EPISODE. 5

メルショップ閉店

〜それでもこだわっていた創業時の思い〜

その後戸田は、メルコでの仕事を大学の後輩・鳥山裕史にバトンタッチする。その鳥山から誠は、当時ちょうど流行りだしたパソコンを教わり猛勉強をはじめ、今のバッファローの礎を築くことになる。もっとも、廣美夫人が育児に入ったことで、自ら経理をする必要に迫られたという事情もあったようだが。

メルショップも、オーディオが斜陽になったことを受けてスピーカー売場を減らし、横で5インチのフロッピーディスクを販売するように。やがてその売り上げもなくなり、閉店に至る。

「すぐパソコンの方に切り替えてもよかったのに、誠はこだわっていました。最初ここでお世話になったというのがあったのかな」(廣美夫人)

誠は当時の心境を、「世の中の満足にいかに合わせていくかを徹底して追い求めた結果」と振り返っている。

「横道にそれてばかりでした。好きなことを思ったとおりにできたことはありません。世の中の流れ、お客さんの嗜好に合わせれば成功できる、自分がやりたいと思っていることよりも、世の中に合わせる方が大事だと気づけた」

この一件が、今に至る「競合に先駆けて最初に普及価格帯で商品を提供し圧倒的なシェアの獲得」をする原動力に繋がった。

「誠は技術系だけれど、完璧なモノができるまで待っていたら負けてしまう、お客さんにいかにスピーディーに対応するかを常に考えていました」

廣美夫人はそう語り、「1000年企業」のキャッチフレーズについて「75年創業だからまもなく50周年。今思うと主人(誠)は、続けていくことに執着したのだろうな」と振り返る。

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