彩な製品ラインナップを評価
ベンダー各社の協力でスムーズな導入を実現る
導入商品
性能と価格のバランスを評価し、バッファロー商品を選択
これらの課題を解決するため、サザンビーチホテル&リゾート沖縄は本格的なWi-Fi環境の構築を目指し、複数のベンダーに提案を依頼します。当初は屋外据え置き型の大型アンテナ無線アクセスポイントの導入も検討しましたが、沖縄という土地柄、台風等による破損を危惧し、屋内設置に絞って提案を依頼。ベンダー各社のプレゼンテーションを判断した結果、最終的に選択されたのが、リコージャパンが提案したバッファローのWi-Fi商品でした。
提案を担当したリコージャパンからは、「今回、バッファローのWi-Fi商品を選択した理由の1つには性能と価格のバランスに優れていた点があります。提案する側としても複数の商品を比較検討したのですが、バッファローの商品は電波の伝搬も安定かつ高速で、最も少ない台数でフロアをカバーすることができると判断しました。また、実構築にあたってはホテル内の美観を損ねないよう、天井据え付けではなく廊下の配管スペースの裏側に無線LANアクセスポイントを設置したのですが、壁越しでも十分なアクセス性を確保できています」と説明を受けました。
バッファローの協力のもと、設計、導入もスムーズに完了
一方、レストランやロビーでは、天井埋め込みタイプの無線LANアクセスポイント用アンテナである「WLE-CAT/AG」も同時に導入されたほか、トラブルが発生した際の迅速な対処が行えるようネットワーク集中管理ソフトウェア「BN-ADT」、および同ソフトウェアについて、100台までの無線LANアクセスポイントの保守に対応する「BN-ADT SP1Y/100」も採用されました。加えて、各無線LANアクセスポイントを集約するスイッチとして、PoE給電に対応したGigaスイッチ「BSL-PS-G2108M」を18台導入。高速通信によりWi-Fiの性能を最大限に生かすとともに、電源周りの工事をはじめとした設置費用も大幅に削減することが可能となっています。こうしたWi-Fiに関する多彩な商品ラインナップを揃えていることもバッファローを選択した理由の1つでした。
加えて、「バッファローさんはWi-Fiの構築や導入に関する豊富なノウハウを有していること、また、企業としての知名度の高さも安心感につながったことなども評価したことも採用の理由です」と知念氏は話します。
約9日という短期間で導入作業を完了
2014年4月の決定を経て、6月3日の本番運用開始に向け、導入作業が5月の連休明けから開始されました。工事に伴う客室の閉鎖期間をなるべく短くするためにも、リコージャパンをはじめとした各社の協力により、夜間工事を含め約9日間という約短期間での導入作業が完了。最終的には3階から10階までの客室フロアに各8台ずつで合計64台、および2階の宴会場やレストラン、ロビーに6台と、合計70台のWAPM-APG600Hが導入され、総客室448室と2階の各ファシリティをカバーするWi-Fi環境が実現されました。このほか、予備機として5台のWAPM-APG600Hも導入されています。
端末と無線アクセスポイント間の通信速度は最大300Mbps(規格値)に対応していることから、1台の無線LANアクセスポイントで8部屋をカバーしながら十分快適に利用可能な速度を確保できています。さらにローミング機能により、一度パスワードを設定してしまえば、客室だけではなくロビーやレストランでも、特に場所を意識することなくWi-Fiを使用できるので、利便性が大幅に向上しました。
効果
海外からの団体客の獲得増にも貢献
安定した高速接続にリピーターからも好評価
業務効率化でより手厚い顧客サービスの提供を目指す
高速かつ安定したWi-Fi環境が実現
6月3日から運用が開始されたWi-Fi環境ですが、「全館Wi-Fiの整備後宿泊者から『繋がらない』『アクセスが遅い』といった声が上がらなくなりました。」、と知念氏は評価します。最近では、レストランで食事をしながらSNSを見たり、撮影した料理の写真を楽しそうにアップしたりする宿泊者の姿も多々見受けられるそうです。実際、宿泊者からの評価も高く、リピーターからも「Wi-Fiを導入してくれて、ありがとう」と御礼の言葉をもらったり、アンケートでも好評を得たりしていると、知念氏は話します。
また、安定したWi-Fi環境が実現されたことで、「フロント側もあれだけ煩雑だったWi-Fiに関する対応業務から解放され、その工数を別の業務に充てることができるようになりました」(知念氏)と、業務効率向上にも貢献しています。
海外からの団体客獲得にも貢献
さらに、Wi-Fiは宿泊者の獲得増にも貢献しています。知念氏は、「以前から海外の旅行代理店から『Wi-Fi設備がもっと整えば、団体客をもっと誘致できる』と言われていました。実際、ここ数年、ツアー側のホテル選択の条件としてWi-Fi環境が必須である事が増えており、旅行サイトや旅行代理店に団体ツアー向けの宿泊施設としてエントリーする際にも不可欠の設備となっています。今回のWi-Fi環境整備によって、さらなる宿泊者増に期待しています」と話します。実際、全館Wi-Fiの整備後すぐに中国の富裕層を中心とした300名規模の継続的なツアーを獲得。確実にセールスの向上につながっています。
ホテル業務でのWi-Fi活用も視野に
現在は宿泊者向けサービスとして提供されているWi-Fi環境ですが、今後はホテル業務での利用も検討したい、と知念氏は話します。
「例えばレストランでオーダーを取る際にもタブレットとWi-Fiを用いれば、注文データも残りますし、スピードアップにもつながります。そうした時間の短縮化や業務効率化を積み重ねていくことで、お客様により良いサービスを提供する時間ができ、ひいてはホテル全体のサービス品質の向上につなげられます」と、知念氏は展望を述べます。
Wi-Fiの導入によって宿泊者の満足度の向上と宿泊者増を実現できたサザンビーチホテル&リゾート沖縄。今後はホテル業務においてもWi-Fiやスマートデバイスの活用を広げていくことで、さらなるサービスの強化と顧客増を目指して行く構えです。
取材後記
スマートフォンやタブレット、SNSが日常生活に浸透する中では、旅先においてもそれらのデバイスやサービスをスムーズに利用できる環境が不可欠となりつつあります。ホテルにおいては、高速かつ安定したWi-Fi接続が可能なインフラは、“あって当たり前”の設備になっており、その上での新たなサービスの提供に期待されます。