創業140年以上の老舗旅館が全館Wi-Fi対応を実現。お客様のさらなる満足度向上に加えて、業務効率向上にも期待

銚子犬吠埼温泉 ぎょうけい館 様

ぎょうけい館 宿泊接客課支配人 小鷹宏氏

千葉県銚子市犬吠埼にある老舗旅館の「ぎょうけい館」では、2018年2月に27台の無線LANアクセスポイント「WAPM-1750D」および、ネットワーク管理ソフトウェア「WLS-ADT」を導入。かねてから宿泊客の要望が多かった、全館Wi-Fi対応を実現しました。館内のどこでも高速かつ安定したWi-Fi接続が可能になり、顧客満足度が向上したのはもちろん、今後は業務に活用することで、働き方改革と業務効率向上にも大きく貢献すると期待されています。

取材協力

日興通信株式会社

概要

名だたる文人たちが愛した140年以上もの歴史を紡ぐ老舗旅館

雄大な太平洋を望む感動のオーシャンビュー

名作「智恵子抄」が生まれた由緒正しき老舗旅館

創業140年以上という由緒正しき老舗旅館のぎょうけい館

千葉県銚子市犬吠埼の犬吠埼温泉街にあるぎょうけい館は、犬吠埼灯台が完成・点灯した明治7年(1874年)に創業し、以来140年以上もの長きにわたり伝統を受け継いでいる、由緒正しき老舗の旅館です。創業時より多くの文人・貴顕に愛されており、中でも彫刻家・詩人の高村光太郎と長沼智恵子が大正元年(1912年)に偶然の再会を果たし、二人の深い愛を綴った詩集「智恵子抄」の執筆活動が行われた宿として有名です。さらに、尾崎紅葉や田山花袋などの名だたる文人たちに加えて、野口英世や伊藤博文、皇太子時代の嘉仁親王(大正天皇)と裕仁親王(昭和天皇)も来館されています。

太平洋を一望できるオーシャンビューと豪華な海鮮料理

雄大な太平洋を一望できる全室オーシャンビューの客室

ここまで多くの人々に愛され続けてきたぎょうけい館の魅力は、細部まで気配りが行き届いた「おもてなし」の心と、太平洋を一望できる絶好のロケーションにあります。素晴らしい景色が堪能できる全室オーシャンビューに加えて、太平洋にせり出した天然温泉の展望大浴場は、まるで眼前に広がる大海の中で湯浴みをしているかのよう。特に元日を含む年末年始は、初日の出参りのために予約が殺到するそうです。また、銚子港の厳選食材を使用した豪華な海鮮料理も宿泊客に大好評。朝食はダイニングルームで、夕食はよりゆっくりと、くつろぎながら味わえるようにと部屋食で提供しています。

今回、全館でWi-Fi環境を整備したことにより、館内のどこでも高速かつ安定したWi-Fi接続が可能になり、宿泊客の利便性向上を実現しました。

銚子犬吠埼温泉 ぎょうけい館

日本ビューホテル株式会社が運営するぎょうけい館は、明治7年(1874年)に創業以来、140年以上もの長きにわたり伝統を受け継いでいる由緒正しき老舗の旅館。客室数は33室、最大収容人員は130名。日本で一番早く日の出を見られる犬吠埼の中でも、太平洋を一望できる絶好のロケーションで、全室オーシャンビューと太平洋にせり出した展望大浴場から眺望は一見の価値あり。細部まで気配りが行き届いた「おもてなし」の心と、銚子港の厳選食材を使用した豪華な海鮮料理も、旅の想い出に花を添えてくれる。

所在地

〒288-0012 千葉県銚子市犬吠埼10293

電話

目標・課題

全館Wi-Fi対応を望む宿泊客の声が増加

実績と信頼感を重視した事業者選定

宿泊客からのニーズが高い全館Wi-Fi対応を検討

「口コミやアンケートなどで
全館Wi-Fi対応の要望が増えてきていた。」と小鷹氏

ぎょうけい館はこれまで、宿泊客が集まるロビーでのみWi-Fiを提供していました。実際にロビーでは、スマートフォンやタブレット、ノートPCなどを使ってインターネットやアプリを利用している宿泊客が多かったそうです。しかし、それも家庭用のWi-Fiルーター1台のみでロビー全体をカバーしていたため、旅館として提供するにあたり品質面での不安もあったといいます。

