リコージャパン「ITKeeper 無線LANパック」を活用してWi-Fi環境を構築。平均2時間の残業が平均15分へ短縮。全館Wi-Fi整備により特別養護施設の業務効率化を実現

雄武町社会福祉協議会様(特別養護老人ホーム雄愛園)

北海道雄武町立特別養護老人ホーム「雄愛園」では、従来デスクトップPCで請求業務のみICT化していた環境に、iPadやノートPCを追加導入し、さらにそれらを全館で活用するためのWi-Fi環境の構築により、日誌やバイタル管理など記録業務のペーパーレス化を実現。導入時の課題は「入り組んだ施設内全体を満たすWi-Fi構築は可能か」と「遠隔地だが迅速なサポート対応は可能か」。これを解決したのが、全国を網羅したリコージャパンの導入・運用・保守支援サービス「ITKeeper 無線LANパック」。安定したWi-Fi環境によりモバイル端末を全館で活用でき、業務の効率化と残業時間の大幅削減を実現しました。

概要

モバイル端末とWi-Fiを導入し、膨大な日誌をペーパーレス化

リコージャパンの全国拠点網なら遠隔地での運用保守も解決

手書きだった介護日誌のペーパーレス化で業務効率化

 オホーツク海沿岸に位置する北海道雄武町。冬には流氷が訪れるこの地で、雄武町社会福祉協議会が運営する特別養護老人ホーム「雄愛園」は、特養40名、ユニット20名、ショートステイ11名、デイサービス25名を定員とし、60名超のスタッフが働く大規模な介護施設です。
 膨大な業務を効率化するため、以前よりデスクトップPCとNDソフトウェア株式会社の介護業務支援ソフト「ほのぼのNEXT」で請求業務が行われていましたが、これに加え、2019年5月よりモバイル端末とWi-Fi環境を導入。これまで手書きで行ってきた日誌、バイタル収集、ナースコール連動などの記録業務もICT化することになりました。

全国に多数の拠点を持つリコージャパンの保守サービス

 導入時の課題は大きく2点ありました。1つは入り組んだ建物の形状。施設内のどこでも安定的にWi-Fiを利用するためには、無線LANアクセスポイントの最適な配置計画が必要でした。もう1つは、地域の拠点都市から離れた立地。万が一のトラブル時に、迅速な対応が受けられないという懸念がありました。これらを解決するため、リコージャパンの無線LAN導入・運用・保守支援サービス「ITKeeper 無線LANパック」を採用。全国拠点網を生かし、遠隔地の施設への迅速な保守対応を実現。バッファロー製の無線LANアクセスポイントを利用し、安定したWi-Fi環境を構築しました。
 現在、スタッフ研修で使い方を学んでいる最中とのことですが、すでに「情報の共有化」や「残業時間の削減」において大きな効果が生んでいます。

社会福祉法人雄武町社会福祉協議会

雄武町の位置図

平成15年10月1日に訪問介護事業に参入し、平成17年4月1日より雄武町の指定管理者として特別養護老人ホーム「雄愛園」の運営を開始。雄愛園は平成10年に開設した介護施設で、特に介護リフトによる「拘縮予防」などに力を入れています。入居定員はおよそ100名と、比較的規模の大きな施設。季節イベントを盛んに開くなど、入居者とのふれあいを大切にしています。さらにふれあいの時間を増やすべく、現在、業務効率化を目指してICT化を積極推進中。

所在地

〒098-1702
北海道紋別郡雄武町字雄武376番地1

電話

0158-84-4761

目標・課題

共有性が低く、工数・残業増える手書きの日報

遠隔地で迅速な保守対応は可能か

共有性がなく手間ばかり増えていた手書きの日誌

 2016年から雄愛園施設長を務める佐々木宏次氏(以下、佐々木氏)は、スタッフの負担軽減のため、前々から記録業務のICT化の必要性を感じていたと言います。「例えば、手書きで作る日誌は毎日A3両面の量。1枚の紙に複数人で書くため時間がかかっていました。スタッフごとに使う表現が微妙に違ったり、同じ内容を何度も書いていたり、情報共有の手段として最適とは言えなかったのです。」結果、残業も増える一方。そこでiPadやノートPCなどの端末とWi-Fi環境を導入し、各種記録業務(日誌、バイタル管理、ナースコール連携など)を「ほのぼのNEXT」へ統合することを目指しました。

拠点都市から離れた立地で迅速な保守対応は可能か

小林株式会社 営業部営業課 係長の石川広氏

 導入計画は2018年夏よりスタート。最初の課題は、入り組んだ廊下が各部屋をつなぐ建物の複雑な形状。Wi-Fiの電波に空白を作らないためには、入念な事前調査や設計が必要でした。さらに大きな課題となったのが、拠点都市からの距離です。地元の販売店である小林株式会社 営業部 営業課 係長の石川 広氏(以下,石川氏)は「雄武町は当社の拠点となる北見市から車で約3時間かかります。さらに、ここは冬に交通規制のかかりやすい土地柄。万が一の時に確実に対応するためには、何かしらの対策が必要でした。」と語ります。

