研究データの動画化で逼迫するストレージ環境。Active Directoryによるアクセス権限管理に対応した「テラステーション」でサーバーからのリプレースを低コストで実現
東京女子医科大学 先端生命医科学研究所様
先端医療の研究を行う東京女子医科大学 先端生命医科学研究所、通称「TWIns」。動画を扱うことも増えた研究・実験データの大容量化に伴い、従来運用していたファイルサーバーのストレージが逼迫する事態に。高額なサーバーを再度購入するのではなく、Active Directoryに対応するバッファローの法人向けNAS「テラステーション TS5010シリーズ」へのリプレースで、ストレージ容量を20TBから40TBに倍増しつつも、大幅なコスト削減を実現。従来のサーバーと変わらぬアクセス制限管理を維持しながらも、RAID 6およびバックアップ構成による耐障害性に優れた共有ファイルサーバー環境を構築しました。
概要
先端医療の研究を進める医理工薬・産学融合融合研究教育施設
動画を扱うことも増えた研究データでストレージが逼迫
「細胞シート工学による再生医療」「医療環境支援システム」2つの主軸から研究を展開
データ急増に対応すべく、48TBの法人向けNASを2台導入
東京女子医科大学 先端生命医科学研究所
東京女子医科大学 先端生命医科学研究所の歴史は長く、2019年に創設50周年を迎えました。1989年に温度応答性細胞培養基材を発明して以降、生体組織に生着させて再生させる細胞シートなどを研究・実験しています。2008年に早稲田大学と共同で、医工連携研究教育拠点(通称「TWIns」)をオープン。企業や研究機関との共同研究を推進する「メディカル・イノベーションラボラトリー」も設置し、研究者と医師、企業が日々活動。
所在地
〒162-8666
東京都新宿区河田町8-1 TWIns内
目標・課題
容量を増やしつつ、低コストなファイルサーバーを模索
Active Directory連動によるアクセス権限設定は継続したい
「研究の不正」を防ぐため、データを一元管理
以前のシステムでは、保守の期限切れ以外に容量逼迫も課題となっていました。TWIns 助教の菊地 鉄太郎博士(以下、菊地博士)は「研究・実験に動画・画像など大容量データを扱うことが増え、ストレージの必要量は増えていました。加えて、いわゆる“研究の不正問題”を受けてデータの管理を個人に任せっきりにせず、半期に一回すべてのデータを回収、一元管理するようにしたのです。このため、20TBあったストレージ容量が逼迫。現在の倍量の40TB以上は必要な状況となっていました。」と語ります。また、万が一HDDが故障してもデータを失わない耐障害性、操作ミスによるデータ削除を防ぐバックアップなども、当然考えなければなりません。
既存のアクセス制限がそのまま使えるかを重視
当初、従来と同じPCベースのストレージサーバーへのリプレースを検討していたそうですが「元のサーバーは我々が必要とするより少々オーバースペックで、コストも大きなものでした。費用対効果を最適化するべく、情報システム部門を通じて新規調達をお願いしたのです。」と菊地博士。特に「以前から利用していたActive Directoryによるフォルダーのアクセス権限設定がシステム更改後も問題なく使えるかを重視し、根本的な構成から見直すことにしました。」と語ります。
解決策
必要条件を満たすバッファローの「TS5010シリーズ」を採用
RAID 6とバックアップの2台構成でデータを保護
導入商品
耐障害性に優れた48TBの2Uラックマウント型NAS
検討の結果、2019年11月にバッファローの法人向けNAS「TS51210RH4812(48TB搭載モデル)」を導入。これは2Uラックマウント型の筐体に、最大12個のHDDを搭載できる製品です。オーバースペックだった以前のシステムと比べ、より低価格で大容量を実現できる点が、選定の大きな理由となりました。また、Active Directoryにも対応し、以前のシステムで利用していたアクセス制限機能をそのまま利用できる点も選定ポイントの1つだったと菊地博士は語ります。
重要な研究データを保護するためにRAID 6は必須
さらにもう1台を、データの操作履歴も含めて保存できるバックアップ機として運用しています。「重要な研究データを保護するためにRAID 6は必須でしたが、利用者の操作ミスによってデータが消失することが多々ありました。それを防ぐために、定期バックアップを取り、操作履歴も含めて記録。誤ってデータを削除したときは、操作以前にロールバックできるようにしました。」(菊地博士)。また、本体やHDDの故障を減らすための「冗長化電源」、電源ONのままHDD交換できる「ホットスワップ」などに対応するため、本体の耐障害性も高められます。さらに、バックアップを効率化するため、2台のNAS間を10GbEで接続。旧モデルでは10時間近くかかるバックアップが約2時間で完了するので、時間の短縮も実現しました。TWIns關屋 友博係長(以下、關屋係長)は「これら必要な要件を叶えつつ、コストを抑えるためには、NASが最適でした。」と語ります。
効果
ストレージ容量は20TBから40TBに、「変わらぬ使用感」も評価
「RAID 6」「バックアップ」「HDD返却不要の保守」でデータ保護
ストレージ容量は倍増、コストは1/3に
「最も懸念していたActive Directoryによるアクセス制御は問題なく行えてホッとしています。」と菊地博士。共有ファイルサーバーのようなインフラ構成要素を入れ替える際には、ユーザーが気づかないくらい自然に入れ替えが終わることが理想ですが、まさにその「変わらぬ使用感」が評価点となっているとのことでした。
RAID 6と操作履歴を含むバックアップで耐障害性を実現
データ保護の観点では、RAID 6構成によりHDDが同時に2台故障してもデータを失わない耐障害性を実現。さらにもう1台のバックアップ機に、操作履歴も含めてデータをバックアップすることで、データの可用性を高めています。
「以前はシャドウコピーしか取っていませんでした。」と菊地博士。シャドウコピーは復元ポイントを作成し、データをうっかり削除してしまった場合に、その時点まで巻き戻す機能。復元ポイントの数が一定数に達すると古いものから自動消去されるため、完全なバックアップとして機能するわけではないため、「バックアップ機を構築し、操作履歴に基づいてデータをロールバックできる環境となり、PCの操作ミスによるデータの削除に対して迅速にファイル復元できるようになりました。」と語っています。
また、運用保守においては、HDD返却不要のオンサイト保守を契約。万が一HDDが故障した際に、研究データが入ったままの故障HDDを施設外に持ち出さずに済みます。菊地博士は「研究所としては当然、研究データが外部に漏れるということはあってはいけないこと。テラステーションはオプションの保守契約でHDD返却不要で修理対応頂けるので安心して運用できます。」と説明。「これまではファイルサーバーの残容量を気にしてローカル保存を主としている学生や研究員もいましたが、テラステーションへのリプレースにより共有ファイルサーバーが大容量になったことで残容量を気にせず利用してもらいたいですね」と話してくれました。