こうした従来のWi-Fi環境について、ぎょうけい館 宿泊接客課支配人の小鷹宏氏は「スマートフォンの普及が進むにつれて、口コミやお客様アンケートなどで全館Wi-Fi対応をご希望なさる声が徐々に増えてきました。実際のところ、最近は犬吠埼周辺のホテルや旅館でも全館Wi-Fi対応を済ませている施設が多くなっており、どちらかというと当館が出遅れてしまっている状態でした。」と語ります。

そうした中、千葉県が実施する「外国人観光客誘致のための公衆無線LAN環境整備費用補助金制度」が活用できるという後押しもあり、ぎょうけい館では2017年5月に全館Wi-Fi対応の検討を開始したのです。

事業者選定では実績と信頼感を重視

全館Wi-Fi対応を進めるにあたっては、まずネットワークの設計から施工までを安心して任せられる事業者選びからスタートしました。そこで複数の事業者に見積りを依頼したところ、日興通信株式会社(以下、日興通信)からの提案に大きな魅力を感じたそうです。

日興通信は、1947年の創業から約70年の長きにわたり、一貫して通信技術に取り組んできたシステムインテグレーターです。全国に32拠点を構え、情報システム導入時のコンサルティングから設計・開発、構築・導入、保守・運用サポートまでを、一貫したトータルソリューションとして提供しています。官庁・自治体や金融、医療・介護など要件のハードルが高い分野を含む豊富な実績に加えて、業種・業態の特性を捉え、課題や問題点をともに考えながら顧客ごとに最適な商品・ソリューションを提案するという姿勢に共感し、ぎょうけい館では2017年11月に、日興通信へ全館Wi-Fi対応の正式な依頼を行いました。

解決策

無線LANアクセスポイントの設置方法にも配慮

宿泊客に満足していただける品質向上機能を重視した機器選定

「PoE」での施工で見た目のシンプルさと短期間での施工を実現

導入商品

11ac/n/a & 11n/g/b同時使用
法人様向け
無線LANアクセスポイント

ネットワーク管理ソフトウェア

由緒ある老舗旅館のイメージを損なわない設置方法

日興通信の本嶋氏は、施工にあたっては
老舗旅館のイメージと宿泊客のくつろぎを優先したと語る

ぎょうけい館からの依頼を受けて、日興通信では館内の電波環境調査を実施しました。3階建ての館内には33の客室があり、最大収容人員は130名。電波環境の調査結果も踏まえて、全館Wi-Fi対応を実現するために必要な無線LANアクセスポイントの機種選定と台数、設置場所などを決定していきました。

日興通信 東関東ブロック 鹿島支店 営業部 営業課長の本嶋豊氏は、「宿泊客が集まるロビーに加えて、各階の廊下に1台あたり3、4部屋をカバーするような無線LANアクセスポイントの配置がベストと考えました。また、当初は無線LANアクセスポイントを保護ボックスに格納・設置する予定でしたが、由緒ある老舗旅館のイメージを損なわないこと、くつろぎの時間をご提供するという旅館の特性などを考慮し、十分なエリアをカバーしつつも、できるだけ目立たない天井部分に配置することにしたのです。」と語ります。

品質向上のための機能群が決め手に

無線LANアクセスポイントの機種については、バッファローの「WAPM-1750D」を選択しました。この理由としては、快適なアクセスを提供する高速Wi-Fi規格「IEEE 802.11ac」対応に加えて、宿泊客が所有する多種多様なモバイル機器をカバーできる5GHz帯および2.4GHz帯の各Wi-Fi規格への対応や、Wi-Fi以外の機器から出るノイズを自動で検知・回避する「干渉波自動回避機能」、多数のデバイスで同時に動画を再生しても遅延が生じにくい「公平通信制御機能」といった機能群が支える、商品1台に対して45台のクライアントによる動画同時再生も可能なキャパシティーなど、宿泊客がWi-Fiを快適に使える性能が決め手になったそうです。

「お客様が多様な機器を持ち込まれるこうした宿泊施設では、『公平通信制御機能』などがあると安定した通信が可能になります。その点を深くご理解いただき、『WAPM-1750D』が採用されました。」(本嶋氏)