解決策

事前サーベイ、導入、保守までを支援する「ITKeeper 無線LANパック」

遠隔地でも迅速な保守体制、複雑な建物形状でも対応可能

導入商品

11ac/n/a & 11n/g/b
DFS障害回避機能搭載
法人向け無線LANアクセスポイント

IEEE 802.3at対応
PoEスマートスイッチ
8ポート

入り組んだ複雑な建物に最適なWi-Fi設計を

 こうした課題の解決策となったのが、リコージャパンが提供する「ITKeeper 無線LANパック」でした。さまざまな環境における無線LAN構築・運用・保守をワンストップに支援するサービスで、「調査・設計」「設定」「工事」「試験」「端末設定」「サイトサーベイ」「保守」「運用代行」の各種メニューで構成されています。石川氏は、「本案件にとてもマッチするものでした。建物の形状が複雑でどこに機器を設置すべきか分かりくい。事前調査が重要ですが、調査から導入までワンストップに行える。これ以上ない選択でした。」と語ります。依頼を受けたリコージャパンでは事前調査の結果をもとに、無線LANアクセスポイント「WAPM-1266R」を11台配置する、死角のないWi-Fi環境をプランニング。それに合わせLAN配線を行い、セキュリティ対策としてUTM(統合脅威管理システム)も導入しました。

リコージャパンの保守拠点網を生かして迅速サポート

リコージャパン株式会社 北海道支社 道東営業部
北見営業所 アシスタントマネージャー 林 利明氏

 拠点都市からの距離も「ITKeeper 無線LANパック」が解消してくれます。「リコージャパンは、国内どこでも、すぐに駆けつけられる体制を取っており、2019年11月現在、全国に428カ所のサービスステーションを設置。これらを拠点とした『オンサイトサービス』と、電話やインターネットを駆使した『センターサービス』を提供するため、約4,600名のカスタマーエンジニアによる万全の体制を整えています。」と、リコージャパン株式会社 北海道支社 道東営業部 北見営業所の林 利明氏は説明します。通常の販売形態であれば販売店である小林株式会社が保守を担当しますが、車で約3時間かかり迅速な駆け付け対応は困難です。しかし本案件では「ITKeeper 無線LANパック」を利用したことで、車で1時間ほどの紋別市に常駐するリコージャパンのカスタマーエンジニアによる迅速なサポートが受けられます。佐々木氏は「今回のICT化は以前から思い描いていたのですが、運用保守に懸念がありました。それが導入からサポートまで一貫して対応してもらえるのだから、本当に助かりました。」と語ります。

特別養護老人ホーム雄愛園のネットワーク構成図

効果

業務効率化により平均2時間だった残業が15~30分に短縮

入居者とのふれあいの時間を増やすためにさらなる環境整備へ

人手不足の介護業界で残業ゼロを目指す

 環境構築が完了したのは2019年5月。全館にWi-Fiを整備し、施設内どこにいても通信可能になりました。従来は事務室内のデスクトップPCで「ほのぼのNEXT」を請求業務のみで使用していましたが、新たにiPad9台とノートPC3台を導入し、日誌・ケアプラン・バイタル収集・ナースコール連携など各種業務もICT化。介護スタッフが持ち歩きながら、現場で情報を入力・閲覧できるようになりました。佐々木氏は大幅に業務が改善されたと話します。「特に日誌の負担が大きく軽減されました。ICT化されたことで用語・表現がある程度統一され、一度入力した内容が再利用されるため、同じ内容を何度も書く必要がありません。情報の共有性も高まり、情報を入力するのに大きく時間を取られなくなったのです。」

武町社会福祉協議会 特別養護老人ホーム雄愛園 施設長の佐々木宏次氏

 実際、その効果は「長時間勤務の抑制」という形で現れています。「以前は平均2時間程度の残業が発生していたのですが、15~30分程度に短縮されています。また、はじめこそiPadやノートPCに不慣れなスタッフから『手書きがいい』という声もあったのですが、使っていくにつれて意識も変化し、今ではスタッフが自分たちで勉強会を開くほど、浸透しています。」(佐々木氏)とのこと。人材不足が叫ばれる介護業界にあって、「15~30分程度の残業」は珍しいケースと言えるでしょう。しかし、佐々木氏の目標はさらにその上。「定時退園できる残業ゼロ環境を目指したい。」と意気込みを語ります。

今後は外からもアクセスできるように

 現在は月に一回の研修で、現場への定着を図っている段階とのことですが、業務が効率化された結果、スタッフが入居者とのふれあいの時間を増やせるようにもなってきたそうです。これこそが何よりの効果。今後もそうした時間を増やすべく、ICT化を進めていく方針です。佐々木氏は「iPadとノートPCは部署ごとに段階的に使い始めていますが、まだ台数は足りていません。Wi-Fiは安定してつながっているので、今後、端末も数台ずつ増やしていくつもりです。また、スタッフが外出先からも各種情報にアクセスできるような環境も整えていきたいですね。」と今後の計画を話してくれました。

廊下やホールに11台の無線LANアクセスポイント
「WAPM-1266R」×11台を配置

「ほのぼのNEXT」にiPadからアクセスしている様子

●取材協力:リコージャパン株式会社・小林株式会社


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