町のイントラネット網と総務省の補助金を活用し、防災インフラを兼ねる公衆Wi-Fiサービスを構築。台風の際に外部と連絡が取れなくなる問題を解決

鹿児島県和泊町様

 鹿児島県沖永良部島の和泊町では、災害時の指定避難所となっている公園、公民館、学校、役場など町内33か所の公共施設に公衆Wi-Fiサービスを導入し、平成29年4月から運用を開始。台風被害によるモバイル回線不通時でも、住民が避難所でスマートフォンを利用できる環境を整えました。さらに、平成31年3月には、通信キャリアのサービスが受けづらいワンジョ公園でも、公衆Wi-Fiサービスの提供を開始。海水浴やバーベキューなどを楽しむ地元住民、観光客の利便性、快適性を高め、町の魅力向上に役立てています。

概要

鹿児島市から約540kmに位置する沖永良部島

町の事業として光イントラネット回線を構築

琉球文化を色濃く残す、魅力あふれる花のまち

 鹿児島県和泊町は、鹿児島市から南南西へ約540km、古くは琉球国に属し、現在も琉球文化が色濃く残る沖永良部島の町です。島全体が隆起サンゴ礁でできているため、海岸の多くが独特のカルスト地形をしており、「フーチャ」と呼ばれる潮吹き洞窟が人気の観光スポットとなっています。他にも日本一のガジュマルの木やソテツジャングルなど、この島ならではの様々な風景が見られます。
 産業の中心は農業。ユリ、スプレーマム、グラジオラスなど花きの生産が盛んで、空港にも「えらぶゆりの島空港」という愛称が付けられています。他にもじゃがいも、石川さといも、サトウキビ、マンゴー、キクラゲ、コーヒーなど、島ならではの様々な農作物が生産されています。子牛を飼育する畜産業、黒糖焼酎や黒糖菓子などの加工業、水産業などにも力を入れています。

台風に強い情報インフラとして地域イントラネットを整備

 和泊町には平成8年度に開局したケーブルテレビがあり、それが同軸ケーブルを使用した設備であったため、アナログ放送から地上デジタル放送への切り替えに際して設備の更新が必要となりました。和泊町のある沖永良部島は台風の通り道であるということから、台風に強い光ファイバーを使用したFTTH方式への切り替えを決定。平成20~21年度に町内全域に光ファイバー網を整備し、これを通じてケーブルテレビ放送とインターネット通信サービスを提供しています。2019年現在、住民の9割以上がケーブルテレビ放送を、3割以上がインターネット通信サービスを利用しています。

鹿児島県和泊町

 沖永良部島の東部約半分を町域とする、総面積約40.39km²、人口6,551人の町(令和元年10月現在)。「町民が輝き、活力と潤いと魅力あふれる花のまち」を目指し、花き園芸を中心に、生産性の高い農業に取り組んでいる。また、かつてこの地に滞在した西郷隆盛の教え「敬天愛人」の理念を受け継ぐ町民性により、人情味あふれる町としても知られている。公衆Wi-Fi整備を担当した企画課は、総合振興計画、過疎地域自立促進計画などの企画調整、商工観光、雇用、定住促進、ふるさと納税、統計、広報から、消費者行政・法律の相談、補助金、公園管理、自然環境保護まで、和泊町の振興・活性化のための幅広い取り組みを推進。また、有線テレビ事業を通じて、ケーブルテレビ、インターネットなどの情報サービスも担っている。

役場

〒891-9192

鹿児島県大島郡和泊町和泊10

電話

0997-92-1111(代表)

目標・課題

町内33か所の防災施設に公衆Wi-Fiを導入

モバイル回線が届かない屋外施設にも公衆Wi-Fiを整備

災害時に避難施設で利用できる通信設備を

和泊町 企画課 主査 上別府 立(びゅう たつる)氏

 「しかしスマートフォンなどの通信に使われるモバイル回線は地域イントラネット網による提供ではないため、災害時に回線が切れてしまうことも。これでは避難施設から外部へ連絡をとる手段がなくなってしまいます。そこで地域イントラネット網を活用し防災施設へ公衆Wi-Fiを整備することになりました。対象施設は、指定避難場所になっている公園、公民館、学校、役場など町内33か所の公共施設。これらの施設には既に地域イントラネット網がつながっていましたので導入は容易でした。導入にかかる費用は、総務省の公衆無線LAN環境整備支援事業を活用し、町の負担を抑えることができました。」
と、公衆Wi-Fi整備を担当した和泊町 企画課 主査 上別府 立(びゅう たつる)氏は経緯を説明します。「その後、キャンプやバーベキューを楽しむ事ができる屋外施設『ワンジョ公園』にも公衆Wi-Fiを追加導入しました。町民にも観光客にも人気の場所ですが、通信キャリアのサービスを受けづらいエリアでしたので、この点を解消し利便性を高めることが、公園の魅力、町の魅力発信の促進につながるのではと期待しました。」(上別府氏)