さらに日興通信では、万が一Wi-Fiが不通になるなどトラブル発生が発生した際にも、日興通信側で迅速に原因の究明と復旧が行えるよう、ネットワーク管理ソフトウェア「WLS-ADT」による一元管理体制も構築しました。また、「WAPM-1750D」は災害発生時に共通SSIDを指定するだけで、パスワードがなくても通信が可能になる「緊急時モード」を備えており、「WLS-ADT」のインターフェース上から複数のアクセスポイントを「緊急時モード」へ一括で切り替えられるという点も、宿泊客および周辺住民への配慮として重視したそうです。

各階の廊下に設置された「WAPM-1750D」は、1台あたり3、4部屋をカバー

施工期間は宿泊客に迷惑がかからないよう配慮

こうしてぎょうけい館では、27台の無線LANアクセスポイント「WAPM-1750D」および、ネットワーク管理ソフトウェア「WLS-ADT」の導入を決定。繁忙期である年末年始を避け、2018年1月から実施された全館Wi-Fi対応のための施工は、営業しながら進めたにもかかわらず、約1ヶ月で済んだといいます。

「学校や企業の場合は休日にまとめて施工することが多いのですが、ぎょうけい館様のような宿泊施設では工事期間中もお客様が宿泊されていらっしゃいます。そこでお客様のご迷惑にならないよう、1日あたり最小限の時間で施工を行いました。1本のLANケーブルでデータ信号と電力供給を行うことができる「PoE」(Power over Ethernet)を活用したのも、配線がシンプルになり館内のイメージを損なわないだけでなく電気工事など大掛かりな施工は不要となり、営業しながら短期間で施工を完了できたポイントのひとつです。」(本嶋氏)

銚子犬吠埼温泉 ぎょうけい館のネットワーク構成図

効果

全館Wi-Fi対応で宿泊客から寄せられる満足の声

今後はWi-Fiを使った業務効率向上の取り組みも検討

リピーターからも喜びの声が多数

こうして2018年1月に、全館Wi-Fi対応を実現したぎょうけい館。全室から雄大な太平洋を一望できるオーシャンビューや、味覚だけでなく視覚までも楽しませてくれる豪華な海鮮料理、さらには老舗旅館ならではの美麗かつ趣がある装飾など、ぎょうけい館に宿泊すると思わず写真を撮りたくなる瞬間が幾度となく訪れます。そんな時も、スマートフォンのデータ通信量を気にすることなく、Wi-Fiを利用してどこからでもSNSなどへ手軽に写真を投稿できる環境が整ったのです。

小鷹氏も「全館Wi-Fi対応となり、リピーターのお客様からは『客室でもWi-Fiが使えて嬉しい』『通信が途切れなくて快適』といった喜びの声を数多く頂戴しております。施工から現在まで、接続が途切れるなどWi-Fi関連のトラブルは一度も発生しておらず、安定性や品質の面でも満足です。また、補助金制度への応募に必要となる、設計図面や事業計画書などの提出書類についても、日興通信が作成に協力してくれたので大変助かりました。」と語ります。

ロビーエリアをカバーする「WAPM-1750D」。リピーターから喜びの声も数多く聞かれるそうだ

全館Wi-Fi対応で業務効率の向上にも期待

さらに、今回実施した全館Wi-Fi対応は宿泊客の満足度を向上させるだけでなく、今後の働き方改革と業務効率向上にも大きく貢献する期待が持たれています。「WAPM-1750D」に搭載された、SSIDとパスワードを複数設定できる「マルチSSID」機能を活用することで、宿泊客用Wi-Fiとネットワークを分離した業務用Wi-Fiを将来的に構築できる余地が残されており、小鷹氏はICT活用による業務効率化の可能性に期待を寄せています。

「以前のロビーのみでWi-Fi対応していた頃には考えられませんでしたが、将来的には各スタッフにタブレットを持たせてフロントからの指示を伝えたり、客室清掃の終了情報をアプリ経由で共有したりと、さまざまな活用方法が期待できます。業務の面でも全館Wi-Fi対応のメリットを活かして、よりお客様に満足していただけるサービスをご提供していきたいですね。」と、小鷹氏は笑顔で語ってくれました。


取材後記

全室オーシャンビューの客室から望む雄大な太平洋は、まさに感動の一言。時間を忘れて思わず見とれてしまう、そんな魅力があります。そして館内には著名人の書画などが数多く飾られており、創業から140年という歴史の重みを感じることができるのも、由緒正しき老舗旅館ならではといえるでしょう。今回の全館Wi-Fi対応によって、さらに快適さを増したぎょうけい館。みなさんもぜひ一度訪れてみてください。


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