計画的避難区域の指定で役場機能を移転。その移転先の2拠点間を無線LANでつないでネットワークを構築。

福島県飯舘村役場 様

右より、飯舘村役場総務課企画係主査 松下義光氏、(株)福島県中央計算センター経営企画営業マネージャー 後藤学臣氏

東日本大震災の直接的な被害はほとんどなかった飯舘村ですが、福島原発による放射能の影響では政府から計画的避難区域に指定され、1ヶ月以内を目安として全住民が避難しなければならない事態に陥りました。現在では大部分の住民の方が福島市などへ避難し、役場機能も同市飯野町に移転しています。

取材協力

株式会社福島県中央計算センター様

概要

村の約75%が山林という自然豊かな高原の村。

までいな家を拠点に、「までいライフ宣言」を発信。

福島原発の事故により計画的避難区域に指定。

飯舘村についてお聞かせください

福島県は「浜通り」「中通り」「会津」の3つの地域に区分されるのですが、その浜通りにあります。阿武隈山系の北側に位置していることもあって、村の約75%が山林に覆われており、自然豊かな高原の村として知られています。農業を営みながら会社や工場に勤務される兼業農家の方が主体ですが、ブランド牛「飯舘牛」に代表される畜産業も盛んです。

までいライフ宣言というのを出されていますね

「までい」は「真手」と書き、私たちの村の言葉で「手間隙を惜しまず」「丁寧に」「心を込めて」「時間をかけて」といった意味を持っています。そういった心がけで自分たちの暮らしを変え、支えていこうというメッセージを込めて「までいライフ宣言」というのを発信したわけです。いわば飯舘村流スローライフで、その拠点が「までいな家」でした。

しかし、福島原発の事故がすべてを変えてしまいました

地震による直接的な被害はほとんどなかったのですが、福島原発事故による放射能の影響により5月15日、政府の計画的避難区域に指定され、全住民が避難を余儀なくされました。現在、隣接する福島市へ4000人以上が避難しており、役場機能も福島市飯野町に移転しています。飯舘村では住民の暮らしはもちろん、農業や畜産も停止状態です。

飯舘村役場

飯舘村は、阿武隈山系北部の高原に位置し、総面積230.13キロ平方メートルの約75%を山林が占めた地形は比較的なだらかで、北に真野川、中央に新田川と飯樋川、南部に比曽川が流れその流域に耕地が開かれ集落があります。現在は福島市飯野支所内に主な役場機能を移転し住民サービスを行なっています。
(写真は飯舘村役場飯野出張所)

所在地

福島県飯舘村役場 〒960-1892 福島県相馬郡飯舘村伊丹沢字伊丹沢580-1

電話

0244-42-1611(代表)

FAX

0244-42-1601

出張所

飯舘村役場飯野出張所 〒963-1301 福島県福島市飯野町字後川10番地の2

電話

024-562-4200(代表)

FAX

024-562-2466

目標・課題

福島市飯野町の旧庁舎に飯舘村の役場機能を移転。

外郭団体は旧庁舎そばの施設「いいの交流館」に移転。

移転先の2つの拠点をつなぐネットワークを検討。

役場機能も避難しなければならなかったわけですね

ほとんどの住民の方が避難されるわけですから、避難先の住民に行政サービスを行おうとすれば、役場機能も移転しなければなりません。そこで、飯舘村に近い福島市飯野町への移転を決め、6月22日からそこで業務を開始しました。旧飯野町の役場庁舎が福島市の飯野支所になっていて、その約半分を借りて飯舘村役場飯野出張所としました。そして、周辺に避難先や仮設住宅を確保し、住民の方に避難していただきました。

スペース的には十分だったのですか

避難や生活不安等の総合窓口を設けるため、別のスペースをお借りしました。それが道を挟んで反対側に建つ「いいの交流館」と呼ばれる施設で、最終的には社会福祉協議会とJAそうま、東京電力の出張所がここに移転しました。飯舘村にある庁舎にも数人の職員がローテーションで詰めていますから、計3ヶ所での行政サービスということになります。