解決策

公衆Wi-Fiサービス「FREESPOT」を活用

災害時には避難施設の公衆Wi-Fiを防災Wi-Fiへ一斉切り替え可能

導入商品

管理者機能搭載
フリースポット導入キット

11ac/n/a & 11n/g/b
法人向け無線LANアクセスポイント

11ac/n/a & 11n/g/b
防塵・防水耐環境性能
法人向け無線LANアクセスポイント

11ac/n/a & 11n/g/b
法人向け無線LANアクセスポイント

PoEスイッチ

フリースポット導入キット

ネットワーク管理ソフトウェア

FREESPOTの活用でランニングコストを抑え、手軽に利用できる公衆Wi-Fiサービスを提供

 「導入機器は、競争入札によって決定しました。入札要件は、公衆無線LAN環境整備支援事業の要件であるアクセスログを保存できること、屋外に設置する機器は塩害に強く十分な耐環境性を保持していること、認証ゲートウェイ機器が役場内に設置できること。結果、バッファローのフリースポット導入キット『FS-R600DHP』と無線LANアクセスポイント『WAPM-2133TR』『WAPM-1266R』『WAPM-1266WDPR』を使ったプランの採用に至りました。FREESPOTは簡単な利用者認証だけで誰でも無料で利用できますし、FREESPOTサービス提供者にも月額費用などは発生せずランニングコストが抑えられます。また災害時にはネットワーク管理ソフトウェア『WLS-ADT』で、各施設の公衆Wi-Fiを利用者認証不要で通信できる防災Wi-Fiに一斉切り替えできることも採用のポイントでした。」と上別府氏は話します。

 「ワンジョ公園への公衆WI-Fi導入にあたっては、まず公園の管理棟へのイントラネット引き込みを行い、そこへ『FS-M1266』を設置。屋外用無線L A N アクセスポイントとして『WAPM-1266WDPR』を軒下に設置し、公園からビーチまで広範囲に公衆Wi-Fiが利用できる環境を構築しました。」(上別府氏)

和泊町公衆Wi-Fiのネットワーク構成図。地域イントラネット網の活用により、1台の「FS-R600DHP」で33か所の施設への公衆Wi-Fi導入を実現。平時の利用者が多いワンジョ公園には別途「FS-R600DHP」の後継商品「FS-M1266」を使用。ワンジョ公園の機器はPoEスイッチ「BS-GU2008P」で給電している。

「和泊町防災拠点施設 やすらぎ館」のロビーに設置された「WAPM-2133TR」。
災害時に避難場所となる広い講堂まで、この1台で電波が行き渡る。

効果

平成30年10月の台風時に緊急時モードを活用

初年度アクセス数42万件、利用端末は15,000台を記録

災害時に活用された避難所のWi-Fi

 「平成30年10月に台風被害に見舞われた時に、初めて、各施設の無線LANアクセスポイントを緊急時モードに切り替えました。台風の中、現地に出向く必要がなく、役場から『WLS-ADT』で切り替えができたのは非常に便利でした。避難住民が多く集まった防災拠点施設『やすらぎ館』で大きくアクセス数が増えたことから、災害対策としても効果があったと考えています。この施設には非常用発電機が設置されており、停電時でもWi-Fiが利用できるようになっています。」と語る上別府氏。

イベントの準備などにもWi-Fiを活用

 公衆Wi-Fiサービスの開始は、各区長による広報の他、地元の新聞でも取り上げられ、町民に利用されています。FREESPOTの利用記録によると、運用初年度のアクセス数は約42万件。接続端末台数は15,000台を超えました。
 「公民館に集まって会議をする時にパソコンやタブレットを使用したり、イベント前の踊りの練習でお手本の動画を見たりと、町民の皆さんがそれぞれに有効活用されているようです。ジョギング大会の時には、スタート・ゴール地点になった笠石海浜公園で大きく利用者数が伸びました。災害時以外にも多くの方に利用いただき、思っていた以上にWi-Fiが必要とされていたのだなと、その効果を実感しています。15,000台という利用端末台数も興味深い数字ですね。和泊町は人口が約6,500人、沖永良部島全体の人口が約12,000人ですから、島外の方にもかなりの頻度で利用されているということがわかりました。」(上別府氏)
 「今後は県の管轄である空港や港などにも公衆Wi-Fiを設置するべく、調整をしていきたいと考えています。島を訪れた方が手軽にSNSを利用できる環境を整えることで、町の情報を発信していただき、観光客や移住者が増えるきっかけにしていきたいと思います。」(上別府氏)

国頭小学校では、屋内に設置した「WAPM-1266R」に、屋外用アンテナ「WLE-HG-DA/AG」を接続。
アンテナは専用同軸ケーブル「WLE-CCシリーズ」で屋外の防護ボックス内へ引き出している。

ワンジョ公園には、認証ゲートウェイ機器として「FS-M1266」を、屋外用無線LANアクセスポイントとして「WAPM-1266WDPR」を設置した。キャリア通信が届きにくいため、遊びに来た住民、観光客のスマートフォンを利用しづらかった問題を解決した。

●取材協力:NECネッツエスアイ株式会社


※商品の利用方法に関してはサポートセンターにお問合せください。

その他の導入事例