無料Wi-Fi提供で地下でもネットが使えるお店に。ネット回線を切り分けクラウドPOSレジの共存を実現するセキュリティー機能「ポートVLAN」の意外な活用法
「矢場町ボクモ」 様
名古屋市中区の飲食店「矢場町ボクモ」(以下、ボクモ)は来店者向けのWi-Fi提供を検討、バッファローのフリースポット導入キット「FS-600DHP」などの導入でそれを実現しました。さらに、VPNルーター「VR-S1000」のポートVLAN機能の利用で、インターネット回線を追加することなくクラウド型POSシステム「スマレジ」を利用する業務ネットワークに干渉しない無料Wi-Fiの提供を実現しています。
概要
選りすぐりのワインが自慢。リピーター多数の人気店
音楽、トークなど多くの店内イベントを開催
店舗運営にクラウドPOSレジや「おもいでばこサイネージ」が活躍
地下に佇む、大人の隠れ家
名古屋市営地下鉄矢場町駅より徒歩約3分、大きな「ボ」という文字の看板が出迎えるビルの階段を下りた地下1階に「ボクモ」はあります。産地直送野菜を使ったサラダや、牛ほほ肉の赤ワイン煮込み、シェパーズパイなどバラエティーに富んだフードメニューは60種類以上。ソムリエの資格を持つ同店店長の岩須 直紀 氏(以下、岩須店長)がセレクトしたこだわりのワインを中心に、毎日のように通う常連客をも飽きないほど数多くの酒類を取り揃えます。
年間100近くの店内イベントを開催する『文化系飲食店』
また、『文化系飲食店』の名を持つ同店では、音楽ライブやトークイベントをはじめ、大学や研究機関主催の学術イベントなど年間100件近くのイベントを実施。日々多くの来店者で賑わっています。過去イベントの様子は、以前より導入しているバッファローの「おもいでばこサイネージ」を活用して店内の大型テレビに映し出され、来店者の話題を誘います。
※ボクモの「おもいでばこサイネージ」活用について
詳しくはこちら
おもいでばこブログ:「このイベント私も参加したい!」
スタッフとお客様を写真でつなぐ~「おもいでばこ」のあるお店
ボクモの開催イベントは、写真・動画のSNS配信は基本自由。イベント集客のためにはSNSによる情報拡散はかかせないと感じているため、来店者へ自由なSNS投稿を呼びかけていますが、店舗がビルの地下階にあるため一部キャリアのモバイル回線が届きにくいという問題を抱えていました。そのため無料Wi-Fiの提供を検討していましたが、クラウドPOSレジ「スマレジ」を導入している同店ではスマレジ用のWi-Fiを来店者に提供するわけにもいかず困っていたといいます。
クラウドPOSレジで使用するWi-Fiの提供は不安
「スマレジ」は、スタッフがiPhone・iPod touchなどのモバイル端末で注文を受け、会計も行えるクラウド型のPOSシステム。リアルタイムで売上を確認できたり、商品管理や顧客管理といったバックヤード業務なども行えたりと飲食店経営に嬉しい機能を多数備えたPOSシステムです。Wi-Fiを含む店内のネットワークには、キャッシュドロアーにつながったPOSレジ用のiPadやネットワーク対応レシートプリンターなどの業務用機器がつながっているため、Wi-Fiを来店者に提供することができなかったのです。
矢場町ボクモ
ちょい飲みからしっかりお食事、さらに音楽や学術イベントも楽しめる、さまざまなシーンで利用できる隠れ家のような雰囲気を持つ『文化系飲食店』。名物「れんちカツ」(れんこん入り鶏ミンチカツ)などの創作メニューも豊富。
解決策
業務ネットワークと無料Wi-Fiの両立を模索
無料Wi-Fi追加のために「ポートVLAN機能」を活用
導入商品
常連バッファロー社員からの提案
バッファロー本社のある名古屋市大須に程近いボクモの常連客にはバッファロー社員も多数。その中の一人が岩須店長に、「スマレジ」のネットワークはそのまま、インターネット回線の追加契約は不要で無料Wi-Fiが追加できる方法を提案。それは、VPNルーター「VR-S1000」の持つ「ポートVLAN機能」を使ってインターネット回線を2つに分岐し、一方へ別のWi-Fi機器を追加してそれを無料Wi-Fiとして提供する方法でした。「ポートVLAN機能」は本来、オフィス内で個人情報を取り扱う部署などのネットワークを切り分けて、他部署からのアクセスを遮断する場合などに利用するセキュリティー機能です。手ごろな価格でありながらその「ポートVLAN機能」を持つ「VR-S1000」を使って、「スマレジ」用回線から無料Wi-Fi用の回線を切り分けようというわけです。その話を聞いた岩須店長は必要な機器の導入を即決、その翌週の2017年10月上旬に施工の運びとなりました。
効果
施工は3時間程度、通信速度も不安なし
イベントでの活用や新たな利用ニーズにも期待
セキュアな無料Wi-Fiを僅か3時間で施工、当日に運用開始
多くの来店者に提供する無料Wi-FiにはFREESPOT(フリースポット)導入キット「FS-600DHP」を使用、店舗規模に合わせて11ac対応Wi-Fiアクセスポイント「WAPM-1166D」を追加しました。「FS-600DHP」を経由することで無料Wi-Fi側だけにユーザー認証機能が付与され、セキュアな無料Wi-Fiを提供できます。
各機器は店内奥の音響機器スペースに設置され、「WAPM-1166D」は天井に取り付けられました。天井や壁面上部には電源コンセントはありませんでしたが「WAPM-1166D」はLANケーブルのみで受電できる「PoE(Power over Ethernet)」に対応しているため、配電工事など大掛かりな工事は必要なく取り付けできました。15時の施工開始からおよそ3時間、18時の開店時間までに各種設定を含めたすべての施工が完了。施工当日から無料Wi-Fiの提供を開始できました。
快適な無料Wi-Fiが常連客に好評
取材日から来店者は自由にインターネットを利用できるようになり、カウンター席では多数取り揃えたワインを楽しみながら、そのワインに纏わる話題を中心に豊富な知識を持つ岩須店長との話がはずんでいます。その際、話題探しにスマホでネット検索を利用する来店者もおり、取材日に話を伺った来店者からは「これでモバイル回線の残容量を気にする必要がなくなった」と喜びの声がありました。
前述のとおり1Gbpsの光インターネット1回線を2つに分岐しているため通信速度が気になるところでしたが、筆者が測定アプリで確認したところ下り100Mbps前後の速度が出ており、十分な速度が提供できていることが確認できました。
イベントでの活用や新たな利用ニーズにも期待
「これはイベントでも活用できそうですね」と満足げに話す岩須店長。さらに、新たな利用ニーズにも期待を寄せています。「Wi-Fiが提供できることで、食事ができるコワーキングスペースというような利用も可能になりますね。ノマドワーカーの皆さんに落ち着いた雰囲気で美味しい食事が提供できる当店をぜひご利用頂きたいです」と岩須店長は語っていました。
取材後記
『不特定多数の人が使う無料Wi-Fiと、売上管理などに使用する業務ネットワーク、共存は可能なのか?』飲食店のみならず、同様の悩みを抱える店舗は少なくないと思います。本来、オフィスネットワークを部署ごとに切り分ける際などに使う「ポートVLAN機能」の意外な活用法に驚くとともに、その可能性を感じました。