拠点間のネットワークはどうされたのですか

支所に福島市のネットワークは来ていますが、それを使うことはできないので、飯舘村の庁舎と飯野出張所の間はNTTさんの専用線でつなぐことにしました。問題は出張所といいの交流館の間の通信ですが、福島県中央計算センターさんとは「ここも専用線を引くしかないかな」という話はしていました。ただ、外郭団体は役場のシステムをフルに使うわけではありませんから、専用線はもったいないなという思いはありました。

解決策

バッファローから福島県中央計算センターへの働きかけ。

出張所といいの交流館の間を無線LANでネットワーク化。

飯舘村はすでに無線LANを経験。導入に抵抗なし。

導入商品

エアステーション プロ
11n対応 11a&g&b
無線LANアクセスポイント

エアステーション プロ
5.6GHz/2.4GHz無線LAN
屋外遠距離通信用 平面型アンテナ

どういう経緯で無線になったのですか

もったいないけど専用線を引くしかないと考えていた、ちょうどそのときに福島県中央計算センターの後藤さんが耳寄りな話を持ってこられたわけです。バッファローさんが自治体向けに無線LANの構築を支援しているので、それを利用してはどうかというのです。機器提供も工事も無償でやっていただけるという。これほどありがたい話はないので、その場でお願いしました。

すぐに工事でき、出張所開設に間に合ったようですね

確か6月6日に下見に来られて、これなら大丈夫というので6月16日に工事をしてもらい、テストも完了して、すぐに引き渡していただきました。出張所側は村長室にアンテナを立てるしかなかったので、カーテンのせいで通信状態が悪くなるのではないかと心配しましたが、影響はないとのことで予定通りの構成にできました。

無線に対する不安はありませんでしたか

それはありませんでした。実は2年ほど前、飯舘村の庁舎敷地内で無線LANを導入していたのです。本庁舎と、先ほど話の出た「までいな家」、社会福祉協議会、そして「ほんの森」という村の本屋の4ヶ所を無線LANでつないでいました。その経験があったし、通信速度もさらに速くなっていると聞いたので、不安はありませんでした。

効果

専用線にかかるコストを削減。ストレスのない通信環境を実現。

間借りという状況の中でポール式の無線LANアンテナは効果的。

飯舘村に戻るときは、無線LAN機器の新たな利用法を模索。

実際にお使いいただいてどうでしょうか

いいの交流館では社会福祉協議会の職員しか使っていないようですが、問題は発生していませんし、不満の声も上がってきていません。何より専用線を引かなくてすんだというのは大きなメリットになっています。中核となるネットワークはともかく、外郭団体との間のネットワークなどでは、専用線にかかるコストを考えれば、無線LANで十分ではないでしょうか。

間借りだと専用線を引きづらいこともあるのでは

建物に影響を与えるような工事は避けたかったし、いずれ帰村することを考えれば、大きな投資もしにくい。こうしたことを考えれば、無線LANでつなぐというのはベストの選択だったと思います。バッファローさんの工事の際、ひょっとして建物に穴を開けるんじゃないだろうかと心配しましたが、使ったのはポール。心配は完全に杞憂でした。

今後についてお聞かせください

とにかく計画的避難区域の指定が解除されないとなんともなりません。たとえ解除されても土地が十分に除染されないと農業も畜産も再開できないでしょう。依然として先を見通せないのが現状なのです。ただ、解除されれば役場としての機能はすぐに果たせます。その際、無線LANの良さは十分に理解できたので、こちらで使っていた無線LAN機器は飯舘村に戻ってからもどこかで使いたいと考えています。


取材後記

計画的避難区域に指定されたことで苦難を強いられる飯舘村の住民の方々。その方々を支援すべく、飯舘村では役場機能を福島市に移転されたのですが、そうした避難先での、いわば間借り状態でのネットワーク構築で無線LANがお役に立った例です。こうした提案をしてくれたのはバッファローだけだった、ありがたかったとの声をいただいています。


※商品の利用方法に関してはサポートセンターにお問合せください。

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